弦楽器の音は弓で決まる。断言こそ避けますが、そう言い切りたくなるほどに「弓」が重要である事は弦楽器奏者の皆様には周知の事実です。
Mischa Maisky, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
有名なチェロ奏者、ミッシャ・マイスキー氏も一説には十数本の弓をその日のコンディションだったり曲によって使い分けたりすることもあるとか、という話を聞いたことがあります。
どうすればこういうショットが撮れるのか・・扇風機?
そうしたプロの奏者が使う弓から入門用の弓まで価格の幅は文字通りのピンキリです。
マイスキー氏くらいの巨匠でも一本に決める事は出来ないであろう、繊細な技巧を駆使するための魔法の道具、「弓」について少しお話を進めましょう。
弓のメーカー ピラミッド概念図
弓のメーカーは欧米、日本、中国、と大まかに区分すると現在流通する個体数から概ね次の図のような構造になっていると思われます。
階層の並び諸説あるかと思われますが説明の都合上、次のようなイメージで捉えていただいてまず問題はないでしょう。
実際のところオールドには古い時代のフレンチ、イギリス、ドイツの量産弓も含まれていますしその数量はかなりの数に上ると言われています。実態を把握することはほぼ不可能で、あくまでもイメージ的に捉えるのが限界です。
中国製の量産品は膨大な数が流通しています。アジア製普及品の部類となりますがサウンドハウスで扱っている商品をご紹介してみましょう
冒頭でマイスキー氏の名前を出したりしてチェロ弓の話をするのかなと思わせておいて、本来であれば全楽器種の弓を多岐にわたって比べてみた、という内容が望ましいのですが諸事情で今回はバイオリンの弓3本に絞ってみました。
・・・・・(読者の皆さんの心の中を想像)
この3種類の商品ページ画像を並べてみて例外なく誰しもが気づくことがあります。
そう「全部同じに見える」ということです。高級品に使われる個性的な象嵌や、豪奢なべっこうやゴールドパーツを使った手工品などは比べる対象ではないので、むしろここでは敬遠させていただいて「弓は大体同じ形をしている」と思っていただいて問題はないと思います。
どうしてバイオリンの弓はこの形をしているの?
これについてはWikiをはじめとしてネットやAIで調べることが可能です。結論だけをかいつまんで述べますと、18世紀にフランスのFrancois Tourteが現代の弓とほぼ同じものを発明し、現代までその伝統が引き継がれているわけです。そうしたフレンチのオールドは数千万円の個体も存在するという骨董の世界です。それでも多分同じようにサウンドハウスで写真に撮ってしまうとこの3本と見比べて違いが明確に分かるというものでもないようです。
「弓」と聞くと普通はこういう形をイメージしませんか?
この弓道の弓は弦(つる)の張力でたわんで丸くなっています。ところがバイオリンも含めて弦楽器の弓は逆に反っていますね。これが前述のFroncois Tourteが発明した現代の楽弓の形なのです。こうすることで演奏姿勢を取った時に、弓のスティックが低い位置にとどまったままに出来て弓の重心を低くできて安定した演奏ができるようになった、というわけです。
ちなみにストラディバリが生きていた時代はバロックの時代。この時代はTourteの弓が現れるよりも前の時代でバロック弓、と呼ばれる弓道弓のような反り具合の形状のものでした。
Wikiでも解説がされています。
Bows-ViolaBassGdulkaKemence, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
上2本はチェロ弓とバス弓(現代の形)
下の2本がバロック弓という事になります。
PLAYTECHの3本のバイオリン弓
色々話を膨らませればゴージャスなブログに仕上がりますが問題は
「PLAYTECHを買ってついてきた付属弓よりも、もう少しいい弓を持ちたい。しかもお安く!」
だと思います。説明を省いてしまうと残るのはご紹介している3本のどれかになります。
3本に絞ったと言ってもどれを買えばいいの?選ぶ基準は?安いけど大丈夫なの?
