はじめに
「ライブで良い音を出したい。」ギタリストなら一度は考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、いざ音作りにこだわり始めると、オーバードライブやディレイ、リバーブなど欲しい機材はどんどん増えていきます。気付けば数万円、場合によっては十数万円の出費になることも珍しくありません。
そんな中、近年注目を集めているのがPCで動作するアンプシミュレーター(プラグイン)です。
アンプシミュレーターとは?
アンプシミュレーターは、ギターアンプやキャビネット、エフェクターのサウンドをPC上で再現できるソフトウェアです。ギターをオーディオインターフェース経由で接続するだけで、多彩なアンプやエフェクトを組み合わせた音作りができます。近年は音質や操作性が大きく向上し、レコーディングだけでなくライブで活用するギタリストも増えています。実機に迫るサウンドに加え、機材をコンパクトにまとめられる点も大きな魅力です。
この記事では、ライブでアンプシミュレーターを使用するメリット・デメリットや必要な機材、おすすめのプラグインやMIDIコントローラーまで、実体験を交えながら分かりやすく解説します。
※本記事ではノートPC(ラップトップ)を所有していることを前提に解説します。
目次
- ライブでのプラグイン運用が向いている人
- プラグインをライブで使うメリット
- ライブに必要な機材
- 実際の接続方法
- キャビシミュレーター設定の考え方
- MIDIスイッチャーを活用する
- ライブ運用で気を付けたいポイント
- 実際に使ってみて感じたこと
- まとめ

※実際の使用例
1. ライブでのプラグイン運用が向いている人
以下のような方には、ライブでのプラグイン運用がおすすめです。
- 自宅ではアンプシミュレーターを使っている
- ライブでも自宅と同じ音を再現したい
- エフェクターを揃えるコストを抑えたい
- 機材の持ち運びを減らしたい
- シンプルな機材構成でライブをしたい
2. プラグインをライブで使うメリット
① 安価に導入できる
コンパクトエフェクターは1万円〜5万円程度、ハイエンドなマルチエフェクターになると10万円を軽く超えてきます。その点、プラグインはソフトウェアなので、実機に迫る機能やサウンドを持ちながらも比較的リーズナブルに導入できます。もちろんPC代は別ですが、すでにパソコンを持っている方にとっては、コストパフォーマンスの高い選択肢と言えるでしょう。
② 荷物を減らし、電源周りをシンプルにできる
従来のギターシステムでは、ギターからエフェクター、アンプへと複数の機材を接続する必要があります。一方、プラグインを使用する場合は、PCとオーディオインターフェースを中心としたシンプルな構成で運用できるため、持ち運ぶ機材を大幅に減らせます。
また、オーディオインターフェースの多くはUSBバスパワー駆動に対応しているため、エフェクターなどを追加しなければ、新たに電源を確保する必要がありません。コンセントの少ないライブハウスやスタジオでもセッティングしやすく、配線もすっきりまとめられます。
③ 自宅の音をそのまま持ち込める
自宅で作り込んだプリセットをそのままライブで使用できるため、環境差による音のブレが少なくなります。「家では良かったのに、ライブだとなんか違う……」という悩みを減らせるのも大きなメリットです。また、マルチエフェクターと同じような感覚でプリセットを管理できるプラグインが多く、PC上で視覚的に操作できるため、音作りの自由度も高く、後からの修正や管理もしやすいです。
3. ライブに必要な機材(PC以外)
① アンプシミュレーター
音作りの中心となるソフトウェアです。ここでは、実際に使ったものや気になっているものをいくつか紹介します。
従来のBIAS FXの流れを汲む新しい世代のツールです。音作りの自由度が非常に高く、さまざまなサウンドを作り込めます。前作のBIAS FX2もかなり遊び倒しましたが、本当に時間が溶けます。
IK MULTIMEDIA / AmpliTube 5 MAX v2
定番のAmpliTubeシリーズ。豊富なギアモデルが収録されており、見慣れたUIと直感的な操作性も魅力です。いろいろなアンプやエフェクトを試したい人にはぴったりです。
UNIVERSAL AUDIO / Paradise Guitar Studio
UADの技術を集約したギター用プラグインです。アンプ・キャビネット・エフェクトを含めたスタジオ環境を再現でき、高品質なギターサウンドが手軽に得られます。まだ使ったことはありませんが、かなり気になっています。
② オーディオインターフェース
ギター信号をPCに取り込むための機材です。ライブ運用では、小型で安定性の高いモデルがおすすめです。
定番モデルのひとつです。私は同シリーズのM4を所有していますが、視認性の高い入出力メーターがあるため、ライブ中のトラブル発見にも役立ちます。
コンパクトで持ち運びしやすく、デザインも魅力的なモデルです。ビンテージプリアンプ機能も搭載されています。小型ながら必要な機能がしっかり揃っています。
非常にコンパクトな新製品です。サイズからは想像できないほど高音質で、まさにミニマリスト向けのオーディオインターフェースといえます。
③ MIDIスイッチャー(音色を曲中で切り替えたい場合)
ライブ中に音色を切り替えるための機材です。ワイヤレス対応モデルを選べば、足元の配線も減らせます。
アプリから柔軟に設定できる非常に便利なMIDIデバイスです。MIDIだけでなく、PCのキーボード操作を割り当てることも可能です。充電式でバッテリー持ちも優秀なので、ライブ用途との相性は抜群です。
コンパクトながら多数のMIDI設定を保存できます。サイズを重視したい方におすすめです。
BOSSらしい堅実な作りのワイヤレスフットスイッチです。踏みやすさも魅力です。
④ ケーブル類
- シールドケーブル
- USBケーブル
意外と見落としがちですが、ケーブル類はトラブルの原因になりやすい部分です。ライブでの断線や接触不良を防ぐためにも、できるだけ信頼性の高い製品を選び、予備も用意しておくと安心です。
4. 実際の接続方法

