
前回の記事:【メンテナンス】エレキギターのネジを締めまくろう
今回もSTタイプのエレキギターについて、ネジ関係のセッティングを紹介したいと思います。たかがネジ、されどネジ。前回の記事をまだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。
今回の内容はかなり難易度が上がりますが、前回よりも顕著に音や弾きやすさが変わってくると思います。自分も今回紹介する方法を使って弾きやすくなったので、みなさんの参考になればと思います。
前回同様に注意点として、ネジの直径を図ることで、所有しているギターがインチ規格かミリ規格かを確認しましょう。また、六角レンチのサイズも間違えないようにしましょう。そうでないと、ネジ穴やネジ頭がなめてしまいます。
紹介に使うギターは、前回同様、Playtech ST280と、所有しているヤマハのパシフィカ(Pacifica 612 SSH)です。さらに、今回もIbanezのギター用工具を使います。前回の記事で扱ったパーツに関しては紹介を省略するので、ぜひ名前を覚えておきましょう。
- PLAYTECH ( プレイテック ) / ST280 Sunburst【カーボナイズド・メイプルネック】
- YAMAHA ( ヤマハ ) / PAC612VIIFM IDB エレキギター PACIFICA(パシフィカ)
- Ibanez ( アイバニーズ ) / MTZ11
<公式の説明より>
六角レンチ(mm) :1.5 / 2.0 / 2.5 / 3.0 / 4.0 / 5.0
パイプレンチ(mm) :7.0
ドライバー :プラス(大、小)、マイナス
トレモロ・ブリッジ/トレモロ・スプリング

まずは裏のパネルを開きます。そうしたら、ブリッジのお尻側の浮きが2mm~3mmになるように、スプリングをプラスドライバーで調整していきます。自分は、スプリングを3本/川の字にかけている状態で、ブリッジの浮きが2mmになるよう調整しています。この時、2本のネジの距離が同じになるように、定規などで計りながら調整しましょう。自分の場合は、ネジの飛び出している長さが10mmでした。また、片方を回しきってからもう片方を回すのではなく、両方を少しずつ交互に回していきましょう。そうしないと、ギターの木材部分に負荷がかかってしまいます。このあたりはST250も同じように調整できます。
まったくアームを使わない場合はベタ付けと呼ばれる状態もありです。ベタ付けではブリッジの浮きを0mmにし、アームでの操作を無視します。弦高調整など様々な調整が必要になるので難易度はさらに上がりますが、チューニングの狂いが減りアタックも強くなるので、アーミングをしないのなら選択肢に入れるべきかと思います。反対に、ブリッジの浮きをもう少し確保すると、アーミングやチョーキングがしやすくなります。その分、チューニングが少し狂いやすくなります。そのため、普段のプレイスタイルに合わせて調整しましょう。自分の場合、アーミングをしないときには、ブリッジの浮きを1mm、ネジの飛び出しを5mmにしています。
ピックアップの高さ

ピックアップの横についているネジを回すことで、ピックアップと弦の距離を変えることができます。これは好みもありますが基本的には、ネック側のピックアップの高さは、6弦で弦とポールピースが5mm、1弦で4mmになるよう調整します。最終フレットを押すと6弦側は3mm程度になるかと思います。あとはDAWなどの機能で各ピックアップの音量バランスが一定になるよう、各ネジ計6本を調整していきます(例:ピックアップ・セレクターをネックからミドルに切り替えた際、ネック側の6弦とミドル側の6弦が同じ音量ということ)。リアのピックアップに関しては音量を揃えても、3dbくらい上げて設定してもいいかなと思います。僕は音量の調整が面倒なので、すべて同じにしています。使っているプラグインはVoxengoのSPAN(無料版)です。
ピックアップが高すぎると音量が大きくなるものの、弦とピックアップの磁力が強く働いてサスティーンが減ります。反対にピックアップが低すぎると、サスティーンは伸びるものの、音を拾わないので音量が小さくなります。音の好みは分かれると思いますが、極端なセッティングはやめておきましょう。また、ピックアップの種類によっては出力が低く(あるいは高く)なっていることがあります。ST250は出力が少し弱いので、もう少し弦とポールピースの距離を縮めてもいいと思います。
オクターブチューニング

最後はオクターブチューニングの調整です(今回は弦高調整は扱いません)。六角レンチを使って調整していきます。12フレットを押弦した時の実音、あるいは12フレットでのハーモニクスと開放弦の差が±5ct~±10ctであれば許容しましょう。突き詰めるとしんどくなります。なぜか自分のギターは6弦だけ+20ctなのですが…。
実音/ハーモニクス音が開放弦よりも高い場合はイモネジを時計回りに締めます。反対に、実音/ハーモニクス音が開放弦よりも低い場合は反時計回りに緩めます。この時に、45度回すたびにチューニングしなおしましょう。そうしないと、気が付かないうちに回しすぎてしまうかもしれません。オクターブチューニングを調整することで、フレットごとの音のずれが減ります。演奏時にかなり影響がでてくるので、正確に音程をとるためにも丁寧に行いましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は前回に比べてかなり難しかった分、弾き心地が大きく変わったのではないでしょうか。ぜひ、自分の好みのセッティングを探してみてください。当然プロのリペアマンにお願いするのもありだと思いますが、自分でできるようになると案外楽しいです。今回も「ネジ」だけを使ったメンテナンスでした。
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