「自宅でドラムを叩きたい!」
そんな夢を叶えてくれるのが電子ドラムです。ヘッドホンを使えば音漏れの心配もなく、マンションやアパートでも気軽に演奏できる——そう思っていませんか?

しかし、ヘッドホンで聴いているのはあくまで“楽器から出力される音”。実際にドラムを叩く際に生じる「打撃音」や「振動音」は別問題です。特に集合住宅では、これらが下の階や隣の部屋に伝わり、騒音トラブルの原因になることも……。
「せっかく電子ドラムを買ったのに、近所迷惑で手放すはめに…」なんて事態は避けたいですよね。
この記事では、電子ドラムで発生する騒音の種類とその対策、さらに具体的な防音アイテムをご紹介します。しっかり防音対策をして心置きなく電子ドラムを楽しめる環境をつくりましょう!
電子ドラムの「騒音」とは? その種類と近隣への影響
電子ドラムの騒音には、大きく分けて以下の2種類があります。
1. 打撃音(空気伝播音)
パッドを叩いたときに「パンッ」「ドンッ」と発生する空気中を伝わる音です。ヘッドホンを使っていても、この叩いた音は直接空気中に漏れてしまいます。特にゴムパッドを使ったシンバルなどは、高音域の打撃音が響きやすい傾向があります。

2. 振動音(固体伝播音)
集合住宅において最も厄介なのがこの振動音です。キックペダルやハイハットを踏み込んだときの振動が床や壁を伝わり、建物全体に響きます。演奏している本人は気づきにくくても、階下の住人にとっては「天井からドンドン音がする」「床が揺れている」といったストレスに・・・。

騒音対策に役立つアイテム
電子ドラムでの演奏を快適にするには、「打撃音」と「振動音」の両方に対策が必要です。特に振動音は、ヘッドホンでは防げないため、専用の対策が重要です。
ここからは、騒音対策におすすめのアイテムを紹介します。必要に応じて組み合わせて使うことで、防音効果を最大化しましょう。
1. 静音設計の電子ドラムを選ぶ
まず、根本的な静音性を高めるには、静音設計が施された電子ドラムを選ぶのが最も良い方法です。
ローランドの「V-Drums Quiet Design」シリーズの中核モデル。従来比で約75%もの騒音・振動軽減を実現。ハニカム構造のソフトラバー素材により、高い静粛性と演奏感を両立しています。
PLAYTECH ( プレイテック) / PDS-150II
キックペダルにトリガー方式を採用し、床への振動を抑えた設計。価格もリーズナブルで、メトロノームや録音機能も搭載しているため、初心者にぴったりのモデルです。
2. 防振マット・ボードをドラムセットの下に敷く
床に直接伝わる振動を軽減するための必須アイテムである防振マットや防振ボードも効果的です。
標準的なドラムセットのセッティングをカバーできる、200cm×160cmの大型マット。滑り止めや床の傷防止に最適です。単体では防振性能に限界がありますが、防振パッドと併用することで効果が高まります。
AURALEX ( オーラレックス ) / HOVERDECK V2 2枚入
高額ですが、防振対策をしっかりと行いたい方には、このAURALEXのHOVERDECK V2がおすすめです。頑丈なラミネートMDFとISO-Puckライザーを組み合わせることで、ドラムセットからの振動を床から効果的に遮断します。これにより、低音域の共振を大幅に抑制し、クリアなドラムサウンドを実現するとともに、階下への振動伝達を最小限に抑えることができるのです。2枚入りで、必要に応じて追加購入することで、購入したドラムセットの設置面積に合わせて拡張することが可能です。
3. 防振パッド・セッティングマット
特定の箇所からの振動をピンポイントで対策するアイテムです。
TAMA ( タマ ) / TIBP1 ペダル部用防振パッド
バスドラムペダルやハイハットスタンドの底面にセットすることで、床面への振動をピンポイントで低減することができます。ラバーで成型されたパッドの底面には多数の半球状の突起があり、高い安定感と防振性能を発揮します。ツインペダル使用時にも干渉しにくい形状なのもポイントです。
TAMA ( タマ ) / TIBL1 スタンド脚部、バスドラム脚部用防振パッド
シンバルスタンドやスネアスタンド、バスドラムの脚部など、各種スタンドの脚の下に敷く防振パッドです。TIBP1と同様に、小さな半球状の突起が振動を吸収し、安定性を高めます。特にバスドラムの脚部に使用した際には、演奏中に脚部がパッドからずり落ちるのを防ぐ「アール付の壁状ストッパー」が設けられているため、安心してご使用いただけます。
ROLAND ( ローランド) / NE-10 ドラム用防振材
特にバスドラムやハイハットペダルなど、振動が集中しやすいペダル類の直下に設置するボードタイプの防振材です。ローランド独自の半球型防振ゴムが、ペダルアクション時の振動を効果的に吸収し、階下への騒音を約75%軽減するとされている商品です。低床・コンパクト設計なので、演奏性を損なわずに設置できます。
ROLAND ( ローランド) / NE-1 ドラム用防振材
NE-10がボードタイプであるのに対し、NE-1はスタンドの脚一本一本に装着できる小型の防振材です。こちらもNE-10と同様に、半球型の防振ゴムが振動を吸収し、階下への騒音を約75%軽減するとされています。ドラムラックの脚やシンバルスタンドの脚など、振動が床に伝わりやすい箇所に複数使用することで、高い防振効果が得られます。
効果的な防音対策の組み合わせ例
ご紹介したアイテムは単体でも効果がありますが、組み合わせて使用することで相乗効果が期待できます。
1. 初心者におすすめ!手軽に始める防音対策
まずは最低限の対策から始めたい、という方におすすめの組み合わせです。

