皆さんは、楽曲制作にMIDIキーボードを活用していますか?
筆者は、M-AUDIO社のKeystation 61esという機種を愛用しています。この製品、シンプルなフルサイズの61鍵盤という仕様で、演奏するには非常に使いやすいのです。しかし裏を返せば、機能不足であったり、大きすぎて場所を取るという難点の存在も否めません。

そこで目をつけたのが、Native Instruments(以下、NI)社製のMIDIキーボード「KOMPLETE KONTROL M32」!実際に使用した上で、本製品の特徴とおすすめポイントをご紹介していきます。
※筆者の使用環境はStudio One 5です。
Native Instruments ( ネイティブインストゥルメンツ ) / KOMPLETE KONTROL M32 MIDIキーボード
MIDIキーボードとは
DTMでは、実際にマイクで録音したオーディオデータだけでなく、「音源」と呼ばれる、楽器を模したソフトウェアを用いて楽曲制作を行います。音源を使えば、その楽器(例えばグランドピアノやアコースティックドラム)を持っていなくても、そして演奏できなくても、楽曲のアレンジに組み込むことができるのです。その音源を操作できるのが、MIDIキーボードなのです。
MIDIキーボードは、主にパソコン内(DAW内)に楽器の演奏情報を入力できる鍵盤型コントローラーです。楽器ではないので、単体で音は鳴らず、基本的にパソコンと接続して使用します。
ピアノ、ギター、ベース、ドラムなど楽器の種類は問いません。「ド」の鍵盤を叩けば「ド」の音が(あるいはドラムの音が)、弱く叩けば弱い音が、DAWに打ち込まれていくのです。
無くても音楽制作はできますが、有ったほうが制作がスピーディーになる場合も多いでしょう。ピアニストのように、鍵盤を弾きこなせる必要はありません。指一本で一音ずつ入力すること(ステップ入力)もできますし、音源の音色確認にも便利だからです。
M32の特徴
前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ本機の特徴についてお話します。「大きさ・鍵盤数」「機能」「付属品」という3つの観点に絞ってご紹介します。
1. 大きさ・鍵盤数
M32は、ミニ鍵盤32鍵の製品です。大きさは、W.475xD.167xH.50(mm)。机の上に置いても、作業スペースは確保できそうです。
ミニ鍵盤であるがゆえ、通常のピアノと同じ感覚で演奏することは難しいです。もちろん、慣れれば使用に問題は無いと思います。実際に鍵盤を触ってみると、適度な打鍵感はあります。かたすぎたり、やわらかすぎることはありませんが、強弱をつけるのは難しいです。
鍵盤数も32鍵と少なく、一般的なグランドピアノが88鍵、シンセサイザーの人気製品が61鍵であることを考えると、フルレンジで演奏するのは難しそうです。ポップスのメロディを弾いたり、コードの響きの確認、シンセベース、キースイッチなどの用途であれば事足りるでしょう。
ピアノ、キーボードの代用には向いていません。持ち運びのしやすい、鍵盤型コントローラーとして考えるのが良いと思います。
2. 機能
本製品は非常に多機能であり、DTMの初心者から制作に慣れた層まで役立つ機能が満載です。そこに本製品を選択する理由を見出す方も多そうです。
例えば、白鍵だけで様々なスケールを演奏したり、指一本でコードを鳴らせる「Smart Play」。難しい音楽理論を勉強しなくても、感覚的に作曲を行うことが可能となります。
他にも便利なのは、再生、録音、トランスポートなど、DAWの機能をキーボードで操作できるコントロール部。ギターや歌を録音したかったり、鍵盤の演奏に集中したいとき、わざわざマウスを持たずに、ワンタッチでコントロールができます。実際に、ピックを持ちながらのDAW操作が快適になりました。
気になった点として、ボタンのクリック感が強かったことを挙げておきます。押し込みには少し力を込めなければなりませんでしたが、これは誤操作防止になるのでメリットと捉える人もいるでしょうか。
そして、なんと言っても本製品最大の魅力である、Native Kontrol Standard (NKS)対応!この機能によって、キーボードのつまみを使った音源・エフェクトの操作を、事前の設定なしで行うことができます。NI社製のプラグインはもちろん、NKS対応の他社製品でも利用できます。
NKS非対応の音源だと、通常のMIDIコントローラーのように、つまみにパラメーターをアサインして操作することはできません。
なお、NKSの利用には「KOMPLETE KONTROL ソフトウェア」が必要ですが、こちらは無料でダウンロードできます。

3. 付属品
M32には、パソコンと接続するためのUSBケーブルが同梱されています。わざわざ買い足す必要がないので便利ですね。
そして更に嬉しいのは、NI社の多数製品から厳選されたソフトウェア群(+Ableton LIVE lite)が付属すること!ピアノ、ベース、ドラムを始めとした、音楽制作に必要な音源やエフェクトが収録されているので、これ一つですぐさまDTMを始められます。
ちなみに、NI社は業界標準と言われる総合パッケージ「KOMPLETE」を開発していることで有名ですが、こちらはなかなか高価なんですよね。定番サンプラーのKONTAKTが含まれる「KOMPLETE STANDARD」は約80,000円!
しかし、M32のユーザーは、「KOMPLETE」をお得なアップグレード価格で購入することができるのです!「KOMPLETE」を買うとキーボードがついてくるようなイメージでいいかもしれません。「KOMPLETE」の購入を検討している人は、M32を入手しておいて損はないでしょう。
まとめ
最後に、KOMPLETE KONTROL M32のおすすめポイントをまとめてみましょう。
- 小型で多機能
- 付属品が豪華
- 「KOMPLETE」がお得に買える
以上のポイントに魅力を感じる方には、本製品はとてもおすすめです。是非入手して、皆さんの音楽制作に活用してくださいね!ご精読ありがとうございました。
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