代表的な構成は以下の2パターンです。
パターン① PA直
ギター → オーディオインターフェース +PC(アンプシミュレーター)→ DIボックス → PA卓 → 会場スピーカー
自宅で作った音をそのまま再現しやすい構成です。
パターン② アンプリターン接続
ギター → オーディオインターフェース +PC(アンプシミュレーター)→ アンプのリターン端子(Marshall、JC-120など)→マイキングでPA卓へ
ライブハウスのアンプをモニター兼スピーカーとして活用できるため、初めて導入する方にもおすすめです。
自前のパワーアンプを使用したい場合は、下記のような製品もおすすめです。

5. キャビシミュレーター設定の考え方(上級者向け)
PA直の場合
キャビネットシミュレーターはONにします。キャビネットが存在しないため、自然なギターサウンドを作るうえで重要な要素になります。
私自身もPA直を試したことがありますが、自宅の音をそのまま再現できる反面、会場によってはモニター環境に慣れが必要だと感じました。そのため、初めて導入する場合はアンプリターン接続から試してみるのがおすすめです。
アンプリターン接続の場合
キャビネットシミュレーターはOFFにします。実際のスピーカーキャビネットを通るため、二重にかかると不自然な音になる場合があります。
(図解)

6. MIDIスイッチャーを活用する
先ほど紹介したMIDIスイッチャーを使うことで、曲中にクリーン・リズム・リードなどの音色を足元で切り替えられるようになります。
最近のワイヤレスMIDIスイッチャーは遅延もほとんど気にならず、配線も減らせるためライブとの相性は最高です。
多くのアンプシミュレーターはMIDI操作に対応しており、MIDI CCやProgram Changeを利用することで、プリセット切り替えやエフェクトのON/OFFを行えます。
MIDIについての解説はかなり長くなってしまうので、今回は割愛させていただきます。
7. ライブ運用で気を付けたいポイント
① レイテンシー
音の遅延はバッファサイズで調整します。バッファを小さくすると遅延は減りますが、その分PCへの負荷は大きくなります。
② PCの通知音
意外と見落としがちなポイントです。ライブ本番中に通知音が鳴らないよう、事前に設定を確認しておきましょう。
③ バックアップ
万が一のトラブルに備えて、予備のケーブルや代替手段を用意しておくと安心です。
④ バッテリー
PCのバッテリー切れには注意しましょう。
電源の供給が難しい場合は、高出力のモバイルバッテリーがおすすめです。
8. 実際に使ってみて感じたこと
学生時代、私はこの構成で何度もバンドサークルのライブに出演していました。
特に良かったのは、セッティングのシンプルさと音作りの再現性です。自宅で作った音をそのままライブへ持ち込める感覚は非常に魅力的でした。
一方で、キャビシミュレーターの扱いやMIDI設定には苦労した経験もあります。環境によっては細かな調整が必要になることもありました。サークル規模の小箱での演奏は、転がしからの返しがあるといえど、キャビネットからの音圧とモニターの快適さには敵いません。
ただそれでも、一度環境を構築してしまえば十分実用的で、今でも有力な選択肢だと感じています。
9. まとめ
これまで紹介した通り、アンプシミュレーターはライブでも十分活用できます。
特に、
- 機材コストを抑えたい
- 自宅と同じ音をライブで使いたい
- シンプルなシステムで演奏したい
- アンプの上にPCを置いてちょっとかっこつけたい
という方には非常におすすめです。
オーディオインターフェースやMIDIスイッチャーをうまく活用すれば、ハイエンドのマルチエフェクターにも肩を並べる音で、安価に、コンパクトで快適なライブ環境を構築できますので、興味がある方は、ぜひ一度チャレンジしてみてください!
















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