優秀なキャリブレーション(モニターアライメント)機能で話題のパワードモニタースピーカーNEUMANN KH 80 DSP。キャリブレーション機能によって置き場所を問わずそれなりに良い音になるのですが、良い場所に、良い方法で設置した方が良いサウンドが得られることは、言うまでもありません。
設置方法を突き詰めるには良いスタンドが肝になります。しかし自宅スタジオレベルでちょうど良いスピーカースタンドというのは少なく、さらにはスタンドを使用できるスペースの確保は大変ですから、設置に苦労している人も多いのではないでしょうか。
NEUMANNの知られざる製品としてLH 65というKH 80 DSP / KH 120用スピーカースタンドがあるのですが、ご存知でしょうか。筆者も教えてもらって初めて知りましたが、使ってみると素晴らしいスタンドでしたので、紹介させていただきます。

<LH 65にセットしたKH 80 DSP>
KH 80 DSPとLH 65がセットになったKH 80 DSP LETという製品が数量限定で販売中です。左右ペアでお求めの場合は、KH 80 DSP LETを2セットご購入下さい。
NEUMANN ( ノイマン ) / 【数量限定セット】 KH 80 DSP LET

見た目よりも重厚、安定感のある組み立て型スタンド

<ボルト類や六角レンチも同梱されている>
ペア販売ではないため、1台ずつ箱に収められています。開封するとブラケットとネジ、組み立て用六角レンチなどのパーツの脇にポールが収納されており、それらを箱から出していくと底面プレートが収納されています。

<底面の鉄板は約5mmの厚さがある>
思っていたよりも重厚なブラケットとポールに驚いていると、さらに驚くのが底面プレートの重量と厚さです。底面プレートは厚さ5mmほどの鉄板でずっしりと重く、片手で握って持つのが厳しいほどの重さです。デスクトップスタンドということでもっとライトなものを想像していたのですが、見事に覆されました。
スピーカーの設置場所は軽いよりは重い方が良いセッティングが出やすいため、スタンドも相応の重さがある方が良いのですが、LH 65は十分な重量があると感じました。スペック上は片側3.6kgですが、造りが良く鉄板が厚いので数値以上に重く感じます。出てくる音も期待できそうです。
説明書を見ながら片側10分程度で組み立てが可能で、組み立て家具が作れる人なら迷うことは無いでしょう。六角レンチも付属しているので工具を用意する必要はありません。
KH 80 DSP(またはKH 120)の背面にはブラケット用のネジ穴があるので、LH 65に付属するボルトで固定して使用します。ボルト穴が合えば他社製スピーカーでも使用できそうですが、情報も公開されていませんし、筆者も特に検証を行っていませんのでご了承下さい。

<底面にゴム足を貼り付けて完成>
底面には付属するゴム足を貼り付けて使用します。様々なオーディオメーカーから発売されているスピーカーインシュレーターを使用することで、さらに音を追い込むことができると思いますので、お好みで用意すると良いでしょう。
角度と高さが変更可能
筆者が何より素晴らしいと感じたのは、角度が変更できることです。
デスクトップにスピーカーを設置した写真は多く見られますが、残念ながらツイーターの位置が低すぎるものが多いのです。スピーカーは耳の高さとツイーターの高さが合っていることでポテンシャルを発揮することができます。「音がこもっている」という相談をよく受けますが、多くの場合はツイーターが耳に向いていないことがその理由です。
ツイーターを耳に向ける方法は二通りで、高さを変えるか、向きを変えるか、です。筆者は設置面が120cmのスピーカースタンドを用いた上でインシュレーターを用いて高さをあわせています。デスクトップへの設置で高さを合わせるのはなかなかに難しいのですが、LH 65はこの難問を簡単に解決してくれます。

<左が最低位置、右が最高位置>
KH 80 DSPを取り付けた場合は底面の高さが0mm~315mm程度まで可変できます。付属の六角レンチを用いて簡単に高さ調整が可能です。写真に写っている筆者のデスクは高さ720mmですので、最高位で1035mmという高さにスピーカーを設置できることになります。

<角度はブラケット側で調整する>
LH 65の素晴らしい点は、高さに加えて角度も調整できることです。1035mmであれば1200mmのスタンドよりは低いのですが、やや上向きにすることでツイーターを耳に向けることができます。説明書によれば上向きに20度、下向きに15度の調整幅を持ちます。
どのスピーカースタンドもスピーカーをベストな位置に持ってくるのが難しいのですが、LH 65は高さと角度が調整できることで、様々な環境でベストなセッティングを行うことができます。
デスクトップで自立スタンドに迫る安定した響き

<インシュレーターと組み合わせればチューニングが可能>
実際にデスクトップで使用してみると、スピーカースタンドに迫るしっかりとした響きが得られました。もちろん置いている机の重量や材質で音質は変化してしまいますので、しっかりとした制作デスクが用意できればより良い結果が得られるでしょう。試しにインシュレーターを介して設置してみましたが、やはり大きな効果がありました。必要に応じてインシュレーターも手に入れると良いでしょう。
重複しますが角度が変えられることが素晴らしく、自分の座面を変えること無く最適なセッティングをすることができます。KH 80 DSPの場合は別売りのMA 1マイクを用いることでキャリブレーションが可能になりますので、良い設置をした上でキャリブレーションをすれば自宅とは思えないサウンドに調整することができます。KH 80 DSPは設置改善や部屋のチューニングを行った上でキャリブレーションすることで、さらなる効果を得られます。LH 65の存在は大きな助けになるでしょう。

<様々な活用が考えられる>
デスクトップ以外でも、「スピーカースタンドにLH 65を載せる」という使い方ができます。市販のスタンドは900mmのスタンドが多いと思いますが、スタンドの上にブロックや黒檀などを置いて高さをあわせているケースをよく見ます。LH 65をスタンドの上に置けば900mm + 0〜315mm = 900〜1215mmまで調整可能となり、セッティングの自由度が飛躍的に高まります。
LH 65は単体製品として販売されるスピーカースタンドに勝る点も多く持ち合わせており、ただの専用スタンドという枠に収まらない素晴らしい製品だと感じました。色々な環境でスピーカーの音を聞いてきましたが、スピーカーの音はスピーカーの設置環境で大きく変化します。スピーカーではなく、スピーカーを設置した空間の音を聞いているのです。デスクトップに置いているだけの方は、ぜひLH 65を使ってKH 80 DSP / KH 120のポテンシャルを引き出してみてください。
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