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世界名盤紀行「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」 The Smashing Pumpkins レビュー

2021-08-02

テーマ:アーティスト&楽曲, ヘッドホン

皆さんは衝撃を受けた体験がありますでしょうか。自身の記憶を呼び起こすと、初めて中トロを食べたとき、初めてギターをアンプで鳴らしたとき、スコップとシャベルの呼び方が関東/関西で逆なことを知ったとき…

(どっち派ですか…?)

などさまざまあります。そして24歳の夏、1枚のとあるアルバムを聴いた体験が堂々の仲間入りです。居ても立ってもいられなくなり、一度やってみたかった全曲レビューを書くことにしました!

メロンコリーそして終わりのない悲しみ / The Smashing Pumpkins

The Smashing Pumpkinsをご存じでしょうか。1988年に結成されたアメリカのロックバンドです。90年代のオルタナ/グランジ隆盛を代表する存在で、2000年に解散。その後再結成し、現在も活動を行っています(偶然にもこの記事を書いている日に新アルバム作成中というニュースが出ていました)。

代表曲をご紹介。イントロからアウトロまで美メロだらけの名曲です...

名前は知っていたものの、上記「Today」しか聴いていなかったThe Smashing Pumpkins通称スマパン。何の気なしに代表作の「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」を聴いたところ、これがもう名盤中の名盤。2枚組全28曲という超ボリュームながら、最近毎日のように聴いています。レビューしているうちにかなり長くなってしまいましたが…最後までお付き合いいただければ幸いです!

レビュー

総評
20年以上前のアルバムとは思えない、圧倒的なセンスを感じさせる名盤です。非常に美しいフレーズが、ロックバンドの編成にとらわれないさまざまな楽器によって曲のあちこちに散りばめられ、飽きることがありません。曲調もメロディアスなバラードから攻撃的なアッパーチューンまで非常に幅広く、ソングライターであるVo.ビリー・コーガンの懐の広さが存分に発揮されています。かなり癖の強い声が好みの分かれるところでしょうか。

(完全に主観的な好みで☆~☆☆☆☆☆を付けています!)

Disc 1.Dawn to Dusk

  • Mellon Collie and the Infinite Sadness  ☆
    アルバムのOPとなる、ピアノとストリングスがとても美しいインスト曲。期待感を高めるのに十分すぎる名曲ですが、OPということで一応この評価に。
  • Tonight, Tonight  ☆☆☆☆☆
    そして私の心を撃ち抜いたこの曲へ。衝撃的な美しさのストリングス、ドラムによる展開の妙、強い思いを感じさせるボーカル…などなど非の打ちどころがありません。星5個じゃ足りない…本当は2000個くらい付けたいです。全人類に一度は聴いてほしい名曲中の名曲。
  • Jellybelly  ☆☆☆☆☆
    #2からの振れ幅に驚くハイテンションのロックナンバー。景色の広がりを感じるサビはドライブで流すと最高なんじゃないでしょうか。
  • Zero  ☆☆☆
    #3よりも重く、よりラウドに。NIRVANAと並びグランジにジャンル分けされることが多いThe Smashing pumpkinsですが、激しい曲はハードロック・ヘヴィメタル的なアプローチに寄っているようにも聴こえます。
  • Here Is No Why  ☆☆☆☆
    リフの重さとメロディアスな展開を両立した曲。1:30〜の盛り上がりが聴きどころのピークかと思いきや、2:30〜のギターソロがそれを超える快感。
  • Bullet with Butterfly Wings ☆☆☆
    気だるげなメロと勢いを感じるサビの緩急が気持ちいい。突然のシャウトから曲が一気に展開、一度静かになったと思ったらまたシャウトからのサビ。忙しい曲です。
  • To Forgive  ☆☆
    調性感の薄い不思議なコード感のメロとメロウなサビが印象的なナンバー。どことなくサイケ期のビートルズ的な雰囲気も感じました。
  • Fuck You (An Ode to No One)  ☆☆☆
    ストレートすぎて笑ってしまうタイトルにふさわしい攻撃的なリフが印象的。無意識に縦ノリしてしまいます。結構メタリックな曲だと思いますが、2:30〜に真ん中で鳴るノイズギター的なアプローチはかなりオルタナ的。現代にリリースされたとしても面白い曲です。
  • Love  ☆☆☆
    歪んだボーカルやシンセっぽいベースリフなど、かなり実験的なサウンドが目立つ曲。ちょっと地味かなーと思っていたら途中からの轟音にニヤッとさられました。それにしても恐ろしげなLoveだ…
  • Cupid de Locke  ☆☆☆☆
    攻撃的な流れから一転、ゲーム音楽のような流麗なフレーズが聴こえてきます。これ本当に1995年のアルバムですか?(笑)後半の語りまで含め、かなりモダンな雰囲気を感じます。
  • Galapogos  ☆☆☆
    流麗なギターアルペジオとストリングス、儚げなメロディが美しいナンバー。かなり好きなんですが、もうひと押し盛り上がりが欲しいなと思ってしまうことも。
  • Muzzle  ☆☆☆☆☆
    轟音ギターが印象的なミディアムバラード。後半裏メロ的に鳴るギターの音が非常に伸びやかで気持ちいい。ここだけでも個人的には星5です!わかりやすく盛り上げてくれるドラムに思わずノッてしまいます。
  • Porcelina of the Vast Oceans  ☆☆☆☆
    静かでサイケデリックな出だし(2分、長い!)から一転、突然アメリカンで軽快な曲調に。歌が入ってからのもこの強引な曲展開が繰り返されたり、静かなパートではドラムのパン振りが極端に左右に寄っていたりと実験的な要素を強く感じる曲です。多様なサウンドにより耳が楽しく、9分という長尺も飽きずに聴けます。
  • Take Me Down  ☆☆
    アルバムの前半を締める、ちょっと意外な落ち着きを持った曲。お前そんな声で歌えるんかいっ、と思ったらこの曲はGt.のジェームズ・イハがボーカルを取っているんですね。最後にギャップ萌え(?)を感じさせつつ、アルバムはDisc.2へ。

