みなさま、こんにちは!
突然ですが、伝説のドラマー「Buddy Rich(バディ・リッチ)」はご存じでしょうか?圧倒的なテクニックを持ち、数々の伝説を作り上げた、ジャズドラマーの神様的な存在です。
そのバディ・リッチが愛用したスネアが、Rogers(ロジャース)のDyna-Sonic(ダイナソニック)です。Rogersはアメリカの歴史あるドラムメーカーであり、80年代に一度倒産したものの2017年に復活しました。今回は、この復刻版Rogers Dyna-Sonicの「良いところ」も「悪いところ」も包み隠さずレビューしたいと思います。

SPEC
- DYNA-SONIC
- サイズ:14"x6.5"
- シェル:5プライ メイプル/ポプラ+レインフォースメントリング
- フープ:10ラグ-1.6mm トリプルフランジフープ
- ラグ:ビーバー・テイルダブルサイドダイキャストラグ*10
- ストレイナー:Clock Face ストレイナー
- Rogers スクリプトロゴバッジ
- スネアワイヤー:エクスクルーシブフローティングスネアレールシステム、20本
- インナーミュート搭載
- 内部フィニッシュ: Fruitwood stain
- カラー:White Marine Pearl (WMP)
LOOKS
楽器は見た目も大事ですよね。

気取り過ぎず、奇抜過ぎず、シンプルだけど存在感のある見た目です。白色のスネアはどんなドラムセットにも合いますね。全体的にオールドな雰囲気です。レトロで可愛くも見えます。俳優で例えるならハリソン・フォードですかね…?

カラーはWhite Marine Pearl。
ビンテージだともっと色褪せたような感じものをよく見かけますが、これは色あせる前の綺麗な白色です。カッコいいです。

Rogersロゴのバッジです。

反対側のバッジです。
DYNA-SONIC CUSTOM BUILTの文字と、シリアル番号が刻印されています。

ストレイナーは特徴的でカッコいいです。

裏面です。
鋳鋼製のフレームレールの存在感が大きいです。

ちなみにボトムフープには約2cmの突起があるため、6.5インチ用のスネアケースには入らない可能性がありますのでご注意ください。重さは測定していませんが、6.5インチにしては軽い方だと思うので、持ち運びしやすいです。

