こんにちは、商品部の西田です。
みなさんはジャズを聴きますか?
私は大学時代ジャズ研究会に所属していたため、メジャーどころばかりですが、今でもたまに聴いています。特にジャズピアニスト、ビル・エヴァンスが大好きです。
クール・ジャズの大成に大きく寄与したとされる彼は、儚さや切なさをひしひしと感じさせる演奏で人々を魅了してきました。冬のような雰囲気を身に纏う彼ですが、意外なことに誕生日は8月16日、夏なんですね。

2019年はビル・エヴァンス生誕90周年ということで、彼のドキュメンタリー映画が公開されました。現在映画の公開は終了しており、DVDが発売されています。ぜひトレーラーだけでもご覧ください。
今回はそんなビル・エヴァンスの有名なアルバム、そして楽曲についてご紹介します。
1. 『Kind of Blue』 “Blue in Green”

まさにエヴァンスの名を世に轟かせた名盤。エヴァンスはあくまでサイドマンとして参加しています。中でもこの”Blue in Green”は必聴ものです。チャーリー・パーカー以後のジャズを指す「モダン・ジャズ」はコード主体として即興演奏を行います。しかし、このアルバムは旋律(旋法、モード、スケール)を主体として即興演奏を行うことから「モード・ジャズ」と呼ばれます。”Blue in Green”はジャズらしい緊張感と、その新たな手法を見事に調和させています。まさにモード・ジャズの方向性を定めたと言っても過言ではないほど素晴らしく、筆舌に尽くしがたい作品です。
2. 『Portrait in Jazz』 “Autumn Leaves”

これを語らずしてエヴァンスは語れない。ビル・エヴァンスの名前以上に有名です。『Portrait in Jazz』, 『Explorations』, 『Waltz for Debby』, 『Sunday at the Village Vanguard』の四作品をまとめて、リリースされたレーベル会社の名前を取り、「リヴァーサイド四部作」と呼ばれます。”Autumn Leaves”はジャズを知らない人でも聞いたことはあるくらいには様々な場所で流されており、なんと言ってもドラマーのポール・モチアン、ベーシストのスコット・ラファロとの見事な掛け合い、エヴァンスの完成されたインプロヴィゼーション(即興)が聴く人を魅了します。これまでのジャズではベーシストやドラマーはピアニストを立てるための道具として使われており、主役として前に出るようなことはまず無かったのですが、スコット・ラファロがこの常識をひっくり返し、以後のモダン・ジャズに多大な影響を与えました。しかしながら、ラファロはWaltz for Debby, Sunday at the Village Vanguard収録から11日後不慮の事故で亡くなります。
3. 『How My Heart Sings!』 “How My Heart Sings”

エヴァンス中期作へ架かる橋といえば、スコット・ラファロ亡き後に加入したベーシストのチャック・イスラエルから成るトリオ作品たちです。ラファロのように派手な演奏では決してありませんでしたが、見事なインタープレイを繰り広げています。再生を開始した第一音目から次へと繋がる緊張感がたまらないですね。背筋をなぞられる様な、そういった感覚です。曲自体は明るいのにもかかわらず、どこか哀愁が漂うというのがエヴァンスのピアノ演奏の特徴とも言えます。不思議です。
4. 『The Tokyo Concert』 “Gloria’s Step”

エヴァンスの身体は兵役時に始まった薬物乱用によって徐々に蝕まれていました。中期頃からは彼の特徴の一つであるカッチリとしたビジネスマンのような格好を崩し、髪を伸ばし、髭を生やすようになりました。一説には薬物によってボロボロになった歯を隠すためだと言われています。そんな渦中の彼は東京へとやってきました。中期エヴァンストリオからはポール・モチアンも脱退しており、ドラマーのマーティ・モレルとベーシストのエディー・ゴメスが加わっています。そんな中で披露された “Gloria’s Step”は亡きラファロが制作した楽曲です。
5. 『I Will Say Goodbye』 “Dolphin Dance”

後期エヴァンスを形作るラスト・トリオメンバーはドラマーのジョー・バーバラ、ベーシストのマーク・ジョンソン。モチアンやモレルと比べ、バーバラは少し前ノリな演奏になっており、激しいドラムを叩きます。メンバーによって大きく演奏表現が変わるのがジャズ、もちろんエヴァンスも初期に比べ前に乗り出すような、勢いのある演奏を好むようになりました。もちろん静かなバラードの演奏も行い、それはとても繊細で美しいものばかりです。美しさと激しさの共存、それがエヴァンスの魅力とも言えますね。
6. 『The Paris Concert: Edtion One / Two』 “Nardis”

終期エヴァンスによるパリコンサートのライブアルバムです。同アルバムリリース翌年である1980年9月15日に、彼は肝硬変ならびに出血性胃潰瘍により亡くなりました。エヴァンスの元夫人(厳密には内縁関係)のエレインと兄ハリーの自殺が破滅志向に影響したとも考えられます。そのような中で紡ぎ出される繊細な音の数々は彼が生きたという証をまざまざと見せつけているかのようです。
ピックアップしたのは”Nardis”。マイルス・デイヴィス作の楽曲ですが、本人の公式な録音はなく、演奏を数多くしていたのはエヴァンスでした。Paris Concertではなんと17分半にも渡る長尺で、その殆どをトリオというよりかはソロ演奏のような手法で繰り広げます。特に長い長いイントロが終わってからの主題突入は鳥肌ものです(6分半付近)。
7. 『EVANS IN ENGLAND』

Resonanceというレーベル会社からリリースされた本作は、今まで埋もれて眠ってしまっていた、エヴァンスの未発表作品です。Resonanceからは同様なアルバム『Some Other Time: The Lost Session from The Black Forest』, 『Another Time: The Hilversum Concert』の2作品がリリースされており、どちらも非常に録音状態の良い素晴らしい演奏を聴くことができます。
突然の機材コーナー!
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さて、今回ご紹介したエヴァンスのアルバムはほんの一部です。エヴァンスの壮絶な人生は、彼のピアノを繊細で物悲しい雰囲気を加えるスパイス。そんな儚げな彼を人々は愛し続けるのです。だからこそ、私はエヴァンスのピアノに惹かれ、好きになったのです。ぜひこの機会にジャズを聴いてみてください。それでは!
