ワシントン条約によるローズウッドの取引制限が始まったのが2017年1月。ギターやベースの新製品を見ていると、これまではストックのローズウッド材を使用していたメーカーも、代替材への切り替わりを余儀なくされている状況をひしひしと感じます。
そこで今回は、ワンスポットの製品ではなく実際に市販品として売られているギターやベースに採用されている木材の中から、指板材の未来を担いそうなものを紹介します!
パーフェロー(Pau Ferro)
密度が高くエボニーに近い滑らかな質感でありながら、油分を多く含みサウンドはローズウッドに近いと言われます。柾目の材になるとエボニーよりも硬く、太い低音域とアタックのはっきりした高音域を併せ持つとのこと。
SuhrやFenderの一部製品、ESPの低価格ラインであるEdwardsやE-IIの製品に採用されています。
FENDER (フェンダー)/ Player Strat PF SGM
EDWARDS (エドワーズ)/ E-ZUKAPPER
ウェンジ(Wenge)
濃い茶色と派手な木目が特徴的な木材。一般的に重い材はサステインに優れる半面、生鳴りはよくない傾向がある中、ウェンジは生鳴りも良いのだそうです。多弦ギターのネック材にも使えるほど硬質で、サステインとアタックに優れます。
Ibanez製品で指板材やネック材として使用されています。
Ibanez (アイバニーズ) / RG1070PBZ
エボニー(Ebony)
「いやいや、エボニーは前から指板材としてポピュラーな材じゃん」という方、伐採されたエボニーの木のうち、材木として加工されるのは極一部ということはご存知だったでしょうか。真っ黒で均一でないエボニーは「B級」とみなされ、これまでは材木として使用されることがありませんでした。しかし、近年はTaylorやMUSICMANのように、まだらのエボニーもギター用の材として用いる例が増えています。(MUSICMANは特にSmokey Ebonyという表記を用いています)
Taylor (テイラー) / 214ce CF DLX
※サイド/トップ材にはローズウッドの代替としてコパフェリ(Copafera)を採用
MUSICMAN (ミュージックマン)/ JP16
今後ローズウッドに代わる指板材になってほしい木材3種類を紹介しました。ワンスポット的なモデルも含めれば、各メーカー様々な材を導入しています。ただ量産化まで辿り着いている木材はあまり多くないのが現状です。個人的には、ローズウッドと同じくマメ科の樹木であり、色味のきれいなパープルハートを使ったギターがもっとあってもいいのにと思ったりします。
また、ギタリストが代替材 = 劣っているもの という誤ったイメージを持ち続ける限り、ローズウッドの需要はなくならず、規制が厳しくなることも必至。それぞれの材の特徴や、材の組み合わせによるサウンドメイクを受け入れ、多様な製品開発ができる土壌を作り上げていくことが現代のギタリストに必要なことのように感じます。
参考:
Fender NEWS 今注目される素材「パーフェロー」とは?(2018年11月19日閲覧)
ESPローズウッド等を使用した製品に関するお知らせ(2018年11月19日閲覧)
alterna 絶滅危機の黒檀取引を変えたギター工房(2018年11月19日閲覧)