「ハムバッカーとシングルコイルの音を1本のギターで出せたらなぁ・・・」という夢を抱いているギタリストは多いことでしょう。
そんな悩めるギタリストにオススメなのが“コイルタップ”
コイルタップは、ハムバッカー搭載ギターの可能性を広げる魔法の配線。最近では、多くのメーカーが標準でコイルタップ配線を採用しているギターを販売しているため、認知度も上がっていますね。
今回は、“コイルタップとは?”と改造のポイントをご紹介します。
コイルタップってどんな効果が得られるの?
コイルタップとは、ハムバッカーの2つのコイルのうち、片方をキャンセルすることでシングルコイルに似たサウンドを再現する配線方法。
カッティングでは歯切れのいいシングルコイル、バッキングでは歪が乗りやすいハムバッカーという感じで、1本のギターでサウンドを使い分けることが可能に!ギタリストの表現方法が広がります。
どっちのコイルをキャンセルする?
意外と知られていませんが、どちらのコイルをキャンセルするのかを選ぶことも可能なんですよ!また、スイッチを設けることでキャンセルするコイルを選択することもできちゃいます。そう考えると、ギブソンのジミーペイジ・モデルとまではいきませんが、非常に多くのサウンドを得ることができる改造と言えますね!
レースセンサーでお馴染みのレースDually(デュアリー)シリーズなど、どのコイルを選ぶかによって全く違うサウンドを出力するハムバッカーも販売されているので、興味のある人はチェックしてみてください。
コイルタップができないハムバッカーがあるってホント!?
ハムバッカーには「2芯」と「4芯」のタイプがあります。このうち、コイルタップ配線ができるのは4芯のハムバッカー。
【2芯と4芯の違い】
■2芯タイプ:ハムバッカーの2つのコイルが電気の+と-を分担している。
■4芯タイプ:ハムバッカーの2つのコイルがそれぞれ電気の+と-を担っている。
自分のギターに搭載されているハムバッカーが2芯タイプの場合はピックアップの改造によって対応します。ただ、その分工賃が掛かるので要注意!よっぽど音が気に入っている場合を除き、4芯のハムバッカーに変えるのがオススメです。
あなたはどっちのポットを選ぶ?
改造によってコイルタップを付ける場合、“トグルスイッチ増設”、もしくは“スイッチ式ポットへの交換”による実装が一般的。
トグルスイッチは、ギター本体に穴を開けなければならないので、見た目の変化がほとんどないポット交換でコイルタップを実装する方が多い印象です。私のギターもコイルタップのためにポットを交換しています。
上の画像の四角のポットがスイッチ式ポット。ポット改造によるコイルタップ改造は、ギターの外見が改造前と後でほとんど変わらない点も嬉しいポイント!
スイッチ式ポットは「プッシュ/プッシュ」と「プッシュ/プル」の2種類が用意されています。どちらが優れているというわけではなく、求める操作性によって選択しましょう!
プッシュ/プッシュ
映像では伝わりづらいですが、100%の優しさで軽くタッチしている感覚。頻繁に切替えるプレイスタイルならば、間違いなくこのタイプのポットがオススメ!
注意点としては、予期せぬ切替えが発生するリスクがあるということ。とくにライブパフォーマンスが激しいギタリストは注意が必要です。
プッシュ/プル
このタイプは、“引く・押す”を行う必要があるので、スムーズな操作には慣れが必要。一方、カチッとしたスイッチ感がある機種がほとんどのため、プッシュ/プッシュ式ポットのデメリットである予期せぬ切替えを防ぎやすい。
「自分で改造する!」という強者は以下に改造方法が書かれているので要チェック!スイッチの仕組みや配線例を掲載しています。
コイルタップを武器にするならポットとコンデンサーの値もチェックしよう!
みなさんはご自分のギターに搭載されているポットとコンデンサーの容量をご存知でしょうか?
ピックアップの種類 | コンデンサーの容量 | ポットの抵抗値 |
---|---|---|
シングルコイル | 0.047μF | 250KΩ |
P90 | 0.033μF | 300KΩ |
ハムバッカー | 0.022μF | 500KΩ |
ここで気になるのが、コイルタップするギターのポットとコンデンサーの値。コイルタップは、ハムバッカーとシングルコイルを切り替えるのと同じなので、どの値にすればいいのか分からない方も多いハズ。
コンデンサーの容量
容量の多い方が高域をカットする傾向にあるので、「ちょっと高域がキツイなぁ」という場合はコンデンサーの容量をアップするなど、求めているサウンドに対して選択してみましょう。
ただ、私の耳だと音の違いをほとんど感じませんでした。
いやいや、小さなこだわりの積み重ねが自分の音を作るんだ!!
ポットの抵抗値
音の変化が大きかったのがポットの交換。
コイルタップをすると言っても、基本的にはメインとなるハムバッカーに合わせておけば問題ありません。しかし、個人的にはタップON-OFFのバランス的に300kΩのポットがしっくりきたのでお試しあれ!
ポットによる音の変化については、サウンドハウスにて詳しく解説していますのでチェックしてみて下さい。
▶ POTのホットなラボ / 第2回 ポットの抵抗値について
おわりに~改造費用っていくら?~
コイルタップに興味を持っていただけたでしょうか?
ポットやトグルスイッチを頻繁に操作していると、「アイツめっちゃできるヤツじゃん!」という目で見られるので、そういった面でもオススメの改造です(笑)
気になるのは改造費用。
概ねコイルタップ1ヶ所により3,000~5,000円(部品代別)となっています。コイルタップは配線改造の練習としてもオススメなので挑戦してみるのも◎
いろいろ試行錯誤して自分だけのサウンドを作っちゃいましょう!