そうしたあなたの不安を解決するこのブログを続けましょう。
PVB100,300,244のヘッド
PVB100,300,244のフロッグ周り
PVB100のスライド Half Lined仕様
PVB100のロゴスタンプ
PVB300のスライド Half Lined仕様
PVB300のロゴスタンプ
PVB244のスライド Full Lined仕様
PVB244のロゴスタンプ
いかがでしょうか。少し見慣れてくるとパッと見た時に、この3本の区別くらいはすぐにできるようになりますね。でもヘッドの形は画像だけですと筆者も当てられません。
ちなみにここに写っているPVB100と300は筆者の私物で楽器の検品作業時の音出しに普段から使っています。ちょっと弾くならこれらの弓で充分です。
各部の名称 | 仕様 | PVB100 | PVB300 | PVB244 |
---|---|---|---|---|
スティック 素材 | ブラジル材 | 〇 | 〇 | 〇 |
スティック 形状 | 丸弓 | 〇 | ||
角弓 | 〇 | 〇 | ||
フロッグ/インレイ | シングルアイ | 〇 | 〇 | |
パリジャンアイ | 〇 | |||
金属部分の形状 | Half Line | 〇 | 〇 | |
Full Line | 〇 | |||
ラッピング | Silver Plated Copper | 〇 | 〇 | 〇 |
3本の弓の仕様の違い
通常弓を識別しようと見る際、いわゆる「品番」が記されているものは稀です。その製品であることを特定するためには仕様を確認するしか方法がありません。
例えばPLAYTECHでいえば「PVB100」「PVB300」「PVB244」といった刻印は無く、単に「PLAYTECH」のロゴが刻まれているのみです。
これはもう少し値の張る弓でも同様に品番が弓に刻まれる、と言うのは見たことがありません。今回の3本は「Playtech」ロゴを刻んでいますが、他の通販サイトで扱われる似た価格帯の弓では全くのNo Stampのものも多数見られます。
こうして見るとどれも大きな差というものが無いように見えますね。
品質の要はやはりスティックのクオリティ
象嵌や飾り部分は音質に大きく影響するものでもなく、やはり音を決めるのはスティック。
厳密に言えば張ってある毛も比重は大きいですが、今回は毛の説明は割愛しまたの機会に回します。
スティックは程よいしなりがあり、固すぎず柔らかすぎずが理想ですが、これでは明解な説明とは言えませんね。ただ残念ながらこれ以上の説明も難しいとは思います。
見た目の区別
外観の特徴では丸弓と、角弓があります。これはスティックの断面が丸いものが丸弓、八角形のものが角弓です。
八角の弓というのは製造工程で丸弓にする手前の工程で仕上げた仕様、と言えるものです。中にはデザイン的に八角を最初から意図した弓もあります。角が残っている分、スティックに強度が出て硬い弓になる傾向があると思います。
しかし、この「強度」についてはスティックの材質の種類、同じ種類であっても個体差があり、硬さ(柔軟さ)はひと通りではありません。
本文の前半のピラミッドで説明しました通り、紹介している3本の価格帯は個体数が多く、その膨大な数量の中で重さ、強度、木目の美しさ、と言った要素で「良い」と判断できるものは上のランクの製品になる、と考えて良いかと思います。
世界の弓 いろいろ
量産工場の製品はドイツやスイスなどにメーカーが多数存在しています。そうしたメーカーの弓はメーカー名のロゴスタンプの他に*マークが、ランクに応じ1個〜3個押されたりする場合がありその場合は識別が容易です。
フランスには個人工房がパリを中心に多数いますが、それぞれ製作者が厳選した材料に、持てる技を注ぎ込んで素晴らしい弓を製作しています。
そうした弓は決して安いものではないことは勿論ですし、購入する時の選定する側にもある程度の経験は必要になります。
その人が使う楽器に合わせて相性の良いものを選ぶ訳ですがこれにはセオリーが全く存在しません。実際に音を出して買うか買わないかを自分で決めなければなりません。
これはバイオリンが弾ける方であっても、楽器店の店頭で限られた時間内で、となると大変ストレスのかかる作業です。
買うぞ、と決心してご来店されたはずなのにまた来ます、と帰られたお客様も接客した経験は少なくはありません。
オールドとなると、最早販売する側と奏者の個人的な信頼がなければ見せてもらうこともかなわない、そんな世界になってきます。
まとめ
このように少しご説明しただけでも弓の買い物ってゴージャスな世界過ぎると思われませんか?
という事で!今日のブログの結論です!!
「まずはPLAYTECHの弓をお求めいただくのが最良のご選択」という事です。
それなりの弓を、出来るだけお安くお求めになりたいお客様。きっときっとご満足いただける弓がお手元に届きますよ。
今日はバイオリンの3本を取り上げましたが
全楽器種の弓がお得なプライスで揃っています。
ぜひPLAYTECH 244シリーズの弓をお試しください。