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バンドでチューナーは統一すべき?4機種の挙動からわかったこと

2025-11-30

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 楽器

バンド演奏では、各メンバーが同じ音程感覚を共有していることが非常に重要です。チューニングのズレが全体のサウンドに影響を与えることがあります。

音楽活動を始めたばかりの頃、先輩から「メーカーによってチューナーの精度が違うから、バンドで演奏する時はメンバー全員で同じチューナーを使った方がいい」というアドバイスを受けました。当時は深く考えずに「なるほど、そういうものか」と思っていましたが、実際どれだけ差が出るのか気になったため、今回改めて検証してみることにしました。
この記事では、複数メーカーのクリップチューナーで測定した際、どれだけ針の動きに差が生じるのかに焦点を当てています。

使用するチューナーは、以前のコラム で紹介したこちらの4機種です。

使用機種

TC ELECTRONIC PolyTune Clip

圧倒的な精度と見やすいディスプレイで人気のモデル。

BOSS TU-10

信頼性と視認性に優れている定番モデル。

KORG Sledgehammer Pro

独特の形状と表示方式が特徴。ノーマルモードのほか高精度ストロボモードを搭載。

Daddario PW-CT-12

ヘッドの外観を邪魔しないコンパクトなモデル。

実験1 PolyTuneを基準とした場合

まずはこの4機種の中でも最も精度が高い(±0.02セント)PolyTune Clip のストロボモードでチューニングし、その後、他の3機種ではどのように表示されるかを検証しました。
A=440Hzで統一し、ポリチューンでチューニングした直後に各機種へ持ち替えるという方法です。

BOSS TU-10

ポリチューンでチューニングした直後、BOSSで同じ弦を鳴らすと、針が少し早めにフラット方向へ寄る傾向がありました。
ただしこれは「ズレている」というより、針の反応速度や揺れ方の癖による部分が大きい印象です。

KORG Sledgehammer Pro

KORGはストロボモードとノーマルモードの2種類で比較しました。

● ストロボモード
全弦で一貫してフラット方向に寄る傾向が見られました。
ストロボの動きが敏感で、中央に留まる時間が短いのが特徴で、「ほんの少しでもズレていれば“動いて見える”」という高精度ゆえの挙動です。
● ノーマルモード
ノーマルモードではほぼ差なし
ストロボモードほどセンシティブではないため、一般的な使用では問題なく一致しました。

Daddario PW-CT-12

DaddarioはPolyTuneとほとんど同じ挙動を示しました。
針の中央への収束も近く、反応のタイミングも自然で、特に大きな差はありません。

実験2 BOSSを基準にした場合

次に、逆のパターンとして測定精度±1セントのBOSS TU-10で基準チューニングを行い、他のチューナーで測定しました。

PolyTune Clip

ストロボモード・ノーマルモードともに、ほぼズレなしの結果でした。

KORG Sledgehammer Pro

こちらもストロボモードとノーマルで比較。

  • ストロボモード:再びフラット方向に寄る傾向
  • ノーマルモード:大きな差はなし

やはり、ストロボモードの高精度ゆえに細かな差が大きく見えるようでした。

Daddario PW-CT-12

今回もBOSSとのズレはほとんど見られませんでした。

検証結果から見える「チューナーの癖」

今回の結果を全体的に見ると、唯一明確な傾向として KORGのストロボモードのみフラット方向に寄りやすい という挙動が見られました。

ただしこれは、「KORGの精度が低い」という意味ではありません。
むしろ逆で、精度が高すぎるために“ピタッと止まる瞬間”が短い ということです。
PolyTuneやBOSS、Daddarioは、中央付近に針がとどまる“許容範囲”が比較的広く、ユーザーが「合っている」と判断しやすい設計になっています。
一方、KORGのストロボモードは、わずかな揺れも表示に反映されるため、常に「もう少し詰めたい」と感じるような表示になりがちです。

まとめ

今回の検証では、どのチューナーも極端にズレることはなく、いずれもライブ・スタジオで十分に使用できる精度があると改めて確認できました。

ただし、表示方式や反応速度の違いにより、「中央に止まっているように見える時間」がメーカーごとに異なるため、メンバーが違うチューナーを使うと、人によっては音程の解釈が微妙に変わる可能性があります。
特にKORGのストロボモードは高精度ゆえに挙動がシビアで、より細かなピッチの揺れが見えてしまうため、他メーカーとの比較で唯一フラット方向に寄りやすい挙動を見せました。

こうした特性を理解した上で、バンド全体の音程感を揃えるためにはチューナーの統一が有効 だと改めて感じた結果となりました。
チューニングは演奏の基礎であり、バンドサウンドの土台です。
ぜひ皆さんのバンドでも、チューナー選びを見直し、より精度の高いアンサンブルを目指してみてください。

関連コラム:「ギター&ベースのチューニング講座|初心者がやりがちなミスと正しいやり方」


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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航平

千葉県出身。ギタリスト兼ベーシストとしてロックを中心に様々なジャンルを演奏するマルチプレイヤー。またDTMにも精通しており、ドラムプログラミングやBGM制作、カラオケ音源制作なども手掛ける。
Twitter https://twitter.com/ike_kohei
Instagram https://www.instagram.com/ike_kohei_gt/

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