Disc 2.Twilight to Starlight

  • Where Boys Fear to Tread  ☆☆☆
    重いリズムと念仏のようなボーカル。続けて聴いていると落差がもうすんごい。ハードロック・ヘヴィメタル的なリフのセンスがこれでもかというほど発揮されています。
  • Bodies  ☆☆
    前曲から引き続きヘヴィなナンバー。喉を心配したくなる強烈なシャウトはかなりの迫力。ただ似た曲が続く印象は否めない気がします。
  • Thirty-Three  ☆☆☆
    ミニマルなピアノフレーズとアコースティックギターの響きが美しい小曲。単調に聴かせない各楽器のフレーズはさすがと言う他ありません。
  • In the Arms of Sleep  ☆☆☆☆
    エキゾチックな雰囲気がクールなバラード。タイトルの通り微睡むような雰囲気が魅力的。
  • 1979  ☆☆☆☆☆
    無駄な力みを感じない非常に自然体な名曲。軽快なドラムとポップなメロディに惹きつけられます。
  • Tales of a Scorched Earth  ☆☆☆
    アルバム2枚を通じてトップレベルに重くスピーディな曲。前曲からの突然の変調に驚く人も多いのでは。リフメイカーとしての才覚を感じさせます。
  • Thru the Eyes of Ruby  ☆☆☆
    7分を超える大曲。サビやメインリフの裏で流れているフレーズが非常に印象的というのがアルバム全体の特徴だと思うのですが、それが色濃く現れている曲。3:08〜のギターフレーズを繰り返し聴きたくなるのにそれ以降は登場なし、ニクい!
  • Stumbleine  ☆☆☆☆
    アコースティックギターとボーカルのみで進行するバラード。儚げなメロディがとても美しいです。個人的にかなり気に入っている曲。
  • X.Y.U  ☆☆☆☆
    怪しげなギターリフとテンポチェンジでかなりキマります。後半の加速はライブで観れたら最高なんじゃないでしょうか。当時の人たちが羨ましいです。人間椅子とかが好きな方に聴いてみてほしい曲。
  • We Only Come Out at Night  ☆☆
    かなり可愛いドラムとビヨ〜ンという不思議なサウンドから始まりますが、キャッチーなボーカルとピアノは流石の一言。
  • Beautiful  ☆☆☆☆☆
    タイトルそのままのとても美しい曲。Beautifulってタイトルをつけるのは結構勇気がいる気もしますが(笑)、どのパートを切り取っても美しい名曲に仕上がっているのは圧巻の一言。かなり癖の強いビリー・コーガンの声ですが、こういう儚い曲調でこそ映えると思っています。
  • Lily (My One and Only) ☆☆☆
    ストレートなラブソング。歌詞がわからなかったとしても何となく愛について歌っているような気がするとても甘い曲。多彩な楽器によるフレーズセンスが光る佳曲だと思います。
  • By Starlight ☆☆☆☆
    長かったアルバムも終盤、壮大なアウトロが特徴的な、今まで出てこなかったタイプの曲です。スケール感の大きなアウトロは個人的に大好物なのでかなりお気に入りです。全体を通じて流れているギターフレーズも非常に伸びやかで美しい。
  • Farewell and Goodnight ☆☆☆☆☆
    超大作を締めくくるバラード。メンバー全員がボーカルとして登場します。今までのボリュームも相まって、映画のエンドロールを観ているかのような聴き心地。涙腺にダイレクトアタックしてくる流麗なピアノにより、このアルバムは幕を閉じます。Disc1の#1に繋がるのも粋な演出です。

終わりに

最後までご覧いただきありがとうございます!サブスクリプションサービスが一般化し音楽が聴きやすい時代になりましたが、知らないアルバムをじっくり聴く機会というのはあまりないのではないでしょうか?僕自身、雑誌やネットのレビューを見ながら知らないアルバムを聴くことを趣味にしているので、この記事が皆さんの新しい音楽体験のきっかけになれば幸いです。 なんとなく続き物っぽいタイトルをつけてしまったこの記事、次回ははたしてあるのでしょうか!乞うご期待!

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