映画と音楽と…― ホラー映画と同時にヒットした音楽

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2018-03-13

映画と音楽と…。

映画『エクソシスト』　マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』
映画『サスペリア』　ゴブリン『サスペリア』

映画とサウンド・トラックを分けて考えるようになったのは、ずいぶん昔のことです。映画で印象的な音楽を、それだけで別に聴いてみたいとレコードを探し、それが単体で立派な作品となっていた場合、嬉しい買い物ができたと喜んだものでした。サウンド・トラックはその性質上、短い楽曲が寄せ集められただけの印象が強いのも事実。私の場合、嬉しい買い物となったレコードは、2つのホラー映画になります。それが『エクソシスト』と『サスペリア』でした。

1974年、アメリカからやってきた映画『エクソシスト』は衝撃的でした。映画を観てショックで失神した人がいるだの、あまりの恐怖に上映が取りやめになっただの、（それも宣伝だったのでしょうが）、そんな煽り文句の効果もあり、映画は日本でも大ヒットしました。ここで使用される音楽がマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』です。オリジナルはアルペジオにどんどん色々な楽器が加わり、ドラマチックに展開していく大曲が収められています。実はこの曲、本人の許可なく、その印象的なアルペジオ・パートが映画本編で使用されました。結果的に功を奏したのは、これが本人のデビュー作であり、振興レーベル「ヴァージン・レコード」の第一弾アルバムということでした。映画自体が間接的にではあれ、大いにその宣伝になったのです。

発売当時、イギリスにおいてチャートトップ10内に輝いたアルバムは、アメリカでは映画の影響もありチャートの3位まで駆け上ります。さらに映画公開後、英国では長期に渡ってチャートインし続け、1年後、自身の2作目となる『ハージェスト・リッジ』を1位の座から蹴落としました。アメリカではマイク・オールドフィールドの演奏ではないものがシングルカットされ、演奏者・アーティスト名に当たる部分のクレジットはTHE MYSTIC SOUNDSとされていました。マイク・オールドフィールドも『エクソシスト』のおかげで『チューブラー・ベルズ』がアメリカで大ヒットしたことには感謝しているが、自分の曲を勝手に編集され演奏されたことに対しては不快に思っていたと語っています。そりゃそうでしょ。

Mike Oldfield 『チューブラー・ベルズ』Live at the BBC 1973

アルバムでは、ほとんどの楽器をマイクが多重録音で仕上げています。
ここでは、イギリスの有名ミュージシャンたちが演奏を行っています。

Goblin 『サスペリア』

「決して、ひとりでは見ないでください」　キャッチーで恐怖を煽る見事な宣伝文です。1977年イタリアからやってきたこのホラー映画は、激烈な恐怖・残酷表現のため、1000万円のショック保険をつけられ（実際、保険適用になったかどうかはわかりませんが）大ヒットしました。その不気味な音楽もヒットし、イタリアのゴブリンというバンドに注目が集まりました。前述の『チューブラー・ベルズ』に影響を受けたであろうその楽曲は、その後ロック調に場面展開し、それが単純にかっこよかった印象があります。ゴブリンは、それまでチェリー・ファイヴと名乗るロックバンドだったのですが、ダリオ・アルジェント監督とタッグを組むことになり、ゴブリンと変名。2001年『スリープレス』のコラボまでおよそ16作ものホラー作品のサウンド・トラックを手がけました。スタジオ・ミュージシャンもメンバーにいたため、メンバー・チェンジも激しく2018年現在、ゴブリン名義で2組のバンドが存在しています。