皆さんのギターに搭載されているブリッジは何ですか?シンクロトレモロ、チューンオーマチック、ケーラー、いろいろありますよね。やっぱり金属パーツはカッコよくてトキメキます。
今回はそんなギターのブリッジではなく、フロイド・ローズについてのお話です。今まで誕生した歴代モデルを見比べていきましょう。
そして、脳内BGMはこれでお願いします。西海岸の風を感じてください。
Night Ranger - (You Can Still) Rock In America (Live 1983)
■ かんたんな歴史
何かを知るには歴史から、ってことで軽くおさらいしましょう。
時は1970年代までさかのぼります。音楽でいうと、Queen、KISS、Aerosmithなどが台頭してきた頃です。日本ではピンクレディーや山口百恵など…。
そのころ、ギタリストとして活動していたフロイド・ローズさんは、ストラトでアーミングをした際のチューニングの狂いに頭を悩ませていました。そんなフロイド・ローズさん、「だったらブリッジとナットで弦をロックしちゃえばいいじゃん!」と、自宅ガレージでブリッジユニットの製作に取り掛かったわけです。その発明はかなり注目を浴びたようで、最初期の作品はヴァン・ヘイレン、ニール・ショーン(Journey)、ブラッド・ギルス(Night Ranger)といった超著名ギタリストの手に渡っています。
そして特許を取得したのち、1982年に生産がSchaller社に移行したり、日本市場向けモデルはFernandes社が受け持ったり、仕様変更を経たりして皆さんの知るあのフロイド・ローズブリッジができ上がったわけです。
個人のDIYから始まって今や超定番パーツになる…、ロマンがあると思いません?
■ 種類
一言でフロイド・ローズと言っても、いくつかの種類があります。他メーカーの類似品も含めればほんとにたくさんあります。
全部書くとキリがないので、“Floyd Rose”各種を比べてみましょう。写真も用意しました。
1. FRT-1

最初期のタイプです。ファインチューナーもなく、サドル形状も現在とは違いますよね。
また見づらいんですが、アームもナットでベースプレートを挟み込んで固定します。
2. FRT-2

Fernandes社が日本向けの生産を受け持って作ったモデルのひとつです。
このモデルはボールエンドを切らずに弦を張ることがます。
3. FRT-3

FRT-1と比べると、サドルの形状が変化しています。ここまでがファインチューナーなしの世代なんですが、ブラッド・ギルスやガスリー・ゴーヴァンはこのタイプに今もこだわっています。
4. FRT-4

ここにきて、初めてファインチューナーがつきました。ロックしたらチューニングの微調整ができなかったデメリットを解消する改良です。サドルも見慣れた形状になっていますね。
5. FRT-5(Floyd Rose Original)

これは皆さん見たことあるでしょう。FRT-4ではファインチューナーに手が当たりやすかったため、距離をとる改良がされました。
初期はアームをねじ込む方式でしたが、現在はキャップをねじ止めする方式ですね。
6. FRT-7

FRT-5と基本は同じですが、こちらはFernandes社が日本向けに生産していたモデルです。よく見るとファインチューナーのつまみやストリングロックスクリューを通すスリットなど、ちょこちょこ違うのがわかると思います。
7. Floyd Rose II

先述のFRT-2とは違いますよ。もともとは廉価グレードとして発売されたものですが、Schaller社名義で現在も販売されています。ヌーノ・ベッテンコートはこのタイプを愛用しています。また、右画像のようにボールエンドを切らずに済むサドルも存在していました。
ここから下は写真が用意できませんでした。ごめんなさい。
8. Floyd Rose 1000
現行のミドルモデルです。後述のSpecialより上、先述のOriginalよりは下です。素材はOriginalと同じまま、製造が韓国製になっています。
9. Floyd Rose Special
一番安いグレードです。材質が変わり、亜鉛が多く使われるようになります。
10. Floyd Rose Pro
ボディ面に対しパーツの高さを低く抑える「ロープロファイル」に対応させたモデルです。弦ピッチも通常より狭くなっています。
11. Floyd Rose Speed Roader
ダブルボールエンドの専用弦を使い、弦を貼るだけでチューニングまで終わるという謳い文句でしたが…。仮に今手に入れても、弦が手に入りません。
12. Floyd Rose FRX
チューンオーマチック、ストップテールピースのギターに無加工で取り付けができるモデルです。
皆さんはこの中でいくつ知っていましたか?見た目だけでなく、材質、ナイフエッジの強度、ベースプレートの厚みなどそれぞれ違います。さらにここにライセンスのモデルも含めると、もう大変なバリエーションになります。見た目や使い心地も違いますし、当然サウンドも変化するので、好みのモデルを探すのもとても楽しいです。
ここまで読み進めた皆さんは相当な好きものだと思いますが、少しでも何かの参考になればうれしいです。次回が存在すれば、使って何ができるとかそんなことも書けたらいいなと思っています。
さよならのBGMはこれで!
Motley Crue - Kick Start My Heart (The End, Live In Los Angeles)