ときどき悪い夢を見ることがある。医学的には疲れているときに夢を見やすいという見解もあるが、自分はそうでない場合が多いようだ。自分にとって夢とは、自身に対しての警告のメッセージであったり、将来を見据えた何らかの勧告である場合もあると思っている。夢には意味があり、長年にわたり夢日記をつけている。
今朝方、実に興味深い夢を3つも見た。一つ目は、酒を飲みすぎて、朝起きると左の目がぼったりと腫れているという夢。これは単に、酒を飲み過ぎるな、という警告のメッセージに違いない。2つ目は何かの会合に遅れていく夢だ。みんながゴチャゴチャ移動しているうちに、その待合室の前に並んで入っていく際の順番をとることができず、もたついている最中、もう待ってられないといったん外に出て、もう一度出直してくると、今度は遅刻をしてしまうという夢だ。これはおそらく自分のやるべき仕事があまりにもたまりすぎていることに対して、強く警告しているものと考えられる。最後の夢は核戦争だ。日本も仕方なく戦争に巻き込まれてしまうことになり、核爆弾が投下されることが予測された。よって日本でも疎開が始まり、東京を離れる準備をしなければならなくなったという夢だ。これはだんだんと現実味を帯びてくるリアルな内容だったことから、恐ろしいことだと思う。
いずれも悪夢に近い内容であり、人様に語っても何のいいこともないだろう。でも、そのような悪夢のような出来事は、実際に立て続けに起こりうるのだ。その恐怖体験がリアルなものとなり、現実問題としてニューヨークが大嫌いになった、たった1日の、ありえない体験談をシェアーしよう。
今からもう15、 6年前のことだろうか。子供3人がアメリカに留学をしていた時、学校が休みの期間中、3人の面倒を見るために仕事の合間をぬって、ニューヨークへと向かった。そしてレンタカーを借りて、コネチカット州からニューヨークのマンハッタンアイランドまで車を運転することになる。ニュージャージー側からマンハッタンに向かうトンネルに入る道は大渋滞していた。まず、そこで最初の事件が起きる。車が全然動かないほど渋滞する中で、止まっていた車に、突如、後ろから追突されたのだ。大渋滞の最中、ありえないことだ。しかもその真横の歩道に警察官がいたのだが、その事故を見ても何もしてくれない。よって車を横に停めて、自分ひとりで相手と話をしながら保険の情報を得るしか術はなく、とても不安になり、気分を害した。仕方ない。そんな日もあるさ、と、マンハッタンアイランドの中心街に向けて、再び車を運転していくことに。
そしてランチタイムになった。どこで食べるかもわからず、中心街の一角、ホテルのすぐそばの道に一時停車して、ホテルの中を子供たちと見に行って確かめることにした。その数分後、表に出てくると、何と、自分の車がレッカー車で運ばれている状況が目に入った。ありえない!たった数分だったのに。そこでレッカー車に手を振って、走って追いかけていった。が、そんな自分の姿を振り返って見たドライバーは、全く気にもせず、自分を無視してそのまま走り続けた。どこにレッカー移動されるのかわかるはずがなく、とっさに、その日のプランは車探しで全滅するという悪夢が心の中をよぎった。そして有無を問わず、そのレッカー車を無我夢中で追いかけて、走っていくことにした。マンハッタンの道路は混雑して、車はのろのろ運転だから、何とか追いつけると思った。また、当時はマラソントレーニング中で、ガンガンと走ることには慣れっこになっていたこともあり、レッカー車を追いかけ続けた。そして遂に、レッカー移動された車が置かれているヤードまで辿り着いたのだ。汗びしょになったが、とにかく目的地にたどり着き、ほっとしたのもつかの間。。。
そこで運転手に手を振って、自分も辿り着いたことを知らせた。あくまで好意的な挨拶の気持ちだったのだが、それがまた、恐怖のニューヨーク体験の、さらなる一歩となる。建物の中に入ったその時、あの運転手がこちらに歩みよってきて、自分に対して怒鳴り始めた。言わんとしていることは、「おまえはくそったれ、人を馬鹿にしてんのか、てめーを牢屋に放り込むぞ、ふざけるのもいい加減にしろ」 と、すごい剣幕だ。運転手も警官だったのだろうか。暴言、妄想、虚偽の発言、などきりがないが、こちらは見知らぬニューヨークの一角にいるので、何もできない。言われるがままに、ぼーっと聞いていた。言葉が出なかった。おそらく、自分が手を振ったことが、相手にとっては、馬鹿にされている行為と思われ、それで被害妄想に陥っていたのではないかと想像する。いずれにしても、レッカー移動の事務所前で、警官からどやされて、恐喝されたことは、思い出すだけでも吐き気がする。
既にトンネル前で、交通事故。そしてホテル前でレッカー移動を目撃。それからマンハッタンの街を全速力で走り、レッカー車を追いかけていくという珍事。それに加えて、レッカー移動の事務所前で、警官から恐喝され、暴言を浴びた。これだけのことを、たった半日で体験できるのが、ニューヨークのすごい所だ。好きになれる訳がない。
そして最後におまけがもうひとつ、ついていた。そのレッカー移動の事務所の入り口ホールには、FBIから指名手配されている殺人犯の顔写真が何枚か貼ってあった。かなり大きめの写真なので、顔の印象が良くわかる。その時、とんでもないことがおきた。自分の目の前、2mほど先に2人のがたいの大きい黒人が立っていた。かれらはそのFBIの写真を見ながら、あざ笑うようなしぐさで、互いにふざけあっていた。自分の目は、節穴ではない。100%間違いないと確信している。そのFBI指名手配の殺人犯が目の前に立っている。そして彼は壁に貼られた自分の写真を見て、にやにやと笑っているのだ。とんでもない度胸だ。
当然ながら、そのレッカー移動の事務所は警察の管轄下であり、そこには警官がいることから、誰かに、あの人がFBIで指名手配されている人にそっくりですよ、と言えばいいだけである。ところが、その時点では、自分の気力は既に失われ、犯人だと確信するも、何も行動に移すことができなかった。そもそもニューヨークの警官にはあきれており、事故の時も何もしてもらえず、レッカー移動の時は、どやされまくったこともあり、意気消沈していた。なおかつ、そこで、目の前にいる人を訴えようものなら、今度は何をされるかわからない。しかも隣で一緒にふざけていた彼の友達から恨まれ、自分は追いかけられて殺されるかもしれない。そういう現実がニューヨークにあることを聞いていただけに、真実を語ることができない恐怖感をいやというほど味わうことになる。
そう、ニューヨークとは、自分にとって恐怖の体験を積み重ねることとなった、非人道的な行為がはびこっている街にすぎない。だから、ニューヨークにはよほどのことがない限り、行かないことにしている。そして万が一、行くことになったとしても、車は運転せず、できるだけ早く街から脱出することにしている。さすがに恐怖体験の後遺症はひどく、それがトラウマになってしまったのだろう。その結果、いつも思うようになった。やっぱり日本が一番いい!最高の国だ!警官も優しいし、みんな優しい!みんなが助け合う!それが日本のプライドだ!世界に誇る日本国家の国民として、日本に生まれ育って本当に良かったと思う。天皇陛下、バンザイ!
