
ギター一本で、インドの弦楽器シタール、そして伴奏楽器タンブーラの音色を出してしまう、エレハモの傑作エフェクター“Ravish Sitar”。そのRavish Sitarで弾きたいラーガ・ロックのディープな名曲を、3回に分けて様々なジャンルから、ご紹介していくこの連載ブログ。今回はサイケデリック編に続く第2回目クラブ・ミュージック/ブラック・ミュージック編として、クラブ・シーンで今日まで愛されてきたラーガ・ロックを、筆者の独断と偏見を元にチョイス。Ravish Sitarを駆使して弾いてみたいと思います。
第1回目同様、Transglobal Underground、クーラ・シェイカーやコーナー・ショップ、ポール・ウェラーのINDIAN VIBES のような、他のブログや、音楽雑誌でよく触れられているようなラーガ・ロックは見送り、サウンドハウスらしく(?)、よりディープな迷宮へと入って行きたいと思います。いずれもCDでリリースされている曲や、動画サイト等で試聴できるものを中心にご紹介いたします。お部屋を薄暗くして、レコードやCD、YOUTUBEと合わせながら弾いて楽しむ時や、クラブ・イベントでの演奏や選曲のご参考になれば幸いです。
第1回目ではシタール、タンブーラの音色をナチュラルな感じの音色にして、出来る限りオリジナルに近いテイストで弾いてみました。しかし今回は、よりトランシーに楽しめるよう、SYMPTHのつまみを大きめに設定し、ギラギラとグラマラスなサウンドにして、レコードやCDをかけながら弾いてみます。すこしフェイクな感じの音色になるものの、それによって神秘的な宇宙観も出て、ちょっと鳴らしただけでテンションがあがります。

さて、それでは素晴らしきラーガ・ロック第二の秘宝箱を開けてみましょう。
1. SHIRLEY ELLIS / SOUL TIME

70年代、イギリス北部のノーザンソウル・シーンでもクラブ・イベントでヘビー・プレイされていたという、女性ソウル裏名曲。日本でも、モッズ系のイベントでは今でも人気のフロアキラー・チューンです。イントロのシタールが実に良いアクセント。コードがCから始まるため、カポを3フレット目に装着して、5弦のCでタンブーラの音色を鳴らしながら、イントロのメロディーを奏でるのもおすすめです。Aメロからは、タンブーラでガンガン底上げして、エンディングも好きなようにアドリブするのも楽しい一曲です。
またこの曲はUKソウルシンガー、マデリン・ベルによるカバー・バージョンでも、決めのシタールが楽しめます。是非チェックしてみてください。
2. JAH WOBBLE’S INVADERS OF THE HEAT / BECOMING MORE LIKE GOD

元パブリック・イメージ・リミテッドのベーシスト、ジャー・ウーブル率いるエスニック・テイストなダブ・プロジェクト、1994年のアルバム「TAKE ME TO THE GOD」からの第一弾シングルナンバー。アルバムには、テクノ寄りな「YOGA OF THE NIGHT CLUB」や、亡きクランベリーズのドロレスがボーカルをとったセカンド・シングル「THE SUN DOES RISE」等、他にもシタールをフューチャーした、ダンスナンバーが収録されています。そんな中から、今回は1stシングルとしてリリースされた、このマイナー・クラブ・ヒットを弾いてみます。シタール部分をメインで弾くことになりますが、若干スロウなナンバーなだけにディレイ等と組み合わせてみるとより楽しめました。因みに写真右の12インチ盤B面やCDシングルには、同曲のややアシッドなスローハウス/ファンクなリミックスを収録。シタールの音を抜き取ったバージョンながら、再生させながら弾くと、この上ないレイヴ感です。大スイセン!
3. ROY BUDD MEETS MB - GET CARTER (HEAVY DRUM MIX)

1971年のスパイ映画「狙撃者」のテーマ曲を、強力なリズム・ファンクに仕立てた、クラブ仕様のリミックス・シングル。元々フロア・キラーなカルト・サントラとして親しまれてきたファンク・インスト・ナンバーにシタールや、インドの打楽器タブラも導入。リバーブをすこし強くして、このレコードに合わせて弾いてみたら、かなりドラッギーなオリエンタル・ファンクなムードに。
因みに先程ご紹介いたしましたジャー・ウーブルが、この曲をダブ・ファンクなアレンジでカバーしています。合わせて是非チェックしてみてください。
4. Victor Graham -The Indo British Ensemble – YAMAN (THE COLONEL’S LADY)

かつてピチカート・ファイブもアルバムの曲にサンプリングしていた事でも知られる曲です。イギリスのインド音楽グループによる神秘的なジャジー・ラーガ・アルバム、その名も「CURRIED JAZZ」。その中でもこのオープニング・ナンバーは、1990年代のクラブ・シーンを知る方には、馴染み深いものでしょう。神秘的なリフレイン、ミニマルミュージックに通じるトランス・テイストに合わせ、ディレイとの組み合わせでSYMPATHのつまみを右往左往させながら、自由なフレーズを作って弾き倒しながら盛り上がれる曲でした。この曲をレコードやCDに合わせて弾ける方であれば、アルバム丸々かけながら楽しめると思います。
5. SERGE GAINSBOURG / PSYCHASTENIE

フレンチ・ポップもので、クラブユースなナンバーとして親しまれて来た曲はたくさんあります。そんな中、ラーガ・ロックの極めつけとしておすすめなのがこのナンバー。タンブーラをひたすら鳴らしながら、シタールを弾きまくるラーガ・インスト。セルジュ・ゲンズブール絡みのラーガ・ロックのインストで、もう一つ忘れられないのが映画「MANON」(1968年)のサントラ曲「New Delire」。こちらも、このRAVISH SITARの音色で合わせて弾くとテンション上がります。「PASYCHASTENIE」でハマった方は要チェックです。
BONUS TRACK(おまけ):伊東きよこ/星からの便り

おまけとして、ちょっとだけご紹介したい、日本初とも言われるシタール歌謡がこの1968年の曲。昭和女性歌謡の声と、シタール&タンブーラの絶妙な混ざり具合は、カルト・キラーなラーガ・ムード満載です。UFOクラブや青い部屋のようなところで演奏する機会があるかたは、一度お試しを!
さて今回は「RAVISH SITARで弾きたいこの5曲!」クラブ・ミュージック編として、実にトランシーな曲の数々をご紹介してきました。次回は私、市原からサウンドハウスの若手ギタリスト、宮崎にバトンタッチし、ハード&メタル編として、エナジーみなぎるラーガ・ロック5曲をご紹介いたします。
若き感性による意表をついたセレクションと、より実践的な内容でお贈りします。きっと、あなたのエレハモ・ファン心に火をつけることでしょう。どうぞお楽しみに!
Ravish Sitarで弾きたいラーガ・ロックこの5曲!!
●第1回 サイケデリック編
●第2回 クラブ・ミュージック/ブラック・ミュージック編
●第3回 ソフトロック編
●番外編 HR/HM編