はじめに
こんにちは。この記事では、PreSonus社のエントリー向けオーディオインターフェイス「STUDIO 24c」を2年間使用した筆者によるレビューをお届けします。特に初心者の方にとって、製品選びの参考となれば幸いです。
PRESONUS ( プレソナス ) / Studio 24c オーディオインターフェイス
オーディオインターフェイスとは
DTMに必要な機材を調べていると、必需品として紹介されていることが多いのが、このオーディオインターフェイスという機材。これは一体、何のためのアイテムなのでしょうか。
オーディオインターフェイスとは、簡単に言うと「音の出入り口」です。ギターやマイクの音をDAWソフトに"入力"する、そしてDAWソフトの音をヘッドフォンやスピーカーから"出力"する。そんなときに必要になるものです。
じつはパソコンの中にも、最初からオーディオインターフェイスは内蔵されていますので、音を入力・出力することは可能です。しかし、楽曲制作のために作られた物ではないので、音質が著しく劣化してしまいます。ですので、本格的にDTMを楽しむのであれば、オーディオインターフェイスは必須といえるのです。
STUDIO 24cレビュー
いよいよ本題です。ここからは、「STUDIO 24c」を実際に使った感想を、さまざまな観点からお伝えします。 ただし、音質についてはあまり言及しません。初心者の頃はどんな音が良くて、どんな音が悪いか、なんて分からないもの。さらに言えば、音の良し悪しは主観でしかないので、筆者の思う良い音を伝えたところで、あまり意味は無いと考えています。
そこで今回は、音質以外の条件(価格、スペック、付属品など)に焦点を当ててレビューしたいと思います。最初の一台を選ぶときの判断材料にしていただければ嬉しいです!
価格が安い!
初心者の方におすすめするとき、低価格であることはやはり大切なポイントです。しかし、安かろう悪かろうでは意味がありません。
その点、「STUDIO 24c」は音楽制作に求められる品質を、しっかりと実現していると感じます。
ただし、2万円以下のラインナップには、「STUDIO 24c」より安価なモデルも多数存在しています。ぜひ価格以外にも仕様・付加価値という観点で比較し、ご自身が必要とする製品を見極めてください。
音楽制作から配信まで対応!
先述のとおり、オーディオインターフェイスはその用途によって、選択するべき製品が大きく変わります。
「STUDIO 24c」は、2in / 2outのインターフェイスですから、2本の楽器を同時に録音でき、2本のケーブル(+ヘッドフォン)から音を出力することができます。
2つのインプット(入力)端子はHi-Z対応のコンボジャックとなっていて、ギター、ベースなどの楽器とマイクの、どちらでも接続できる形状になっています。マイクといえば、コンデンサーマイクを使用するために必要なファンタム(48V)電源も装備されています。
その他の機能として、「ループバック」というものがあります。これはパソコン内の音をもう一度入力するというもので、例えばDAWやゲームの音をのせて配信したいときに便利な機能です。
これ以外にも、入力・出力音量が表示されている前面のディスプレイ、入力音をそのまま聴くことで遅延なくレコーディングできる「ダイレクトモニタリング」という機能もあります。
これらの特徴から、「STUDIO 24c」はDTMでの音楽制作だけでなく、配信にも使える製品だということが分かります。
少し不便なのは、ヘッドフォンアウトが背面についていること。前面がスッキリするというメリットはあるのですが、少し使いづらいことは否めません。
付属ソフトが豪華!
低価格帯のオーディオインターフェイスは、性能面ではどれも似たような特徴を持っています。各社製品の間で最も大きな差異があるのは、付属ソフトなのです。
「STUDIO 24c」のバンドル(同梱)ソフトウェア「Studio Magic」は、かなり豪華。Arturia、iZotope、UVIなど、名だたるメーカーから音源やエフェクトのプラグインが提供されているのです。
プラグインの一覧は公式サイトで確認いただくとして、ここでは筆者が愛用するプラグインをいくつかご紹介しようと思います。
- ・ Brainworx bx_opto
- オプティカル(光学式)コンプレッサーです。アタックの遅さが特徴的で、ボーカルやストリングスを滑らかに整えるのに効果的です。

- ・ Native Instruments / REPLIKA
- ディレイです。トラックを馴染ませるための自然なディレイから、積極的に音作りをするクリエイティブなディレイまで、幅広く対応できる製品です。

- ・ UVI / Model D
- グランドピアノ音源です。Steinwayのピアノを収録した音源で、様々な表情を持つプリセットがはじめから用意されています。特にDAW付属の音源しか持っていないときには、非常に頼りになるでしょう。

「STUDIO 24c」の付属品はこれだけではありません。なんと、同じくPreSonus社が開発するDAWの「Studio One」が付属するのです!
これだけでも問題なく制作できるような仕様になっています。
また、最上位の「Studio One Professional」が欲しいときには、Artistからのアップグレード価格で入手することが可能です。DAWは「Studio One」を使いたい、と思っている人には、「STUDIO 24c」が非常におすすめです。
少し気になったことも…
これは筆者の環境特有の問題かもしれませんが、入力の音量が少し小さいように思います。それ自体は大して困らないのですが、問題はその後。入力ゲインを徐々に上げていくと、MAXになったところで突然クリップ(音割れ)してしまうのです。そのため、欲しい音量よりもかなり小さい音で録ることになってしまいます。
この問題の簡単な解決策は、入力前の段階で音量を上げておくことです。筆者はギターとインターフェイスの間にブースターペダルを繋いで、信号を増幅させてから入力しています。
入力の音量が小さいということは、(ゲインをMAXにしなければ)音割れしにくいということでもあります。欠点ではなく、特性として考えておくと良いかもしれません。
おわりに
さて、「STUDIO 24c」の魅力について知っていただけましたでしょうか。
低価格帯のオーディオインターフェイスは、まさに激戦区。各メーカーから、さまざまな製品が世に送り出されており、それぞれが違った魅力を持っています。中でも人気なのは、STEINBERGの「UR22C」や、Focusriteの「Scarlett」などでしょうか。
そんなライバルたちを差し置いて、「STUDIO 24c」が新たな定番として躍り出てくれることを、愛用者の一人として願っています。
今回もありがとうございました。
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