Greetings!そろそろ新米ではない?ライターのMarkです。
みなさん、ギターやベースのナットのメンテナンスは行ってますか?
「ナットは弦楽器の重要なパーツ。素人が手を出すべきではない不可侵の領域」みたいなイメージから手つかずの人も少なくないかと思います。
しかし!
ナットもまた定期的なメンテナンスが必須の部分。たとえ元の作りが悪くても正しくメンテナンスすれば、現状よりもマシな状態にすることができるんです。
というわけで、今回はナットメンテナンスのお話。ギターによってはコンディションが抜群に良くなることもあるのでぜひ覚えていってください。
※弦を完全に固定するロック系ナットには触れません。
■ ナットは「スムーズさ」が肝
ギター・ベースのナットは様々な素材で出来ています。動物の骨、骨を再現した人工骨(NUBONEやTUSQ)、金属、エンジニアリングプラスチック、集積材…
それぞれが異なる摩擦係数と音響的特性を持っており、メーカーはコストやサウンドデザインなど様々な観点から素材を選んでインストールしています。
すべてに共通して言えるのは「乗っている弦がスムーズに動く状態をキープしなければならない」ということ。
演奏していない状態の弦は高い張力によってナットの上に乗っています。
赤丸の部分が無演奏状態の接点です。
チューニング、押弦、ビブラート、チョーキング、アーミングをすると弦が伸びたりたるんだりして…
図のように初期接点が前後に動きます。
弦から手を離すと接点の位置がもとに戻ります。
弦とナットは半ば固定されているかのように見えますが、実際にはあらゆるアクションに応じて動いているんです。
ナット表面の潤滑性が薄れて弦がスムーズに動けない状態になっていると、動きを伴うアクションがやりにくくなったり、動いた接点の位置が正しく戻らなかったりします。
これは「プレイしにくい」「チューニングしにくい」「チューニングが狂いやすい」といった症状としてあらわれます。
快適かつ正確にプレイする上で大きな障害です。ナットと弦の接点をスムーズに保つことはとても重要なポイントといえます。
■ 注油によるコンディション維持
正確に加工されたハイエンドのナットも、そこそこに加工されたエントリークラスのナットも、簡単なメンテナンスをすることでよりよいコンディションにすることができます。
なにをするか。答えはシンプル。
「潤滑剤を塗布する(注油する)」んです。
表面をきれいに清掃してから適したオイルやグリスを塗布する。たったそれだけです。
ナットへの注油については諸説ありますが、今回は私が行っているメンテナンス方法をご紹介します。
※材質にもよるので、よく確認のうえ作業を行ってください。
■ 注油方法
それでは実際の作業について解説していきましょう。
まずは弦を外してナット溝を清掃します。
写真のような小さいブラシ(マイクロアプリケーター)や爪楊枝などナットを傷つけない道具を使い、弦から移った黒ずみヨゴレを落としましょう。
特に汚れていなければ軽く拭うだけでOKです。
清掃が済んだらナット用のオイル・グリスを注します。
サウンドハウスには様々なオイル・グリスがラインナップされています。それぞれ異なる特徴を持っているので、商品説明を読んでチョイスしてみてください。
オイル・グリスが用意できたら爪楊枝の先を使ってナットに注します。とる量は米粒1/4くらい。ごくごく微量です。
潤滑剤はたくさん塗ればよいというものではありません。表面を十分に覆う量があればいいのです。過度な注油は漏れ出しの原因になるので注意しましょう。
こんな感じでナット溝に置きます。
弦を戻し、チューニングやアーミングで均したのち、はみ出たオイルを拭って完了です。
■ ナット以外の部分
潤滑性の確保はナット以外の可動部においても重要です。
特に手を入れておきたいのはストリングガイド。ここも高いテンションが掛かるので注油がとても有効です。
ナットと同じように清掃してから弦と触れる部分に同量のオイルを注し、はみ出し分を拭いましょう。
■ メンテナンスはプレイヤーの必須技能
楽器のメンテナンスには様々な手法・思想が存在します。自分にとって何が正解かは自分で決める必要があります。
自分で考え、自分の責任において、自分の楽器を手入れする。プレイヤーに必須の姿勢を身に着けておくことはとても大切です。
この機会に色々実験してよりよい楽器ライフを送ってください!
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