
このコラムは、これから初めて弾き語りライブを計画している方に向けて、私ゲンダユウのこれまでの様々な経験をもとに綴っています。ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
曲を決めてからの練習がオススメ
弾き語りライブの日程が決まったら様々な準備をすることになりますが、中でも最も大切な準備は事前練習です。まずはセットリストを早めに決めて練習すべき曲を固めておきましょう。もちろん、何曲か候補となる曲を練習してみてから決めると言う方法もありますが、初めての場合は先に決めておいた方が安心です。
ただし、やりたい曲が必ずしも演奏できる曲とは限りません(経験者は語る)。練習しても思うように上達していかない曲は次回以降の宿題として、迷わず違う曲に変更してしまいましょう。人前で披露する観点や自分自身に余裕を持たせる意味でも、最初は練習効果の高い曲で臨むことをおススメします。
最適な練習場所とは?
練習場所としてまず思い浮かぶのは自宅だと思いますが、本番さながらに大声でアコースティックギターやピアノを弾きながら歌える環境にある人は殆どいないと思います。たいていの場合は、近所や家族に迷惑にならないように、小さい音で練習せざるを得ないのが現状ではないでしょうか。
私も家で弾く時はギターやピアノのポジション(抑え方)確認程度に留めて殆ど音は出していません。一度、深夜にヘッドフォンをして思いっきり電子ピアノを弾いたら、鍵盤のカタカタ音がうるさいとの家庭内クレームを受け、大変反省しました(苦笑)。
そう考えると費用は掛かりますが音楽スタジオでの練習がベストであることに間違いありません。本番同様にマイクを通した音で練習できることも大きいと思います。また、殆どのスタジオで導入している個人練習形式で予約をすればスタジオ代も安く済みます。ただし、予約開始のタイミングは前日の夜が多く、スタジオの空き状況によって練習自体ができなくなるので、練習スケジュールを立てにくい点は留意しておきましょう。
これ以外にもカラオケボックス、公民館等の練習室、季節によっては公園(注:楽器演奏不可のところもあり)や河原も練習場所としては穴場かも知れません。私の場合は、自家用車の中にギターやミニキーボードを持ち込んで練習したり等の工夫をしています。いずにせよ、場所に応じた日々の練習を重ね、スタジオにもできるだけ多く入ることがベストな練習プロセスだと思います。
弱点ポイント集中強化練習
何事もそうですが、練習する上で大切なことは「自分の弱点や苦手な部分を知ること」。練習曲をひと通り弾いて歌ってみると、「ここよく間違えるんだよな…」とか、「この部分、歌いこなせてないな…」なんて箇所が分かると思います。
そんな時にオススメなのが、名付けて「弱点ポイント集中強化練習」です。やり方は簡単。ひたすら苦手なフレーズを繰り返すことです。ですが、その繰り返す頻度が大事です。例えば苦手な2小節があったとしたら、タイマーをセットしてその部分だけひたすら続けます。時間は苦手度合いにもよりますが、10分続けるだけでも相当変わるはずですし、それを日々続けましょう。それはまるで座禅や耐久マラソンのような世界…。最初は苦痛かも知れませんがやがて無我の境地に辿り着けます(笑)そのうちきっと頭で考えなくても無意識に弾けるようになりますよ。
練習へのモチベーションを保つ工夫も必要
どんなに音楽が好きでも、同じ曲ばかり練習しているとどうしても飽きてしまうものです。特に早い時期から練習を始めた場合や、ある程度弾けるようになって来たタイミングでそれはやって来ます。そんな時にモチベーションを保つ工夫も必要になりますが、人によってベストな方法が違うので色々と試してみることが大切です。
取り急ぎ、誰にでも一定の効果が見込めるのは、ライブまでの残り日数を改めてカウントしてみたり、当日来てくれる人のことを思い出してみたり、SNS等にライブへの意気込みを書き込んでみたり等の方法かと思います。また、実際に私も試しましたが、練習風景を生配信することを告知してやらざるを得ない状況にする方法もあります。ただし、本番さながらに演奏するとライブと同じになってしまうので、演奏ポイントを解説してみたり、演奏を途中で中断して「ここが注意ポイントなんですよ~」なんて説明も加えたりして、楽しんでもらえるような工夫があっても良いかも知れません。あとはやっぱり、憧れのアーティストのライブ動画を観ること。「よし自分も頑張ろう!」という気にさせてくれるはずです。
自分の歌と演奏を録音して聴いてみよう
自分の歌や演奏を録音して客観的に聴いてみることも効果的です。今はスマホさえあれば、録音アプリですぐに音声記録ができる便利な時代になったので手軽に実践できるかと思います。
聴き手の立場になって客観的に確認できるのが録音の良いところ。例えば「ここは歌い方を変えた方が良いな」とか「ここはいつもテンポが走るな」等、自分が今まで認識できていなかった改善ポイントに数多く気付くこともできるでしょう。
さらに一歩進んで、歌っている様子を動画で撮ることもおススメです。演奏時の姿勢や佇まいはもちろん、無意識の仕草や変なクセ等も見えて来ると思います。とは言え、この方法はあまりにも自分の色々なことが見えてしまい、逆にステージに立つ勇気が挫かれることもあるので注意が必要です。改善を追求するに越したことはありませんが、楽しむ気持ちを失ったら元も子もありませんので、プロを目指す場合を除き、ほどほどに…。
音楽は技術だけが全てではありません。聴いてくれる方に対する真摯な気持ちがあれば、自然と練習に励むと思いますし、練習の結果、自分の思うような完成度にならなかったとしても、一生懸命な姿は必ず聴き手の心に訴えかける何かがあるはずなので、あなたなりのベストを尽くすことが大切です。
あなたの記念すべき初弾き語りライブが素敵な時間になることを願っています。
※取り付けることでアコースティックギターの音量を抑えることができる「弱音器」は、自宅での練習の時に便利なアイテムです。周囲への音に対する配慮ができることも素敵なミュージシャンになるための必須マインドです。
GRAND GUITAR ( グランドギター ) / 弱音器

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