ファズ。安くても高くても、そこにしかない個性を見せてくれるペダル……。そんな夢あるファズペダルの世界に、また1つの個性が登場しました。
それが、PLAYTECH Scorpio Fuzz!サウンドハウスのプライベートブランドが送り出す、超低価格な1台です。
PLAYTECH ( プレイテック ) / Scorpio Fuzz ファズ
最初に述べたように、安くても安いだけでは終わらないのがファズというペダル。例えばBEHRINGERのSF300 Super Fuzzなんかは、過剰ともいえる歪みを生む「FUZZ 2」モードをもって愛されている逸品です。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / SF300 Super Fuzz ファズ
値段以外にも、選ばれる理由を持っているのがファズなのです。
Scorpioってどんなファズ?
さて、話をScorpio Fuzzに戻します。このファズがどんな製品なのか、紐解いていくことにしましょう。
箱を開けると、緩衝材に包まれたペダルとゴム足のみ。説明書などもない簡素な梱包です。これはプライベートブランドらしいポイントですね。
いよいよ本体とご対面。

まず目を引くのは、くすみピンクのボディ。ファズには珍しいカラーリングですが、近年のトレンドであるようにも思います。日本製フェンダーや、YAMAHA PACIFICAのフラッグシップモデルにも、このカラーが登場しましたよね。
FENDER ( フェンダー ) / MJI Ltd Kusumi Telecaster Thinline, RW FB, Kusumi Pink
YAMAHA ( ヤマハ ) / Pacifica Standard Plus ASH PINK
ボディ中央あたりには、白文字でScorpio Fuzzと記載されています。「S」の部分がサソリの形になっているのが可愛いですね。
上部にある3つのノブでは、それぞれ「LEVEL」「TONE」「SUSTAIN」をコントロールできます。ファズ界の王者、BIG MUFFを思わせるレイアウトです。
写真で見るよりも愛着のわくデザインです。
ここからは、サウンドや各ツマミの効き方を確かめていきましょう。
最初にスイッチをオンにした時の感想は、「ディストーションっぽいな」というものでした。ただ、サスティンの伸び方には、やはりファズらしさが表れていると思います。
TONEを最大まで回すと、かなり低域が薄くなってシャバシャバした感じが強まります。割とコード感は残したまま、高域に寄るイメージです。コードバッキングだとうるさいかもしれませんが、ソロでなら使いやすいかもしれません。
反対に、TONEを最小にしてみると、ややこもる印象なので個人的にはTONEは高めで使用するのが好みでした。
次にSUSTAINを触ってみましょう。マックスにすると、その名の通りサスティンが伸びる伸びる!弾き方次第ではもっと伸ばせると思います。ギターソロが弾きやすそうなサウンドです。
SUSTAINがミニマムだと、さすがにScorpioの良さが失われてしまっている感じはします。極端な設定なので、これで使う人は多くないと思いますが……。
SUSTAINを操作しても、聴感上では歪み量はあまり変わりませんでした。
最後にLEVELを操作します。最大値に設定すると、音量よりも歪み量が増大し、かなりグズグズにつぶれた音になります。このあたりは使用するアンプによっても変化しそうな部分ですが。
最小値にすると、音は出ませんでした。
各つまみを操作してみて、音色変化に影響するのはほぼTONEのみであることが分かりました。TONEを変えるとそれに伴って音量や歪み量も変わるので、一度TONEを調整してサウンドキャラクターを整え、LEVELやSUSTAINで細かな微調整をしていくという使い方が良いと思いました。
総評としては、「音色の幅は広くないが簡単設定で使いやすい、ディストーションっぽいファズ」です。
ライバル(?)との真剣勝負
Scorpioがどんなファズなのかは、大体わかってきました。 ところで皆様、「ピンク色のファズ」と聞いて、Scorpio以外にも思い浮かぶものがありませんか?鮮やかなピンク、小さな筐体、そしてとぼけた新生姜......!
そう!皆さんご存知、Effects Bakeryの New Ginger Fuzz です!
新生姜もScorpioと同じく、低価格のファズペダル。両者がどのような個性を見せてくれるのか、筆者は気になって仕方ありません。
そこで、ピンクファズ界の二大巨頭であるお二人の真剣勝負を、ここでご覧に入れましょう!
新生姜は、太さと存在感を併せ持った歪み方をしますね。Scorpioと比べて、ファズらしいのはこちらです。ただ、サスティンの伸びがあるのはScorpioですね。新生姜はキレのいいファズとして売られていますが、Scorpioと比較してみると、それがよく分かります。
新生姜のTONEをMAXにすると、コード感は薄れている感じがしますね。ただ、低域の太さはしっかりあります。全体を高域側に寄せたScorpioと違い、倍音が増えるような変化をもたらしています。
TONEをMINにしても、低域はそんなに変わらないですね。新生姜のTONEは高域側に大きく作用しているようです。
次は、新生姜のFUZZつまみを最大にしてみましょう。FUZZが最大だと、ブチブチ感が出て圧が増します。反対に最小だと、歪み量が減り、高音域のキラキラした部分が出てきます。その名の通り「ファズらしさ」を増減するつまみなのですね。これは、ScorpioのSUSTAINとは全く違う役割です。
最後にLEVELの操作です。Scorpioでは音量よりも歪み量が増加していたのに対し、新生姜では純粋に音量が変わっている感じがします。もちろん、アンプへの入力信号が大きくなることで歪みは生じるのですが、Scorpioほど顕著ではないということです。
壮絶な戦いの末
いかがでしたでしょうか。両者とも素晴らしい戦いを見せてくれました。
個人的には、Scorpioはディストーション的に使って、他の歪みと組み合わせたいファズ。新生姜は、バッキングでも使いやすい、でもファズらしいファズ。そんな感想を持ちました。
どちらもピンクファズの名を冠するのに十分な資質を持っていましたね。よって、この勝負は引き分けとします!
リベンジマッチが読者の皆様のもとで開催されることを、楽しみにしております。
それでは、今回もありがとうございました。
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