PlaytechのテナートロンボーンPTSL-200を買った。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PTSL-200 テナートロンボーン
楽器を買うときというのは、どうしても「どんな音がするんだろう」とか「何を吹こう」とか、音楽的なことを考える。私も考えていた。これから始まるトロンボーンのある生活。伸びるスライド。天使の歌声を思わせる音色。いいですね。夢があります。
ところが、いざ手元に来てみると、音楽より先に考えなければならないことがあった。
これ、どうやって運ぶの・・・。
重い。
テナートロンボーンは、トロンボーンの中では軽いほうだ。だが、こちらは元々フルート吹きだ。
私の中の「楽器ってこのくらい」という感覚が、完全にフルートの形に仕上がっている。そこにトロンボーンが来た。重い。大きい。
楽器を始めたつもりが、運搬という新しい種目にもエントリーしていた。
いや、買う前に気づけよという話ではある。形を見ればわかる。フルートより大きいことぐらい、考えなくてもわかる。
だが、わかることと、自分の肩が納得することは別だった。
背負いたい。ただしケースは買い直したくない。
電車で移動することもあるので、手で持ち続けるのはつらい。
では肩に掛ければいいのかというと、ワンショルダーも、結局どちらか片方の肩に仕事を集中させることになる。右肩を休ませるために左肩に掛ける。左肩がつらくなったら右肩に戻す。
肩の間で業務を引き継いでいるだけで、私全体としての仕事量は減っていない。
リュックにしたい。
両肩で背負いたい。
私には肩が二つある。こういうときこそ協力してほしい。
だったら最初から背負えるケースを買えばいい、という、たいへん正しい意見があると思う。
しかし、ここでプレイテックユーザーの皆さまにお尋ねしたい。
楽器本体より高いケースを買うことに、心が1回止まりませんか。
いや、良いケースにお金をかける意味はわかる。楽器を守るものだし、持ち運びやすさも大切だ。大切だからこそ、今こうして悩んでいる。
でも私は、コスパを重視してプレイテックを買った人間なのである。
本体の値段に納得し、「よし、これなら始められる」と思って買った。その直後に、本体以上の金額をケースへ投入する。予算の組み方として、私の中の何かが激しく首を振っている。
ケースも欲しい。でもその金額を見ると「もう1回、楽器買う気か?」という声が聞こえる。
ちなみにマウスピースも、付属のものでいけるところまでいこうと思っている。
最初から装備を充実させるより、まずは今あるものでやってみたい。付属品にも働いてほしい。私に選ばれた以上、しばらくは同じチームで頑張ってもらう。
そういう方針なので、ケースだけ急に大型補強するわけにもいかない。
背負いたい。
でもケースにお金はかけたくない。
この二つの希望が、私の中で一歩も譲らず向かい合っていた。
純正ケースをどうにかできないか。
買い替え候補として見ていたのが、こちらのケースだった。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PTCTB トロンボーンバッグ
ただ、テナートロンボーンを入れると、ケースの中にかなりスペースが余る。

【写真:候補のケースにテナートロンボーンを収納したところ】
入る。ちゃんと入る。
でも、ケースに対して楽器が小さい。「まだ何か入れる予定でしたっけ?」というくらい余白がある。
この隙間のせいで、運んでいる最中に楽器が動くのも避けたい。タオルとかを詰めれば、いけそうではある。
ただ、背負って楽に移動したくてケースを買い替えるのに、今度は楽器と一緒にタオルを詰める生活が始まる。
トロンボーンをしまうたびに「よし、タオルも入れたな」と確認するのか。私は今、楽器のケースを探しているのか、トロンボーンの荷造り方法を考えているのか。
使えそうではある。でも、買い替えを決めるには、もう一押し足りなかった。
そこで考えた。
もう、純正ケースをDIYするしかないのでは。
今あるケースを背負えるようにすれば、ケースそのものを買い直さずに済む。非常に筋が通っている。買い替えたくない私と、背負いたい私が、ようやく同じ方向を向いた。
そこから調べまくった。
純正ケースをどうにかリュックにできないか。背負うためのベルトを後付けできないか。都合よく私の悩みを解決する何かが、この世に存在していないか。
楽器の練習に向けたい集中力を、楽器を運ぶ方法の調査に注ぎ込んでいる。トロンボーンを買った人間が、トロンボーンを吹かずに、トロンボーンの背負い方を調べている。
でも、運べなければ始まらない。
家から出る前に肩が負けるようでは困る。
そうして探し続けた結果、正解は近くにあった。
そう、サウンドハウスに。灯台下暗しにもほどがある。
散々ネットを調べまくって、最終的に自分の勤め先にたどり着いた。
買ったのは、ギター用のこれ
結論、これを買った。
KAVABORG「Case Saddle」ギターハードケース用キャリングポーター
トロンボーン用のケースを探していた私が、最終的にたどり着いたのはこれだった。
商品名にはっきり「ギターハードケース用」と書いてある。でも、今の私が求めているのは、手持ちのケースを背負えるようにすることだ。
そして、トロンボーンのケースに付けてみたのがこちら。

