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紙ジャケから派生する日本のミニチュア技術。

2018-04-19

テーマ:音楽とアート

紙ジャケというものが初めて誕生したのは、1994年のことでした。まだまだCD自体が市場の音楽メディアを独占する5年ほど前のことです。そもそも「紙ジャケって何?」という方のために、まずは説明を…。紙ジャケとは、コンパクトになったCDのサイズに合わせて、ジャケットもレコードと同じく紙を使ってサイズダウンし直したものです。それまでは、CDのケースと言えば、ジュエル・ケースといわれるプラスティック仕様のものがほとんどでした。今でも主流です。
紙ジャケは、レコードのミニチュア感を楽しむアイテムとして、徐々に人気を得てきました。その第一弾となったのは、ロックではなく、意外にもジャズ・レコード。ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」です。1994年3月2日にビクターから発売されました。この紙ジャケという文化は、細かい仕事ならお任せあれ!の日本が生んだ文化です。それから少しずつ、ロック系のレコードのミニチュア化としての紙ジャケが広まってきました。そして、次なる展開へと進化していきます。

ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」
 

レコードには、さまざまなギミック(仕掛け)を用いたデザインがあります。特に70年代の半ばにはそういった作品がたくさん作られました。そのデザインがミニチュア化された時に、どれだけ精巧に作られるか?がファンにはポイントとなりました。帯の再現、ライナーや内袋などの付属品の再現など。紙ジャケが市民権を得ると、今度は「あのギミック・ジャケットのミニチュア盤が欲しい!」という声も上がってきます。レコード会社もそういった声に応えるようにギミック・ジャケットのアルバムを紙ジャケとして蘇らせるようになりました。時はすでに2000年に突入していました。初めの頃、ギミック・ジャケットは制作原価がかかるので枚数が少なく、結果、数年後にはコレクターズ・アイテムになる流れが生まれました。通常の紙ジャケットのCDに比べても価格が高目です。

2度目の紙ジャケ再発売で、ようやくレコード通りの精巧さに近づいたレッド・ツェッペリン『フィジカル・グラフィティ』。1stプレスの紙ジャケは切り抜き窓と内袋のサイズが合わず、ファンをがっかりさせることに。
 

ここでは、オリジナル・レコードを忠実にミニチュア化した紙ジャケ作品を紹介したいと思います。大きさ比較のため、CDを横に配しました。まずは、イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド:バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソの『1st』。壷型貯金箱ジャケットからメンバーのカードが見え隠れします。中を見開くと、こんな感じ。オリジナルのLPは廃盤で、中古でも凄い金額がします。…というか見たことありません。

同じく変形ジャケットが大好きなバンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ3rd『io sono nato libero』。本の様なデザインになっています。

観音開きで楽しめる紙ジャケット。フォーカスの『at the rainbow』。ライブ風景が開かないと見えないというデザインでした。あ、ライブ盤です。レコードを意識したCDデザインも素敵です。

ダイアル方式で複数空いている穴から色々な絵や写真が出てくるギミック・ジャケット。ソフト・マシーンの『1st』とレッド・ツェッペリン『III』を紹介します。精巧さではレッド・ツェッペリンの勝ち。よく出来ています。

最後の最後にサンタナのライブアルバム『Lotus』。日本を代表するデザイナー「横尾忠則」による22面体ジャケットはレコード時代でも世界最大のレコード・ジャケットとして話題になりました。そして、それらのデザインをCDサイズで完全再現。ここまでくるとミニチュアである意味が一体あるのかないのかという印象ですがその精巧な仕事は圧巻です。さらに近年、このジャケットをシングル盤の大きさで復刻した紙ジャケも発売されました。

この他にも、ギミック・ジャケットはたくさん存在します。ローリング・ストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』、ピンク・フロイドの『炎』、EL&P『恐怖の頭脳改革』などなど。限りなくオリジナル・レコードに近づける再現は、紙ジャケという文化と共に世界に誇る日本の技術力だと思います。




なかじまやすお

自由気ままに雑多なことを書きなぐっていきます。根底にあるのは「愛と音楽」。世の愛すべき事象にスポットを当て、音楽好きに共感してもらえる記事を執筆していきます。サウンドハウスでは、メディア編集担当として活躍。プライベートでは、週末となればドラムを叩き、ライブや映画、展覧会などを楽しむアクティブ派。

 
 
 
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