Rogersは1849年に設立し、ビンテージドラムとして現在も愛好家の多い、長い歴史を持つドラムブランドです。惜しまれつつ一度はこの世界から姿を消したものの、2017年に復活。バディ・リッチも愛用したRogersサウンドが現代に蘇りました。
今回は、そんなRogers Drumsスネアドラムの魅力に迫ります。
Rogers Dyna-sonic スネアドラム最大の特徴は、本体裏面に装備されているスネアレール(Dyna-Sonic Snare Rail System)にあります。

響き線に沿って、スネアレールを装備していることがお分かりいただけるかと思います。こちらのスネアレールによって、響き線にかかるテンション(張り具合)と、裏面ヘッドと響き線との距離(当て具合)を独立して調整することができます。
一般的なスネアドラムの場合は、響き線をストレイナーで引っ張り上げ、裏面ヘッドに密着させることで、響き線にテンションをかける構造となっています。つまり、響き線をヘッドに密着させればさせるほど、響き線にかかるテンションは強くなっていきます。
Dyna-sonicは、響き線にかかるテンションを、ヘッドとの当て具合とは関係なく調整できるため、無理に響き線をヘッドに押し付けることなく、ヘッドの鳴りを生かしたまま、好みの張り具合に設定することができます。
張り具合と当て具合を個別に設定することにより、きめ細かな部分まで追い込んで音作りができるほか、組み合わせ次第では、ただ一口にタイトやルーズといった言葉では言い表せないような、多彩なサウンドを生み出すことができます。
ここからは実際の調整方法を紹介します。
●スナッピーON/OFF
ストレイナーに搭載されているレバーを動かすことにより、響き線のON/OFFを切り替えます。


演奏中にも、シンプルな動作でON/OFFを切り替えることができます。
●スナッピーの調整方法
Dyna-Sonic Snare Rail Systemは、「スネアレールと裏面ヘッドとの位置関係」と「響き線の張り具合」をそれぞれ独立して調整します。
スネアレールの位置調整
スネアレールを裏面ヘッドとどれだけ密着させるかによって、スナッピーの効き具合が変化します。画像赤枠部分のネジを回して調整します。

これは一般的なスネアドラムのスナッピー調整と同じような感覚で行うことができます。裏面ヘッドに密着させるほど、スナッピーの効きが良くなり、タイトな音色になります。一般的なスネアドラムと異なる点は、スナッピー自体には、ヘッドに密着させる前からすでにレール側でテンションがかかっているという点です。スナッピーは、レール側で適度な張り具合に調整されているため、ヘッドに押し付けすぎることなく、太鼓の鳴りを生かしたままタイトなバズ音が得られます。
響き線のテンション調整
前述のとおり、Dyna-Sonicの特長は、響き線の張り具合を個別に調整できる点にあります。スナッピーに沿うように装着されたレールにより、裏面ヘッドに押さえつけることなくスナッピーに好みのテンションをかけることができます。つまり、裏面ヘッドにかかるミュートは最小限に抑えつつ、スナッピーをタイト~ルーズまで希望の張り具合に設定できるのです。スナッピーのテンションは、画像青枠部分のネジを回して調整します。

●インナーミュート
ストレイナー以外の調整箇所のひとつとして、インナーミュートについても紹介します。Dyna-Sonic には、インナーミュート(Internal Tone Control)が搭載されており、打面ヘッドへのミュートの当て具合を調整することができます。ミュートを当てることにより、倍音がコントロールされ、よりくっきりとした芯のあるサウンドが得られます。
ミュートは、画像黄枠部分のネジを回すことにより調整します。


Rogers Dyna-sonicスネアドラムは、革新的なストレイナー・システムにより、実に繊細な音作りが可能となっています。この驚きはぜひご自身で体感してみてください。