ヘッドは両面REMO製 (Rogersロゴ入り)。
SOUND
次に、肝心な「音」についてです。
私が初めて『Rogers』のスネアを叩いたのは約5年前のこと。当時、私はSoulミュージックに合うビンテージスネアが欲しくて、御茶ノ水の楽器屋を探し回っていたら60年代のRogers木胴スネアに遭遇。結局は買わなかったのですが、試打した感想は、
「図太くて暖かくて優しい音。初めて叩いたはずなのに懐かしい。そして手が吸い付くような感覚がする音だなぁ。」
「吸い付く感覚」というのは木胴のSlingerlandやGretschなどのビンテージスネアをフルショットで叩いたことがある人なら分かるはず。叩いた瞬間に手や腕、体がスネアと一緒に深く沈み込むような、あの感覚です。
そして今回、この復刻版Rogers Dyna-Sonicを叩いて、5年前と同じ感想を抱きました。まさに「Rogersの音」ということです。「Rogersの音」が新品状態で手に入るというのは素晴らしいことです。ビンテージスネアは、フープやシェルに歪みが生じていることもあります。また、パーツ類の劣化や故障のリスクも高いため、長時間のライブで使うには躊躇われますよね。一方で、この新品Rogers Dyna-Sonicは、長時間のライブなどのハードな現場でも安心して使えます。ビンテージサウンドをバリバリに使いたい人にはピッタリです。そして、小さなClubやホール、野外など、様々な場面で使える万能なスネアだと思います。
次に、チューニングごとによる音の特徴をまとめてみました。
【ハイピッチ】
まさに往年のJazzサウンド。特にビッグバンドにはピッタリの音質と音量感だと思います。
- ハイピッチでも音は太くて暖かいです。詰まったような感じは無く、オープンな鳴りです。
- サステインも暖かくて自然な鳴り。耳障りな感じは無く、気持ちいいです。
- さらにハイピッチにすると独特な乾いた音になります。
【ミドルピッチ】
まさに往年のSoulサウンド。具体的には、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)の音源のスネアの音にそっくりで、とても暖かい音です。
- もちろん、ノーミュートでもバッチリです。
- 出音が丸く大きな球のようで、どんなバンドサウンドにも馴みやすい音だと思います。しかし、くっきりとした輪郭や爆音が求められる現場では、埋もれてしまうかもしれません。
- マイクを通すと、より暖かさが際立ちます。
【ローピッチ】
- ノーミュートだとサステインが暴れますが、これはこれで使えそうです。
- かなり図太く、音が塊で飛び出してくるような感覚です。
- 幅広いジャンルで使える音だと思います。
- ミュートしたい時はインナーミュートのネジを回すだけなので、とても便利です。
実際に私が叩いた動画もありますのでご覧ください。
もちろんJazzやSoul以外にも、BluesやR&R、R&B、J-POP、Hip Hopなどなど、幅広いジャンルで活躍する音だと思います。
次は、『エクスクルーシブフローティングスネアレールシステム』についてです。
普通のスネアだと、スナッピーのテンションを強くすればするほど、裏ヘッドの振動が妨げられて音に影響が出てしまいます。しかし、このシステムは「スネアレールと裏面ヘッドとの位置関係」と「響き線の張り具合」がそれぞれ独立して調整できるため、「スナッピー音はタイトで裏ヘッドには密着させない」といったようなセッティングも可能です。
実際に弄ってみた感想は「面白いが、使いこなすのは難しそう。」
確かにスナッピー音のバリエーションが増えて面白いのですが、自由度が高くその分調整は難しいと感じました。また、これはスナッピー自体の仕様かもしれないですが、「スネアレールと裏面ヘッドとの位置関係」をルーズにしても、反応がとても良いです。左手のゴーストノートをしっかり拾ってくれます。6.5インチとは思えない反応の良さで、ゴーストノートが気持ちよくコントロールできます。替えの専用のスナッピーは、Rogersの他にPURESOUNDからも販売されているので、是非試してみたいですね。
その他の付属品
- 説明書(英語)
- ロゴステッカー
- チューニングキー
- キーホルダー

付属品があるとは書いてなかったので、これは嬉しいですね。
説明書は英語ですが、絵があるのでわかりやすいと思います。
ロゴステッカーはスーツケースに貼ろうと思います。
チューニングキーは何個あってもいいですからね。
キーホルダーはスネアに付いているバッジが使われています。少しバリがあるので触るときは注意です。
最後に
結局のところは「百聞は一見に如かず」ならぬ、「百聞は一打に如かず」です。ご自身の目で、耳で、体で、このRogersサウンドを体感していただきたいです。

以下、私が所属しているバンドの紹介です。
ガールズ・オン・ザ・ラン

東京・高田馬場発、4人組フォークパンクロックバンド。
鋭く刺さるような歌と、熱量の高い演奏が持ち味。現在までに2本の完全自主制作デモとリリックビデオを発表、2020年11月には1st EPが発表された。
杉本(Vo/Gt、作詞作曲)は前身バンド「ブレインストーミング」で、渋谷O-westにて行われた未確認フェスティバル2018セミファイナルに出場。大学進学を機に地元青森県から上京し、2019年にガールズ・オン・ザ・ランを結成した。デモ音源「ユニットバス」「サンクチュアリ」は、両曲ともBeFM「ゆうらじ!Hachinohe」エンディングテーマとしてオンエアされた。
RO JACK for COUNT DOWN JAPAN 20/21 では7月度入賞アーティストに選出。12月には同オーディションの優勝アーティストに選出され、COUNTDOWN JAPAN 20/21への出場権を獲得した。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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