
現在、日本で電子オルガンというとHAMMOND、NORD、ROLAND、YAMAHAのエレクトーン、VISCOUNTなどがあります。
改めてオルガンとは、倍音加算を行い出力する音を華やかにさせたりする鍵盤楽器です。
主にレスリースピーカーというスピーカーを使い発音します。
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サウンドハウスでは現行販売商品としてこの中のHAMMONDとバイカウントのオルガンを取り扱っています。
今回はこの2社の代表機材を中心にご紹介します。
VISCOUNT LEGEND LIVE keyB
イタリアの老舗鍵盤ブランドVISCOUNT(バイカウント)より発売された2段式の61鍵盤のアナログモデリング式のデジタルオルガンです。
こちらはオルガンに特化しており、アナログのオルガンに近い操作感覚で直感的な操作ができます。
主な特徴はアッパー、ローワー2つの鍵盤を2パターンのドローバーにより設定できることです。
通常だと1カ所の鍵盤に9個のドローバーがついているためアッパーとローワー合わせ18個のところ、36個に足鍵盤用の2個を合わせた38個のドローバーがついています。

AパートBパートと2パターンのパートをアッパーとローワー、両鍵盤に対し直感的な操作を可能としています。
またトーンホイールというB3などのアナログオルガンを発音するオルゴールのような部品の動きをモデリングすることにより、温かみのある音を実現しています。

Tonewheel-p, Public domain (Wikipediaより引用)
パーカッションパートなど、そのほかの機能もノブやボタンの操作ができて、キーボードやシンセサイザーなどデジタル機材とは違い瞬時に微調整も可能であることが特徴です。

また、アナログ感にこだわった設計からかロータリースイッチの操作性やビブラート/コーラスのダイヤルの操作性は少し固めで、特異な機構を操作している感覚になります。

微妙なピッチ調整なども可能なため、純正律のHzピッチから少しずらして昔のアナログオルガンの再現なども可能かと思われます。ノブを外した形でのダイヤルのため誤操作をおこす危険性にも配慮がされています。

サスティンペダルのアサインやリバーブ、3バンドイコライザー、歪み効果など、現代のオルガンの使い方などにも配慮がされているため、オルガンの音色としてほぼすべてを再現することが可能です。
HAMMOND SKX PRO
HAMMOND社より発売されたオルガン特化のシンセサイザーです。
SK1シリーズより4作目となるこちらのシリーズは、普遍的なオルガン操作系だけでなくシンセパートやプリセットなどより進化した要素が加わっています。
オルガンパートはシンセサイザーに使用されるオルガンの要素として重要視されるビブラート/コーラスのエフェクトセクションや歪みの量をノブつまみで調整できるほか、アッパーのみですがパーカッションセレクトや左の手元にfast、stopのスイッチもあり簡単なオルガン操作は瞬時に行うことが可能です。



前身となるSK1からSKXと大きく変わった点としては、カラーディスプレイが搭載されたことです。

ドローバー操作が行えるシンセは現在のドローバー配置と音色選択時の実際のドローバー配置が異なり、音が鳴っているドローバーが現在どの状態にあるのかが確認できないことや、他の音色の兼ね合いなどをボタンのアクティブ状況などで判断することも多く、使用者の知識や経験に委ねられることも多くあります。
このディスプレイではこれらのことが解消されるだけでなく、このシンセサイザー特有のコンビネーションという4つのセクションを1つのセットとして重ねられる機能など、さまざまな要素で視認性や操作性を高めてくれます。

4つのセクションとは前述のオルガンのほか、ピアノ、エレピだけでなくステージピアノとして定番のクラビ、ハープシコードも備えたピアノセクション、ブラス、シンセパッド、ストリングスなどPCM音源を中心にまとめたアンサンブルセクション、モノラルシンセセクションの4つです。

この中でもモノラルシンセセクションはオルガンの次に手が込んでいると個人的には思います。
波形の選択などを行うオシレーター(VCO)やフィルター変調部(VCF)はカットオフ、レゾナンス、エンベロープのかかり具合など3要素そろっているほか、フィルターとアンプにそれぞれ、アタック、ディケイ、サスティン、リリースとエンベロープの4要素をかけられる8つのフェーダーがあります。
そのほか、LFOやポルタメント調整などノブやフェーダーでの微調整ができて瞬時に操作が可能なため、ちょっとした音色作成や変調だけでなくソロなどにも映える操作性といえます。

また別売りの製品をそろえることによりB3オルガンさながらの操作性を得ることも可能です。
以上2種類の製品についてご紹介しましたが、これらはシリーズとして他にもさまざまな製品があります。
それぞれ多様な機能などが追加されるなど進化を続けていますが根本的なオルガンとしての機能はB3などHAMMOND社が設立したオルガンから変わらず受け継がれています。
昔の機材がいいという方も新しい要素がいいという方も気に入るような製品になっているかと思います。
オルガンという楽器に興味がありましたらぜひお試しください。