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音楽を聴かない人生! いつの間にか日々の生活から音楽が消えていた。。。

2024-04-29

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

つい先日、ある宴会の場で知人から聞かれた。「ところで最近、Rickはどういう音楽を聴いていますか?」、と。むむむ、答えようがなかった。というのも長年、仕事に没頭するあまり、いつしか音楽を聴かなくなっていたからだ。日々、やることが溜まる最中、音楽なんか聴いている暇がないんだ、というのが表面的な答えなのかもしれない。だからCDなんかほとんど買ったこともなかった。iPod系も一瞬だけ使ってみたものの、いちいち選曲を考えること自体も面倒になり、触らなくなった。

そもそも自分はギタリストであり、大昔はピアノで作曲をしていた。にも関わらず、楽器を演奏することさえ最近では、ほぼなくなってきた。困ったものである。たまにギターを数分、奏でる程度が今の自分の限界のようにも思えている。よくよく考えてみると、一生懸命ギターを練習していたのはもう、かれこれ半世紀、つまり50年近く前の話なのだ。よって自分の考え方やライフスタイルが変わってきていても不思議ではない。

音楽が嫌いになった訳ではない。いつになっても変わらず好きだ。しかし問題がある。それは、音楽を聴き始めると、何故かそのメロディーが頭の中を駆け巡り始めて、自分の思考に影響を与えるようになることだ。高校生の時代、音楽を聴きすぎて頭がいっぱいになり、そのメロディーがぐるぐると頭の中を駆け巡った結果、夜に眠れないという、つまり不眠症にもなった。あの時は辛かったが、音楽が好きだったし、若かったから何とかなった。今はそうはいかない。もともと寝る時間がそんなにないのに、熟睡できなければ、体調管理に支障をきたすのは目に見えている。

つまり、音楽を聴くということは、時には自分の仕事を邪魔することがある、ということを嫌というほど味わってきたことから、段々と音楽を聴くという行為から遠ざかるようになっていたのだ。特に考え事を中心とした仕事をしている時に、音楽は魔物だ。大好きなメロディーを口ずさむようなことでもあれば、大切な書き物のコンテンツが脳みそからあっという間に消え去っていき、思い起こせなくなる。つまり音楽を聴くことには、ネガティブな効果もあることがわかっていた。よって、そんなことを幾度も体験した結果、いつしか音楽を聴かない生活でも苦にならないようになったのだ。

そんな生活がもう20-30年も続いたのだろうか。だから「どんな音楽を聴いている?」と聞かれた時には、答えようがなかった。その代わり、とっさに話題を変えて、昔はこんな曲を聴いていたよ、と切り返すことにした。その結果、久々に幼い頃の自分の音楽生活を、ふと、振り返ることができた。ちょっとだけだが、かいつまんで紹介しよう。

小学校の低学年時代では、家にはエルビス・プレスリーと、ビートルズのレコードがあった。よって、この類のオールディーズはいつしか聴き慣れていた。でも一番好きだったのは、実はクラシックであり、特にヨハンシュトラウス二世のワルツ系が好みだった。最初にクラシック音楽に触れたのは、上野公会堂で見た交響楽団の生演奏だった。その時は、ベートーベンの「運命」が演奏され、まさにあの、「ジャジャジャ・ジャーン!」のイントロメロディーにはまってしまったのだ。それから家に帰ってからも、そのメロディーを口ずさみ続けていた。そして母親から「運命」のアルバムを買ってもらい、何十回も聴いているうちにメロディーを始めから終わりまで覚えるまでになった。それがクラシック音楽との出会いだった。

ちょうどその頃の昭和の時代、自分が生まれ育った渋谷の街中では映画館がいくつかあった。そしてある日、「ウィーンの森の物語」という映画が上映され、それを観に行くことができた。ワルツ王、ヨハンシュトラウス二世の生涯を描いた映画であった。その映画を観てからはというもの、何かにつけてはワルツのメロディーを口ずさむようになっていた。そしていつしか何曲もまる覚えするようにまでなっていた。

その後、小学校高学年においては、グループサウンズの全盛期となり、沢田研二率いるタイガースの「シーサイド・バウンド」から始まるヒット曲のオンパレードに感銘を受け、クラスメートと一緒になってバンド音楽を聴いていた。そのグループサウンズの流れは、フォークソングのブームへと引き継がれていく。こうして自分の10代前半は、簡単に言うと、歌謡曲とフォークソング、グループサウンズの全盛期にあたっていたことになる。それらすべてを満喫することができた時代であったことは、振り返るだけでもすごいことだと思う。とにかく、当時の楽曲は、すべてがオリジナリティーに溢れ、心に残る名作がいくつもあったことが懐かしい。

そして中学校に入るとフォークソングに感化された自分はギターを弾き始めるようになる。当時は誰でもギターを弾くのが「かっこいい!」と思われた時代でもあった。そしてフォークソングをコピーしながら学園祭では弾き語り、楽しく演奏していた想い出がある。その延長線に見えてきたのが、ロックの世界だ。というのも、クラスメートの仲間がいつの間にか、フォークソングからロックミュージック指向に変わってきており、ギターでかっこいいフレーズを弾き始めていたのだ。その流れにもすぐに感化され、自らもロックミュージックに傾倒していくことになる。

その後の流れは一言でいうならば、ロックギタリストとしての夢を追いかけることだった。アメリカのロスアンジェルス近郊ですごした高校時代は、週末、時間を見つけては著名ロックバンドのコンサートを観に行っていた。あらゆるバンドを見つくしたと言えるくらい、機会があれば足を運び、唯一見ることができなかったのはローリング・ストーンズだった、という記憶がある。つまりそれ以外の70年代に活躍したロックバンドは、おおよそライブを観て、楽しむことができた。何と幸せな人生だったのだろうか。

さて結論に入ろう。昔は何を一番好んで聴いていたのか。その質問に対して、知人には2つのバンドに代表されるロック系のアルバムについて語らせてもらった。この2つのアルバムは、現代の音楽レベルからみても、まぎれもなく歴史に残る逸品であり、そこには名曲、名演奏の数々が盛り込まれている。では、紹介しよう。

まず、Deep PurpleのMade in Japanだ。ロック界ではあまりにも有名なアルバムだが、ここに収録されているHighway Starは、しびれる!実際にアメリカのハイウェイを車でぶっとばしながら、この曲を何十回、いや、何百回と聴いたことか。カリフォルニアでは15歳半から車を運転できるので、自分も早くから車を運転して高校に通っていた。このアルバムの中にはギタリスト・リッチーブラックモアによる感動の名演奏が含まれているだけでなく、ボーカリストのイアンギランの歌声が素晴らしい。もう一枚、心に残るアルバムがある。それがJohnny Winter Liveだ。白人ながらブルース界で名声を馳せていたJohnnyが、ロックンロールのギタリストとして著名なリック・デリンジャーとコラボして、2人がギターを掛け合いながら、数々の名曲を弾きこなしていくのが、このアルバムの醍醐味だ。中でも名曲、Johnny B Goodeの演奏は、どんなギタリストでも感動するほどのハイレベルなツインギターの掛け合いであり、のりのりのロックンロールに心が躍る。そんなことに燃えていた自分がいたことが懐かしい。

こんな思い出がいっぱいあるからこそ、今、何も音楽を聴かなくても、何とかなっているように思う。音楽を聴かない人生の底辺には、びっしりと音楽を聴いていた歴史が蓄積されていたのだ。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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