ここから本文です

今さら聞けないワイヤレスマイクの話 ~相互変調~

2026-07-21

テーマ:PA

電波は見えないので、可視化できたら、どんなに運用が楽かと思ったことはありませんか?上記の画像は、スペクトラムアナライザーという、とても高価な機器で、電波を可視化したものです。一般の方が、そのような機器を購入するのは難しいですよね。今回のお話は、混信の原因になる一つ、「相互変調」について、運用に役立てる内容になればと思います。

ワイヤレスマイクを複数本同時に使用する際、「チャンネルを変えたのにノイズが出る」「急に音が途切れる」「設定上は周波数が重なっていないのに正常に使えない」といったトラブルに遭遇したことはないでしょうか。

その原因の一つとして挙げられるのが「相互変調(Intermodulation)」です。

普段あまり耳にする言葉ではありませんが、ワイヤレスマイクを安全かつ安定して運用するうえで非常に重要な知識です。今回は、相互変調とは何か、なぜ発生するのか、そしてB帯ワイヤレスで「5チャンネル以上離して使用してください」と言われる理由について解説します。

相互変調とは?

相互変調とは、複数の電波がお互いに影響し合い、本来存在しない新たな不要電波(混変調波)が発生してしまう現象です。

例えば、

  • マイクA
  • マイクB

の2本を同時に使用しているとします。

それぞれ異なる周波数を使用していても、受信機や送信機の内部、あるいは強い電波同士が影響し合うことで、「Aの周波数」と「Bの周波数」から新しい周波数成分が作られてしまいます。
この不要な電波が、別のワイヤレスマイクの使用周波数に近い位置へ現れると、

  • ノイズが出る
  • 大きな破裂音がする
  • 音切れする
  • 突然ミュートされる
  • 受信感度が悪くなる

などのトラブルにつながります。

つまり、
周波数が重なっていなくても、相互変調によって別の周波数に妨害波が生まれてしまうというのがポイントです。

図にすると以下のようなイメージです。

なぜ複数台で起こるの?

ワイヤレスマイクは、それぞれが無線送信機です。

1本だけ使用している場合は問題ありませんが、2本、3本、4本……と台数が増えるほど、電波同士が影響し合う組み合わせも増えていきます。

例えば

  • 2本なら組み合わせは1通り
  • 4本なら6通り
  • 8本なら28通り
  • 16本なら120通り

というように、使用台数が増えるほど相互変調が発生する可能性も急激に高くなります。

そのため、ライブハウスやホール、大規模イベントでは、ワイヤレスマイクの周波数は専用ソフトや周波数プランニングによって管理されています。

B帯ワイヤレスは「5チャンネル以上離す」理由

国内で広く使われているB帯ワイヤレスマイクでは、
「5チャンネル以上離して使用してください」
という説明を見かけることがあります。

これはまさに相互変調を避けるためです。

B帯は利用できる周波数帯域が限られており、隣接するチャンネル同士は周波数間隔が非常に近くなっています。

近いチャンネルを同時に使用すると、

  • 相互変調が発生しやすい
  • 隣接チャンネル干渉も起こりやすい
  • 安定した通信が難しくなる

その目安として、多くのB帯ワイヤレスでは5チャンネル以上離して使用することが推奨されています。

例えば、

  • CH1とCH2
  • CH10とCH12

のような近い組み合わせは避け、

  • CH1とCH6
  • CH5とCH10

のように十分離れたチャンネルを選ぶことで、相互変調のリスクを大幅に減らすことができます。

もちろん、メーカーや機種によって推奨される組み合わせは異なるため、実際の運用では取扱説明書やメーカーが公開している周波数表、チャンネルプランを確認することが重要です。

台数が増えるなら「適当にチャンネルを選ぶ」は危険

「空いているチャンネルだから大丈夫」と思って設定してしまうケースも少なくありません。

しかし、

  • 他のワイヤレスマイク
  • ワイヤレスイヤモニ
  • 携帯電話
  • 他会場のワイヤレス機器
  • 大型液晶モニター

など、周囲には多くの干渉する可能性のある機器が存在しています。

そこへ相互変調が加わることで、思わぬトラブルにつながることがあります。

特に、

  • 学校行事
  • 結婚式場
  • ホテル
  • ライブハウス
  • 劇場
  • 展示会

など、複数のワイヤレス機器が同時に使われる環境では、事前の周波数設計が欠かせません。

デジタルワイヤレスでも油断は禁物

近年はデジタルワイヤレスマイクが主流となり、アナログ機に比べて耐干渉性能は大きく向上しています。

しかし、相互変調そのものが完全になくなるわけではありません。

高性能なシステムでは、メーカーがあらかじめ相互変調を考慮した周波数グループを用意しているものも多く、同じグループ内のチャンネルを使用することで安定した運用が可能になります。

一方で、異なるメーカーや異なるシステムを混在させる場合は注意が必要です。周波数設定を誤ると、デジタル機器同士でも干渉や受信不良が発生することがあります。

まとめ

相互変調は、複数のワイヤレスマイクを同時使用する際に発生する不要電波であり、音切れやノイズ、通信不良の大きな原因となります。

特にB帯ワイヤレスでは、相互変調を防ぐために5チャンネル以上離して使用することが基本です。

複数台を安定して運用するためには、

  • メーカー推奨のチャンネルプラン、周波数グループを使用する
  • B帯では5チャンネル以上離す
  • 使用台数が多い場合は周波数プランニングを行う
    チャンネルプラン作成ツール
  • 異なるメーカーやシステムを混在させる際は周波数設計に注意する

といったポイントを押さえることが重要です。

「周波数が重なっていないから大丈夫」と考えるのではなく、相互変調まで考慮したチャンネル設定を行うことで、ライブやイベント、本番でも安心してワイヤレスマイクを運用できるでしょう。

ぐっさん

担当楽器はドラムですが、なぜかワイヤレスマイク担当。お客様に役立つ情報を提供するため、日々勉強の毎日です。趣味はバスケットボールをプレイする事と、大好きなBリーグの観戦に行くこと。千葉に住んでいるのに推しチームはなぜか宇都宮BREXです。元々機械メーカーのサービスマン兼営業を経験していたこともあり機械いじりが大好きです!

 
 
 
サウンドマートスキルの出品・購入 サウンドナビサウンドナビ

カテゴリーから探す

翻訳記事

ブログカレンダー

2026年7月

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31

ブランドから探す

ブランド一覧を見る
FACEBOOK LINE YouTube X Instagram TikTok