日本人ピアニストの反田恭平さんが第2位入賞した、『ショパン国際コンクール』から約1年たちますが、みなさまは普段クラシック音楽を聴きますか?
私は幼少期からピアノを習っていて、高校、大学で音楽の勉強をしていました。つい先日、ステージでショパンを演奏してきました。ちなみに演奏した曲は、”ノクターンOp.9-1”と”バラード3番”です。
好きな作曲家は誰ですかと聞かれれば、「ショパンです!」と即答するくらい大好きです。どの曲も魅力的で素晴らしいですが、私がおすすめする「ショパンの名曲」を3曲ご紹介します!
■ まず1曲目…” 舟歌 Op.60 嬰へ長調 ”
意外とクラシックを聴かない方にとってはマイナーかもしれませんが、この曲はショパンが亡くなる4年前に作曲されていて、ショパンの最後の大曲です。何かエネルギーを感じさせる冒頭の低音オクターブ、そしてその後に続く、何とも言えない心地よいメロディーに心惹きつけられます。舟歌とは、ヴェネツィアのゴンドラで歌われる舟唄を模した曲のことですが、その名のとおり、船に乗り穏やかな波、時には大きく深い波に揺られる様子を感じ取ることができませんか?ほかの作曲家も舟歌を作曲していますが、やはりショパンの舟歌はスケール、そして内容も他のものとは比べ物になりません。優雅で熱い思いも感じられるメロディーの中にも、病弱だったショパンのどこか悲しげな思いも窺えます。心が浄化される曲ですので、ぜひ聴いていただきたい1曲です。
■ そして2曲目…” 幻想即興曲 ”
きっと聴いたことがない人はいないのではないでしょうか。先日友人が演奏していたのを聴いて、改めて曲の魅力を感じました。ショパンは、4曲の即興曲を作曲しているのですが、実はその内の1曲です。”舟歌”とは違い、悲劇的な始まりを感じる低音のオクターブから始まります。息をするのも忘れてしまうほどの走り抜けるメロディー、それとは裏腹に、中間部になると急に世界が変わります。右手のメロディーは単純ではありながらも、左手の美しい分散和音によって、さらにショパンらしい歌心を感じられます。5分の中に、さまざまな物語、感情が現れるので、「最初のところは聴いたことある!」という方もぜひ、通して聴いてみてください!
■ そして最後、3曲目…
” エチュードOp.10-5「黒鍵」 ”
私が高校、大学の試験で演奏した曲です。エチュードとは練習曲のことですが、ショパンはエチュードを全部で24曲作曲していて、その内の1曲です。「黒鍵」という曲名のとおり、なんと、右手はある1音以外、すべて黒鍵で作られています!きっと「練習曲」と聞けば、テクニックのための練習だから、楽しくないと思われてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。とめどなく続く右手のメロディー、それを下で支え、より華やかにする左手の和音。この2つが重なって「黒鍵のエチュード」が持つ軽やかさや、爽快さを感じさせるのではないかと思います。空に浮かぶ星が、きらきらと舞い踊っている、私はそんな様子が思い浮かびます。皆さんはどんな情景が思い浮かびますか?
ショパンの作品はすべて素晴らしい曲なので、その中から3曲選ぶのはすごく難しかったです。日常で嫌なこと、もやもやすることがあったとき、ショパンを聴けばきっと心が癒されるはずです。音楽ジャンルはさまざまですが、なじみのない方もぜひ、ショパンのみならず、クラシック音楽を聴いていただけるきっかけになれたらうれしいです。