- PLAYTECH / PDM100: ドラムセット全体の滑り止めと、ある程度の衝撃吸収。
- TAMA / TIBP1 (ペダル部用): キックペダル、ハイハットペダルからの振動を重点的に対策。
- TAMA / TIBL1 (スタンド脚部用): スタンドの脚からの振動を軽減。
これらの組み合わせで、比較的安価に、かつ手軽に床への振動を軽減することができます。
2. より本格的な防音対策で安心感を!
「もう少ししっかり対策したい」「階下への配慮を最優先したい」という方には、以下の組み合わせがおすすめです。
- PLAYTECH / PDM100: ドラムセット全体の滑り止めと、下地としての衝撃吸収。
- ROLAND / NE-10: キックペダル、ハイハットペダル直下に設置し、強力な防振効果を発揮。
- ROLAND / NE-1: ドラムラックやシンバルスタンドなど、その他の脚にも装着し、振動伝達を徹底的に抑制。
この組み合わせにより、ローランドのノイズイーターシリーズが誇る高い防振性能を最大限に活用できます。
3. 究極の静音環境を目指すなら!
「どんなに激しく叩いても、隣室や階下に全く気兼ねなく演奏したい」という、最高の静音環境を求める方には、以下の組み合わせが最適です。
- AURALEX / HOVERDECK V2: ドラムセット全体を乗せる防振プラットフォームとして、床からの振動を徹底的に遮断。
- ROLAND / NE-10: HOVERDECKの上にさらにNE-10を設置することで、キックペダルからの振動を二重で対策。
- ROLAND / NE-1: スタンドの脚にもNE-1を装着し、HOVERDECKによる防振効果をさらに高める。
HOVERDECK V2は高価ですが、その分、プロのスタジオでも使われるほどの高い防振性能を誇ります。マンションやアパートでドラム演奏を「諦めていた」方に、希望を与えてくれるでしょう。
まとめ:電子ドラムは防音対策で「自宅ライブハウス」に!
電子ドラムは、ヘッドホンを使えば音が出ないと思いがちですが、実際には打撃音や振動音への対策が不可欠です。適切な防音アイテムを取り入れれば、近隣トラブルを防ぎつつ、存分に演奏を楽しむことができます。

静音設計の機種(VQD106やPDS-150IIなど)を選ぶのも有効ですが、今お持ちの電子ドラムでも、防振マットやパッドを活用することで効果的な防音対策が可能です。
「自宅で思いきりドラムを叩きたい!」——その夢、防音対策をすればあきらめる必要はありません。ぜひこの記事を参考に、あなただけの“自宅ライブハウス”を実現してください!