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ムービングヘッドメンテナンス編②

2021-09-10

テーマ:実録 ! サービスマン日記, 照明

前回はムービングヘッド内のクリーニングについて紹介しましたが、今回はベルト交換について紹介していきます。

前回のブログはこちら

今回お預かりした機種はこちら

AMERICAN DJ FOCUSSPOTTHREEZ

 

モーターライズドズーム、モーターライズドフォーカス機能を持つムービングヘッド。ムービング初心者にもお勧めできるハイコストパフォーマンスなモデルです。

 

ムービングヘッドはモーターによってパンベルトとチルトベルトを動かすことにより左右上下の動きを制御します。
今回の個体は上下の動きが反応しなくなったということでお客様よりお預かり。お伺いした症状から、おそらくベルトに問題がありそうだな、とあたりをつけ分解してみると…

案の定、チルトベルトが切れていました。

ギアとベアリングには、ベルトが摩耗して削れたゴムが付着しています。
汚れが付いたままだとベルトへの負荷が増えてしまいますので、早速クリーニングを開始。

ブラシとスクレーパーでこびりついたゴムを除去。見違えるほどキレイになりました。

ギアとベアリングを灯体に戻し、新しいベルトの取り付け。仕上げにシリコンスプレーを塗布します。
このシリコンスプレーはシリコン被膜によってギアとベルトの滑りを良くします。
修理後も長くお使いいただけるよう、塗布箇所の状態で粘度や揮発性の違うシリコンスプレーを使用します。

ムービングヘッドに限らずですが、ベルトを使用している物は定期的な検査や交換が必要です。身近な物だと車のファンベルトやバイクのドライブベルトなどを想像していただければ分かり易いかと思います。

このベルトが切れる原因としては、ベルトを動かし続けることによって起こる摩耗熱によってベルト自体がすり減ったり、長期使用していて素材自体の劣化によってゴムにクラックが入り切れてしまったりというのが挙げられます。

車やバイクの様に1~2年毎、2万キロ毎に交換といった明確なルールはありませんが、長く使用するためには1年に1回はベルトの状態を確認していただければと思います。
AMERICAN DJとEK PROのムービングヘッドの場合、アーム片側の側面ネジを外すとベルトの状態を確認できます。分解をしない状態確認の方法としてはアームの隙間から黒い粉が出ていないかが見分けのポイントです。ベルトが摩耗して削れていたらゴムが粉状になり隙間から出てきます。その状態になったら交換のサインです。

この記事が役に立ち、機材を末長く使用していただくきっかけになれば幸いです。

技術サポート / 黒巣 翔太

ESPミュージカルアカデミーでギター・エフェクター・アンプ製作の技術と知識を学び、卒業後はライブハウスでPA・照明を担当。ステージ上の全ての機材をメンテナンスするようになり現在の修理業務のベースが完成。照明のムービングヘッドやフォグマシンをメインに修理を行っていますが、ジャンルにとらわれず修理業務に従事しています。最近はアナログレコードの面白さを覚え、レコード屋を巡っています。

 
 
 
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