はじめに
こんにちは。
突然ですが質問です。皆さんは、どんなギターアンプを使っていますか?エレキギターを弾くうえで、アンプはもはや楽器の一部。こだわりの1台を持っている人も少なくないでしょう。
そういう筆者は、以前はアンプには無頓着。リサイクルショップで買ったFERNANDESとVOXのコンボアンプを使用していました。どちらも自宅練習には十分で、特にVOXのVT20+は、33種類ものアンプモデルとエフェクトを使用できる高機能アンプでした(旧モデルですが)。
しかし、ここで欲をかいてしまうのが人間というものです。筆者が新たに望んだのは、「ライン録音ができて真空管サウンドのアンプヘッド」でした。DTMで楽曲制作をするうえで、アンプのスピーカーを通して録音するのはハードルが高かったのです。
そうは言いつつ、部屋にはもうアンプを置く場所はありません。そして何より、予算はそれほどかけられません。
そんなワガママな筆者の前に現れたのが、VOX MV50だったのです!
VOX ( ヴォックス ) / MV50-BQ Boutique ギターアンプヘッド
MV50シリーズ
MV50は、Nutubeを搭載した超小型アンプです。通常のスピーカーアウトの他、ラインアウトと共通でヘッドホン端子も搭載。ここから出力されたサウンドには内部のキャビネットシミュレーターがかかるので、これ一つで練習から録音までが可能です。
Nutubeとは、KORGとノリタケ伊勢電子が共同で開発した、全く新しい真空管です。ギターアンプの心臓部として従来のサウンドは維持したまま、小型・省電力・長寿命化を果たしており、真空管の欠点を克服したと言ってもいいと思います。
ちなみに、Nutubeが搭載された製品は、他にもこんなものが↓
VOX ( ヴォックス ) / VALVENERGY MYSTIC EDGE オーバードライブ
VOX ( ヴォックス ) / VX50 GTV ギターコンボアンプ
同じくVOXから登場しているエフェクターやアンプに加えて、Nutube開発元のKORGが発売しているオーバードライブ組み立てキットなど、広がりを見せています。
KORG ( コルグ ) / Nu:tekt OD-S オーバードライブ組み立てキット
話は戻って、そんなNutubeを搭載するMV50は、たっぷりとその恩恵を受けています。極小のアンプから飛び出すリアルなサウンドは、まさにテクノロジーのたまもの。真空管のメンテナンスも必要ありません。
上記のような理由から、MV50は初心者だけでなく、既に良いアンプを持っているプレイヤーにもオススメできる製品だと言えるのです。
MV50-BQ Boutique
MV50シリーズは、現在6つのモデルがラインナップされています。

この中から筆者が選んだのは、Boutique でした(VOXアンプが好きなので、ギリギリまで AC と悩みました)。
VOX ( ヴォックス ) / MV50-BQ Boutique ギターアンプヘッド
商品の説明文によると、Boutiqueは「伝説的ブティックアンプ」のサウンドを再現したモデルだそうです(これはすなわちダンブルアンプのことであると推測されています)。
ダンブルアンプのサウンドは、美しいクリーンとファズのようなオーバードライブに特徴づけられると言われています。それを元にしたMV50-BQは、どんな音を鳴らしてくれるのでしょうか。
早速、実際に音を聞いてみましょう。その実力を測りやすくするため、マルチエフェクター「ZOOM G1 Four」のアンプシミュレーターと比較してみます。
先述の通り、Boutiqueはダンブルモチーフのサウンドだと思われますが、G1 Fourには同じようなモデルが収録されていません。そのため、同じくブティックアンプである「MATCHLESS DC-30」のモデリングと比較することにします。音のキャラクターの違いは判断材料にできないことをご了承ください。
いかがでしたか?G1 Fourと比べると、音の立体感に差がある印象です。G1 Fourでは感じられた、高域のシャリシャリ感、デジタル感もありません。
とはいえ、G1 Fourも用途によっては十分に活用できる音です。特に、スマートフォンのスピーカーのような、ローが削れてハイが強調されるデバイスで聴いた場合、G1 Fourの方が聴きやすいとさえ感じます。
「マルチも結構いいじゃん」と思っていただいた方は、こちら の記事もぜひご覧ください。
MV50-BQは「GAIN」「TONE」「VOLUME」の3つのノブで音作りを行う仕様となっています。動画では、VOLUMEは最大です。
クリーンサウンドは、GAIN3時、TONEは1時で作っています。一般的なアンプのようなHIGHやMID、LOWのノブはないもの、TONEのみで帯域のバランスを取れるようになっています。クリーンでもある程度GAINを挙げておくことで、存在感のある音になります。
ドライブサウンドは、GAIN5時、TONE2時です。TONEはクリーンの時よりも上げたほうが良さそうです。低域は割と強めに出ていて、歪ませすぎるとゴワゴワとした感じになってしまいます。このあたりは、まさにファズっぽいですね。歪み量はそれほど多くなく、最大まで歪ませても、ハイゲインとまではいきません。
MV50はセンドリターンが付いていませんし、強い歪みはエフェクターに任せたほうが良い結果になるかもしれません。TS系のペダルで、余分な低域を削りつつブーストするのもおすすめです。筆者は普段、Effects BakeryのベーグルODを「DRIVE」最小(音が出る範囲)で前段に噛ませています。
MV50の活用方法
MV50はかなり宅録に向いたアンプだと思います。シミュレータではない「本物」のアンプサウンドが、驚くほど手軽に取り入れられるからです。センドリターンはありませんが、空間系エフェクトはDAW上でかけることもできます。
加えて、この小ささはライブシーンでも活躍できるのではないでしょうか。
例えば、何種類か揃えてボードに載せてみても面白いですね。CLEANとROCKを入手して、スイッチャー/ラインセレクターでクリーンとドライブサウンドを切り替えるとか……。
あるいは、スプリッターで信号を分岐させて、2つのアンプを並列に鳴らすのも良さそうです。大きな会場でも、十分な音量を稼げます。One ControlのMinimal Series BJF Buffer Splitなら、これ1つでバッファ、スプリッターとして使用できます。
One Control ( ワンコントロール ) / Minimal Series BJF Buffer Split
最後に空間系用のマルチストンプでも入れておけば、あっという間にコンパクトなボードの完成です。
アイデア次第で、活用方法は何倍にも増えますね。
おわりに
MV50を手に入れてから1年半、筆者の音楽生活に、本機は欠かせないものとなりました。
そろそろベースアンプも登場しないかな?なんて思いながら、この記事を締めさせていただきます。
今回もありがとうございました。
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