アナログミキサーの使い方、第3回です。
今回は、ダイレクトアウトとインサートについて説明します。
☆ダイレクトアウト
前回までに紹介したAUX出力とは異なり、プリアンプ直後のライン信号を分岐して出力するのが、ダイレクトアウトです。AUXのようにレベルの調整はなく、プリアンプのゲイン設定に依存します。その分、色づけの少ないピュアな信号を取り出すことができます。通常は、マルチトラックレコーディングの際にレコーダーへ音を送る用途で使われます。加工前の音を録音しておき、ミックスの際に納得がいくまで音作りをするという作戦です。一度加工してしまうと元に戻せないため、この方法なら安心です。
もう一つ、使用例を紹介します。例えばギターなどを接続したチャンネルのダイレクトアウトをディレイに接続。エフェクト信号のみに設定したディレイの出力を隣のチャンネルに接続。ショートディレイを設定していればダブリングサウンドが完成です。チャンネルの定位設定(パン)により、拡がりを調整することができます。EQや音量を独立して調整できるため、細かな設定が可能です。AUXのリターンをチャンネルに戻す時と似ていますね。
※ ディレイはエフェクト100%の設定にしておくことをお忘れなく。ドライ100%もしくは「キルドライ」と呼ばれることもあります。

☆インサート端子
インサート端子を使い、エフェクターを直列につなぐ方法があります。この端子はインサーションケーブルと呼ばれるYケーブルを併用することが前提となります。

ゲインを通過した信号は、EQなど次のステージに信号が流れて行きます。インサート端子にプラグを接続するとその手前で、信号が分断されて外部に出力されます。その信号をEQやコンプレッサーなどのエフェクターに接続。エフェクター出力をミキサーに戻します。接続は、Yケーブルの2つあるプラグ(センド/リターン)をエフェクターのイン/アウトに接続するだけです。
ミキサーを使い始めたばかりだと、エフェクトをかける時にインサートとAUX、どちらを使用するか、わかりにくいかもしれません。一般的に原音に付加するエフェクトはAUX、原音そのものを変化させるエフェクトはインサートと考えればOKです。
付加するエフェクト: リバーヴ、ディレイ、ハーモナイザーなど
原音そのものを変えるエフェクト: コンプレッサー、EQ、ワウなど
今回、紹介した、ダイレクトアウト、インサート端子は、ある程度大きめのミキサーに搭載されている機能になります。最適なミキサーを選ぶためには、必要な機能を見極めることが大切です。チャンネル数だけでなく必要な機能が装備されているか、しっかりと確認しましょう。