近年の音楽制作に欠かせない、DAW(Digital Audio Workstation)。数多くの製品がある中で、その人気は一部に集中しています。
人気DAWの筆頭である、CubaseやLogic、Ableton Liveという名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
これらのDAWが優秀であることは勿論なのですが、その話は他の方々にお任せするとして。実はここ数年で評判を大きく上げてきている、筆者もイチオシのDAWがあるのです。それが、PreSonus社のStudio One(現在のバージョンは5)!
PRESONUS ( プレソナス ) / Studio One 5 Professional日本語版
そこで、筆者が一年間Studio Oneを使って分かった、その魅力についてご紹介しようと思います!
題して、PreSonus Studio One レビュー 音源・エフェクト編!
音楽作りを始めるとき、まずはDAW付属のものでスタートすることが多いですよね。Studio Oneには、数多くの音源や、高機能なエフェクトがはじめから用意されています!
なので今回は、Studio Oneに付属している、音源・エフェクトについて。その中でも、筆者がよく使用するものに絞ってお話しようと思います。
※紹介する音源・エフェクトは、Professional以外のグレードでは付属しない場合がございます。ご購入を検討の際は、公式サイトなどでご確認ください。
音源編
【Strings】

まずは、Studio Oneの標準マルチ音源、Presence XTに収録される、Strings(ストリングス)です。
Stringsとは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなどの、オーケストラで使われるような弦楽器のことを言います。ポップスやロックではエレキベースがいるため、コントラバスの音色は使わないことも多いです。
このStrings、付属音源の中ではアーティキュレーション(奏法)が多く、音色もリアルなので、本格的なオーケストラでなければ、十分に実用に耐えると思います。
筆者も楽曲のアレンジでよく使います。主に第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの四声によるアンサンブルです。このとき意識しているのは、他のStrings音源と併用することです。プレイヤーがそれぞれ自分の楽器を使うように、アンサンブルの中で違う雰囲気の音色が混じり合っている状態を再現しているのです。勿論、一種類の音源で完結した方が統一感は出るので、どのように使うかは好みの範疇を出ません。
【Tubular bells】
続いてもPresence XT収録の音源。チューブラーベルという打楽器なのですが、名前を聞いてもピンとこない方も多いでしょう。そんな方は、のど自慢大会なんかで鳴らされる鐘を想像してもらえば良いと思います。
この音色は、サウンドに奥行きを出す際に活用しています。倍音の多い響きによって、楽曲に壮大な雰囲気を与えてくれます。
使用時の注意点は、音を重ねすぎないことです。上記の通り倍音が多いため、音を重ねるとごちゃごちゃしたり、音痴な感じになったりという問題が起こりがちです。シンプルに、隠し味のつもりで織り交ぜるのが良いでしょう。
ちなみに、この音色はStudio Oneの全グレードで使用することができます。
【Sample One XT】

Sample Oneは、音源というよりも、正確にはサンプラーのソフトウェアです。サンプラーとは、自分で音を取り込んで(サンプリング)、そのまま再生したり、加工したり、音程を割り当てたりすることができるアイテムです。
同じくStudio One付属のImpact XTが、ドラムなどパーカッシブなサウンドを扱いやすい、パッド付きサンプラーであるのに対し、こちらはコードやメロディを作りやすい、音程楽器向きのサンプラーとなっています。
このSample One、筆者は主に、効果音素材を取り込み、音程を割り当てて使用しています。そう、取り込む音は、楽器の音色でなくても良いのです!
実際に筆者は、レジでバーコードをスキャンするときの、「ピッ」という音を使って、機械的なアルペジオがよく似合う電子楽器を作っています。上手に利用すれば、シンセサイザーで作るよりも簡単に、欲しい音色を得られます!
エフェクト編
【Pro EQ 2】

エフェクト編の一番手は、EQ(イコライザー)です。 EQとは、不要な周波数をカットしたり、反対に必要な周波数をブーストしたりすることで、理想的な音色を作るツールのことです。
Pro EQは、スペクトラムアナライザー付きのデジタルEQです。どの帯域が出すぎている/足りていない、という情報やエフェクトの効きが、目で見て分かります。リスニング環境が整っていなかったり、聴き分ける訓練を積んでいない初心者にとっては、とてもありがたい機能ですね!
プラグインEQ界では、FabFilter(ファブフィルター) のPro-Q 3が人気ですが、まずはこのPro EQ 2だけでも、十分に満足の行く制作ができるでしょう。
【Open Air】

Open Airは、コンボリューションリバーブです。普通のリバーブと異なるのは、IR(Impulse Response)というオーディオファイルを使い、実際の空間を再現したリバーブをかけられるという点です。
IRの詳細な原理は割愛しますが、これを用いることによって、シミュレーション表現できないような空間のリアリティを生み出すことができるのです。この技術は、リバーブだけでなく、ギターのキャビネットシミュレーターにも活用されています。
Open Airの魅力は、本物の空間を再現していること!ということで、筆者はプリセットの設定をほとんどいじらず、MIXレベルを変えるだけにして使っています。お手軽かつリアルなので、おすすめの使い方です!
【Ampire XT(Pedal Board)】

本記事の最後となりますAmpireは、アンプシミュレーターです。4種類の有名なギターアンプと1種類のベースアンプが再現されています。クリーントーンからハイゲインまでを網羅しているので、様々な音作りが可能です。
また、キャビネットにはIRが使用されており、本物の空気感を作り出してくれます。
人気のBIAS AMPやFX、Amplitubeといった有償製品と比べると、それほどリアルな音というわけではありません。しかし、打ち込みメインになりがちなDTMでは、むしろ楽曲に馴染みやすいということもあるのです。
Ampireには、ギターのペダルを再現したエフェクターも付いています。このエフェクト部分は、Studio One ProfessionalではPedal Boardという名前で独立し、より柔軟に使用しやすくなっています。
筆者は、AmpireのVOX AC30モデリングに、BIG MUFF風のエフェクトをかけて使用するのが大好きです!
Studio Oneの魅力について、伝わりましたでしょうか?少しでも興味を持っていただければ嬉しいです!
ところで、Studio Oneを使ってみたいと思っていただけた方。Studio Oneは、他のDAWに比べると安価ですが、それでもいきなり手を出すのは怖いですよね。そんな方のために、Studio Oneはニ種類の無料体験版を用意しています!
一つはデモ版。Professionalのほとんどの機能を、30日間無料で体験することができます。
もう一つはStudio One Prime。こちらは機能制限がありますが、無期限で利用することができます。筆者もこのPrimeからStudio Oneライフをスタートしています!
今後も機会があれば、Studio Oneの魅力をご紹介していきたいと思いますので、その時はまたよろしくお願いします。ご精読ありがとうございました。