連日気温は30度を超え、夕方には突然の曇り空ともう真夏は目の前!皆さんお元気ですか? 注:公開される頃には、すでに真夏ど真ん中という可能性があります。
かくいう筆者、海沿いで行きたいスポットがいくつかあり、いつ行くか頭を悩ませています。
そんな季節ですが、話題はいつもどおりギターについてです。皆さんはピックアップの改造の経験はありますか?中には余裕だぜって人もいるかと思います。
今回は少し交換に慣れてきたころにハマりやすい、小さいけれど侮るとやられる落とし穴にフォーカスしていこうと思います。
では突然ですが、この写真を見てください。


可愛いですね。どちらもご存知、Seymour Duncan SH-10です。この2つを見比べて、違う点はどこでしょう。
ロゴの有無?片方がやけにボロいこと?……では、2つを並べた写真を。

はい、もうお気付きですね。そう、取り付け足の長さが違います。
長いほうをロングレッグ、短いほうをショートレッグとも言ったりしますが、果たしてこの違いがどんな差を生むのでしょうか?見てみましょう。


というわけで、エスカッションに取り付けてみました。高さはエスカッションのトップ面とツライチで揃えています。注目すべきは取り付けビスの余り方。どちらもボビンの厚みに違いはほぼないので、足の長さだけでこれだけの差が付いています。
ここだけで、ギターに組み込んだ際の高さ設定の可変幅が変わることは想像に難くないかと思います。足が短い方はやろうと思えばもっと低くセッティングできますが、足が長い方はネジが抜けてしまうのでできません。
ではもう少し想像を広げて、これがダイレクトマウントのギターだったら……?
そうですよね。ザグリの高さに手を加えないと、ギターに組み込むことができません。買ってから泣きを見ます。
そんなわけで、ハムバッカーを購入する際は、弦間ピッチなどはもちろん、取り付け脚の長さにも気を配れるとより精度の高い作業ができるかと思います。
最後にもう少し。ピックアップの歴史と照らし合わせつつ深堀りしていきたいと思います。
もともとハムバッカーの足は長いほう、ロングレッグからスタートしました。そう、皆さんご存じGibsonのPAFですね。
これなんか本家GibsonによるPAFリイシューですが、足が長いのがお分かりいただけると思います。
そこから時代は進み、ギターのセットアップの流行りも変化していく中で、テクニカルなプレイヤーにウケたのが「ロープロファイル」と呼ばれるセッティング。ボディにできるだけ深くパーツを沈めこみ、ピックガードも排して、ボディトップと弦の距離をできるだけ縮めようというセッティング。ESPなどのブランドが得意としている印象があります。
そのセッティングにしたとき、従来の長い脚用のハムバッカーだと、ザグリを無駄に深く掘らなくてはなりません。そのため……
- ボディ裏スプリングキャビティとの干渉
- 大きく空洞が空くことによるハウリングの懸念
- そもそもハムバッカーを取り付けた際の安定感の不足
と、良いことがまるでなかったわけです。短い取り付け足は、その欠点を解消するための改良策だったわけですね。そのため、最近のモデルでは足が短い場合が多いです。
ここで最初の写真を見てみてください。どちらも同じ型番です。なのに足の長さ、違いますよね……?
製造時期が違ったりすると、こんなことも起こり得ますので、パーツを交換する際は寸法をしっかりチェックしてくださいね!