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ゆれるという音について

2024-06-30

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 音楽全般

初めての投稿になります。
僕は大阪の堺でthe idle talkというバンドのgt/voをしているコダマショウといいます。

唐突ですが、音の大きいバンドは好きですか?
僕は大好きです。
アンプ二台鳴らしは当たり前、ファズはお守り、テレキャスターにお気をつけくださいってなもんで、とにかく音はでかけりゃでかいほどバンドとして良いものなのです。
そんな中、出会ったバンドがこちら、

「ゆれる」

というバンド、バンドというよりもはや概念、集合体、音、と言った方が近いかもしれません、宗教です。そのくらい大好きなんです。

ゆれるは、大阪をメインに活動しているスリーピースロックバンドです。

正規メンバーはgt/voのあみさん(今はアルニマンって名義で活動もしています)と、Baの榮勇太さんの2人。ドラマーはサポートを交えて活動されています。

ゆれる公式Xアカウント

僕の使うテレキャスターが白い理由も、ゆれるのvo.あみさんが白いテレキャスターを使ってるところから来ています。白っていいですよね。

とりあえずこの映像をご覧ください。

ね、これで全てがわかるでしょう。
この映像を見てビビッと来ない人はきっと今から語ることの8割は理解しがたいと思います。

僕はライブハウスはまるで水槽だと思っていて、そこに飲まれる僕たちは金魚みたいなものだと思っています。音は波。だからこの轟音に飲まれてしまいたい日がどうしてもたまにあって、そんな日はこの映像を見返します。
でも分からない人にもわかるように伝えたいから言葉を紡ぐのであって……

ここからは僕がゆれるの好きな理由をまとめて紹介したいと思います。主にまとめますと、

  1. ① どことなく懐かしいメロディ
  2. ② 刹那的な歌詞
  3. ③ 音像

です。

まあそりゃバンドなんかそれら三つ以外に何があるんだと言われればそれまでなんですが、本当にこれらが限りなく高いレベルで完成されています。
これからこれらを細かく話していきたいと思います。

① どことなく懐かしいメロディについて

これは、vo.あみさんの出生が関係しているのかなと思います。あみさんは奄美大島で生まれ育ったらしく、だからどことなく島唄のような、少し懐かしい、誰の耳にも聞き馴染みのある、ノスタルジックなメロディを武器にできているんだと思われます。ゆれるのアルバムはサブスクに解禁されている中で三つあるんですが(mutilation+,distractions+,XENOtransplantations)そのすべてのアルバムの最後の曲が弾き語りで締めくくられていて、それらを聴くとゆれるの武器は爆音だけではないんだなと思わされます。僕は特にmutilation+に収録されているsweetyouが大好きです。

サブスクだとApple musicに公開されているはずなので、よければ聴いてみてください!

② 刹那的な歌詞について

ゆれるの歌詞はすべてvo.あみさんが手がけていて、その全てがどことなく刹那的な、いつかいなくなる寂しさを帯びています。
例えばフェイクファーという曲(distractions+より)のサビ
「眠れない宵にディストーション」
この一節からでも寂しさ、またどことなく向井秀徳さん(ex.ナンバーガール)の影響を感じさせます。

また同じアルバムの魚に羊、化ける草という曲のAメロ、
「適当にチューニングを合わせて、挨拶して名前を呼ぼう 例えばそれは日々のこと すれ違いを装うしたたかさ」
日常に潜む些細な孤独や痛みをこんなにも抒情的に描けるのはあみさんの才能と言って間違い無いと思います。あみさんにとってきっとバンドとは日々のことで、音楽とは人生なのでしょう。分からんけど。

弾き語りのこの、歌う瞬間に空気がヒリつく感じ。生で見た方が分かるんですが、一気に引き込まれます。そんな温度感があみさんの歌声にはあると思います。

③ 音像について

なんといってもゆれるの魅力といえばここです。音像、音。です。
ゆれるの音楽性自体は所謂オルタナやエモに属すると思うんですが、音がデカすぎます。

あみさんはMarshallという大体のライブハウスにあるギターアンプのキャビネットの上に、JC-120というこれまた大体のライブハウスに常設しているギターアンプを乗せて、その上にアンプのヘッドを乗せるという要塞みたいなセッティングをしています。そりゃ音がでかい。ちょっと音楽的な話をするとアンプの位置というのは低いよりは高いほど音が遠くに飛びます(遠くまで届きます)。普通JC-120はキャスターが付いていて、ほぼ地面に平行で低い位置にあるので、キャビネットの上に載せると位置が高くなるので馬鹿みたいに音がデカくなったような錯覚が得られます(経験談)。

そのうえあみさんは以前、高出力が特徴のHiwattというメーカーのアンプを使っていました。正直、ゆれるのライブはその日の自分の体調の良し悪しでライブの感想が変わるくらい音が大きいです。

Ba.の榮さんもかなり歪んだゴリゴリの音を出しており、ライブ中は物理的に音の壁を浴びることになります。

それが好きな人にとってはたまんないんですよね。何より本人達が楽器が上手いので、音が大きくても不快に感じません。
そこが一番すごくて恐ろしいところだと思います。

まとめ

まとめると、見て、浴びて、感じろって話です。もうそれしかないです。
バンドっていうのは生物です。活発的な時もあれば冬眠する時もあります。だからこそ、見られるうちに見て欲しいです。

僕が伝えられる魅力より、皆さんが見て、浴びて、実際に感じるものは違うかもしれません。でもその差こそがバンドの美しさであると思います。だからどうか、一度ライブハウスへ足を運んでみてください。

それでは、どうかテレキャスターにご注意を。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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コダマショウ

バンドマン。
19歳から大阪堺を中心にthe idle talkというバンドでギターボーカルと作詞作曲を担当。オルタナティブロックやインディーポップに強く影響を受ける。好きなバンドはゆれる、ハヌマーン、Galileo Galilei等。
現在はthe idle talk、sasayaka、yadokariと三つのバンドに所属し、ボーカルやギターとして活動している。
夏生まれ。
X https://x.com/kodamatheidlet1
note https://note.com/limber_python776

 
 
 
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