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もっと、カヴァってちょ。― エルヴィス・コステロ / シップビルディング

2018-04-02

テーマ:カヴァーソング

もっと、カヴァってちょ。

エルヴィス・コステロ:シップビルディング

1982年8月20日、エルヴィス・コステロが提供した曲としてロバート・ワイアットの名曲「シップビルディング」が発売されました。発売時はあまりヒットしなかったものの、その数ヵ月後1983年4月22日、4種類のジャケットで再発されると、イギリスのチャートで35位。ニュー・ジーランドのチャートでは27位を記録するヒットとなります。その背景には82年におきたフォークランド紛争がありました。歌詞は軍艦を造るために閉鎖された造船所が再開されることを歌っています。街には潤いがもたらされますが、一方で子供たちは兵士として、戦地に向かい帰ってこないかもしれない…という反戦歌です。

以下、4種類のジャケット。

いったいなんの意味があるんだ?
この冬は妻へのコートと靴をそろえて
息子の誕生日には自転車を買わなくては
女・子供を中心に街中、噂がひろまっている
これから軍艦を造らなきゃいけないのに
お父さん、ぼくは徴兵されるけど
クリスマスの 休暇には戻るから
誰かの意思で殺される人々がいる
妻のため子供のために船を作る
本当は船で真珠を採りにいけるのに

Robert Wyatt

この曲、エルヴィス・コステロが作詞。クライヴ・ランガーが作曲を手がけています。実にロバート・ワイアットの声にマッチした楽曲は、ロバート自身の存在も大きくアピールしました。ロバートは英プログレバンド、ソフト・マシーンのヴォーカル兼ドラマーとして60年後半より活躍したのち不慮の転落事故で下半身不随になってしまいます。ドラマーとしてのキャリアは断たれるも車椅子のシンガーソングライターとして70年代にはアルバム『ロック・ボトム』など傑作を生み出していました。80年に入ると、反戦ソングや政治的な楽曲などのメッセージ性の強い楽曲を手がけるようになります。「シップビルディング」はそうした時期に歌われました。「世界一悲しい声の持ち主」と坂本龍一に評され、デヴィッド・ボウイはこの曲をフェイバリット・ソングの一つに挙げています。その唯一無二の声に共演を望む声は多く、ビョークはロバートの声をサンプリングし、自身のアルバムに使用しているほどです。

さて、「シップビルディング」はその後、何組かのアーティストにカヴァーされるのですが、すぐにカヴァーをしたのは、なんとエルヴィス・コステロ本人でした。ロバート・ワイアットのヴァージョンではPVにも出演していたのものの(実際には演奏していない)、私がオリジナルです!と言わんばかりに、ソロ・パートに名トランペッターのチェット・ベイカーを起用するほどの力の入れようです。さすがに良い曲なのですが、ロバート・ワイアットの歌唱には敵いません。今回のカヴァーはオリジナルでありながら、作者がセルフカヴァーを行い、それでも曲の完成度では足元にも及ばないという曲を紹介しました。以降も数多くのアーティストにカヴァーされる名曲となっています。

Elvis Costello/Shipbuilding(1983年)

Tasmin Archer – Shipbuilding(1994年)

Suede/Shipbuilding(1995年)

June Tabor/Shipbuilding(2011年)

The Unthanks/Shipbuilding (2012年)

なかじまやすお

自由気ままに雑多なことを書きなぐっていきます。根底にあるのは「愛と音楽」。世の愛すべき事象にスポットを当て、音楽好きに共感してもらえる記事を執筆していきます。サウンドハウスでは、メディア編集担当として活躍。プライベートでは、週末となればドラムを叩き、ライブや映画、展覧会などを楽しむアクティブ派。

 
 
 
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