サックス・クラリネットの樹脂製リードを製造する国産ブランドForestone(フォレストーン)
国内外のプロ奏者から教育活動に至るまで幅広く愛用される同社の樹脂製リードがどのようにして作られているのかを探るべく、工場見学に行ってきました。
樹脂製リードのメリット
工場見学の前に、天然の葦材リードと比較した樹脂製のメリットをまとめてみます。
▶耐久性
湿度による形状の変化が少ないため、1枚のリードを長く使うことができます。 使う頻度などにもよりますが天然リードが週単位、樹脂製が数か月単位とイメージすると分かりやすいです。水分を吸わないため水洗いもできて衛生的です。
▶個体差が少ない
10枚買って当たりが出るか不安な天然リードに対して樹脂製はバラつきが少ないです。
▶湿らさずに吹ける
屋外での演奏や準備時間の短縮にも繋がります。
そのなかでもForestoneならではの特徴がコチラです。
▶竹繊維の配合
ポリプロピレンに国産の竹繊維を混ぜることにより、天然リードに近い音色と弾力を実現!
▶金型射出成形を採用
日本ならではの製造方法でリード先端の厚さを0.1mmまで薄くできます。
※一般的な樹脂リードは材料を削り出して製造されます。
▶リードの両面に特殊加工
一段と天然に近い吹奏感を実現しています。
▶リードを加工できる
材質と製造方法からなる特徴ですがリードの表面にカッターでスジをつけたり、先端を少し切って厚くしたりと演奏者の好みに応じて加工もできます。
樹脂製リードの特徴がわかったところで
工場見学に参りましょう!
やってきたのは栃木県足利市
渡良瀬川が流れています。

Forestone社の提携工場は日本が誇るザ、町工場という感じです。
50年に亘りプラスチックの部品を金型で製造していたそうですが、2007年頃から樹脂製リードの開発に関わることになったそうです。
写真では見せられないのですが、リード以外にも様々な樹脂製品を製造していました。
さっそく製造の現場を見せてもらうことに。
フォレストーンのリードといえば竹由来のセルロース繊維

繊維の含有率が多くなるほど茶色みが増してリードの強度も強くなっていきます。
スタンダードな状態がTraditionalモデルです。
ここにカーボン素材を混ぜ込むとコシが増したBlackbambooに。
カーボンの代わりに色素を混ぜたリードもあります。
ヨーロッパのEC楽器サイトThomannのコラボレーション製品 MONSTER REEDは緑色をしています。w(゚ロ゚;

まずは水分を多く含む竹繊維を加工しやすくするため、2-3時間ほど乾燥させます。

次に材料を金型に注入


竹繊維とポリプロピレンを溶かす温度や、型に入れる圧力を見いだすまでには相当の苦労があったそうです。
アルトのファイルドカット(フレンチカット)、アルトのアンファイルドカット(アメリカンカット)……といったように楽器とカットのスタイルごとに金型が用意されています。
※写真はファイルドカット(フレンチカット)


前述のようにフォレストーンでは繊維の配合率によってリードの強度が変わり、1モデルに使う金型は1種類ということになります。
この金型を機械に取付けて材料を流し込みます。専門用語では射出と言うそうです。

できたてのリードは、ほんのり温かかったです。
樹脂製リードの多くは削り出しで製造されますがForestoneリードは射出成形を行うことにより、先端を0.1mmまで薄くすることができています。
プラモデルのようにランナーがついていますね。
リードが冷めたらニッパーで丁寧にランナーを外します。
プリントをして、はい完成!
とはなりません。(笑)
このままでは材料が冷えたことによる反りや歪みが生じてしまいます。
この後にマウスピースへのフィットを高め、吹奏感をよくする加工が行われるのですが……
続きは後編へ!
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樹脂製リードForestoneの工場を訪ねて 後編
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