WARM AUDIOの魅力といえば、その価格設定とクオリティのバランスの良さだろう。
かくいう自分もこちらのマイクプリWA73-EQを普段から愛用している。
ドラム、パーカッションを演奏する自分としては「スモールダイヤフラムのステレオペア」というのはレコーディング、ライブ、各現場で必ずと言って良いほどお世話になる存在。
ミュージシャン、作家でもある自分の立場からこの製品を探ってみたいと思う。
WARM AUDIO ( ウォームオーディオ ) / WA-84 STEREO PAIR NICKEL コンデンサーマイクセット
今回は自宅にてパーカッションとドラムのオーバーヘッドマイク、クロースマイクとして、また音源にはないがアコースティックギターの録音にも使用してテストしてみた。
また出来るだけ味付けなく録りたかったので、アウトボードなどは使用せずにインターフェース(Babyface Pro FS)に直接接続して収録した。
■ WARM AUDIO / WA-84 review by 大塚 雄士 ドラム篇
■ WARM AUDIO / WA-84 review by 大塚 雄士 パーカッション篇
■ WARM AUDIO / WA-84 review by 大塚 雄士 コンガ篇
ドラム、パーカッション、ギター、全体の録音を通して自分がまず感じたのは「録っているその場の空気感が収録出来る」ということだった。
演奏した音が色付けなくそのまま録れるので、耳の中で録音した場がしっかりと再現される印象だ。
これはアコースティックなセッションにはとても重宝すると感じる。
このあたりは搭載されたトランスが寄与している部分であろうか。
レコーディングにおいて、演奏者がその場で聞いている音とマイクで収録された音に差があると、ミュージシャンとしては違和感を覚える場合もあり、そこに引っ掛かりがないというのは良いテイクを生み出していく大切な要素になり得ると思う。
高音域は他のマイクではやや張り出し気味にやや痛く感じるポイントも柔らかく綺麗に録れている。
中低域に関しても、密度があり、ふくよかな録り音。同様に他のマイクでは膨らみすぎたり逆に薄く感じる帯域も、良いバランスを保ってくれている。
下から上まで過不足なく満たしてくれる印象だ。
自宅での楽曲制作に使用するのであればドラム、パーカッションのOHなどはもちろん、ウィンドチャイムやシェーカー、タンバリン、アコースティックギターなどにも使用してみたいと思う。
このマイクがもたらすリアリティが楽曲に説得力を与えてくれるだろう。
インターフェース直、EQやプラグインなども使わず、録って出しの裸の状態でこれであるから、きちんとセッティングして使用すれば更に真価を発揮してくれるはずだ。
温かみがあり、リアリティのある音を録れるスモールダイヤフラムのコンデンサーマイクは、手札の一つとして持っていると強いのではないかと思う。
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