【写真:純正ケースにCase Saddleを取り付けたところ】
良い。
良いです。
まず、リュックになる。
「リュックにしたくて買ったものがリュックになる」という、文章にすると当然すぎる感想なのだが、こっちはその当然にたどり着くまで、ずっと調べていたのである。
背負える。
両肩が参加できる。
今まで片方の肩、あるいは片方の手に任せようとしていた荷物を、背中に持っていける。この形にしたかった。私は最初から、これがしたかった。
ケースを買い直したいわけでも、DIYそのものを趣味にしたいわけでもなく、今あるトロンボーンを背負いたかったのだ。
その希望が、ようやく形になった。
ベルを上にしたい人にも、下にしたい人にも
もう一つ、良いと思ったのが、背負う向きを選べることだった。
トロンボーンのケースを背負うとき、ベルを上にしたい派と、下にしたい派がいると思う。
こういうのは好みがある。実際に背負ったときの感じもあるし、自分がしっくりくる向きにしたい。
これは、どちらの向きにも対応できる。
私にとっては、ここも良かった。
背負えるようになったものの「ただし向きはこちらで決めさせていただきます」と言われたら、また小さな悩みが増えるところだった。運び方を楽にするための買い物なので、自分の背負いたい向きに合わせられるのはありがたい。

【写真:Case Saddleをベルが下になるように取り付けたところ】
もちろん、気になるところもある。
まず、若干重い。
ここまで「重いから背負いたい」という話をしてきて、追加したものにも重さがある。
数字だけ見たら何をやっているんだという話なのだが、私が困っていたのは、重さに加えて、その持ち方だった。手や片方の肩で持ち続けるのがつらいから、背負えるようにしたかった。
その目的はかなっている。
ただし、付けることで重さが増えるのは確かなので、そこは気になる点として書いておく。背負えるようになった喜びで、重さそのものが消滅するわけではない。
そして、取り付けがちょっと手間。
ここも、何も考えずに一瞬で完成、というわけにはいかなかった。ケースに取り付ける作業は必要だし、そこには少し面倒くささがある。
あと、若干はみ出る。
ケースよりも「Case Saddle」のほうが少し幅が広いので、取り付けるとケースの横からはみ出す。

【写真:若干「Case Saddle」のほうが幅が広い】
でも、これは私にとってはどうでもよかった。背負える。それで十分だった。
「重さは増える」「取り付けには少し手間がかかる」。
こうした点を含めたうえで、それでも私は買ってよかったと思っている。
ケースを買い替えずに、背負えるようになった。
いちばん大きいのは、やっぱり、今あるケースを使ってリュックにできたことだ。
本体以上のお金をケースにかけたくない。でも電車移動のために背負いたい。その、なかなか折り合わなかった希望に、ようやく着地点ができた。
他の楽器のケースにも使えそうだな、と思う。ただ、使えるかどうかはケースの形や大きさにもよるはず。今回は、PTSL-200の純正ケースに取り付けた感想として受け取ってほしい。
少なくとも、私の「トロンボーンを背負いたい問題」には、これが良かった。
楽器を買うと、楽器そのもの以外にも、いろいろなことを考えるのだとわかった。何を吹くか。その前に、どう運ぶか。音を出すまでの道のりには、文字どおり移動が含まれていた。
ひとまず、運び方には決着がついた。
ケースは続投。マウスピースも付属のまま続投。新しく加わった「Case Saddle」には、トロンボーンの運搬を手伝ってもらう。
そして私は、検索する手をそろそろスライドに戻したい。









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