ギタリストの皆さん、速弾きは好きですか?私は大好きです。音符にきっちりはめ込むようなシュレッドも、譜割りを無視して突っ込みまくるようなフレーズもどちらもキュンキュンします。 そんな「速弾き」において難易度の高いテクニックとして認知されているものの一つに「スウィープ」が挙げられます。スウィープとは、ざっくり言えばエコノミーピッキングの発展版。一度の動作で複数の弦を弾いていく奏法のことを指します。
私もギターを弾き始めて、ちょっと速く弾けるようになってきた頃から、数多くのギターヒーローに憧れてスウィープを練習してきました。そんな中で明らかなブレイクスルーを感じたのが、ピックを変えて練習したときでした。 いまでこそメインのピックはもちろん、どんなピックでも弾けますが、当時はスウィープ特有の感覚を掴んでいなかったため、それを感じやすいピックに変えたときに一気に上達したのだろうといま思うと感じます。
ちなみにいまのメインピックは以下の2つ。
JIM DUNLOP / ULTEX JAZZ III
JIM DUNLOP / John Petrucci Primetone Jazz III
どちらもULTEX材を使用した「ジャズIII」シェイプのピックです。小ぶりで取り回しがよく、スウィープをはじめ、速弾きに適したピックとしてメタルギタリストによく用いられています。John Petrucci モデルは、弦の当たるエッジ部に斜めに削ったような加工が施されており、より滑らかな弦離れが特徴。その日の調子や演奏するフレーズによって使い分けます。
そんなジャズピック党な私が、スウィープを習得するきっかけになったピックが下記の1枚。
ESP / PA-GS08SD
メタルバンドGALNERYUSのギタリストSYU氏のシグネチャーピック。SYU氏もスウィープを得意技とするギタリストの一人です。
■ GALNERYUS/ FUTURE NEVER DIES
通常のものより小ぶりな「スモールトライアングル」というシェイプを採用し、取り回しの良さとトライアングルの安定性の高さを両立しています。
なぜトライアングルピックがスウィープ習得に良かったのかというと、スウィープ特有の「指でピックを押し込むような動き」がポイントだったように思います。 これはあくまで私のやり方ですが、スウィープの際には「手首ではなく指先」でピックを動かしピッキングを行います。反時計回りの円運動で、親指を曲げた状態から伸ばしてダウン、曲げる動きでアップピッキングします。いわゆる「サークル・ピッキング」をより大きな動きで行っているようなイメージです。アップピッキングは左手のタップで省略することが多いため、スウィープの際、右手の主な動きは「指を伸ばしてダウンピッキング」が占めることになります。この動きを習得するときにトライアングルピックの特徴である、親指の接地面積の多さ、安定性の高さが功を奏したのではないかと思います。
同じような条件でいえば、JAZZ III XLシェイプやFLOWピックもおすすめできる形状です。
JIM DUNLOP / Tosin Abasi Tortex JAZZ III XL
JAZZ III XLシェイプはその名のとおりJAZZ IIIを一回り大きくしたシェイプ。JAZZ III特有の尖った先端部による弦離れの良さと、グリップのしやすさを両立したモデルといえます。JAZZ III XLには、JIM DUNLOP製以外も含め、様々なバリエーションが存在しますが、今回はモダンメタルシーンで注目を浴び続ける技巧派トーシン・アバシのシグネチャーピックをセレクトしてみました。
■ Animals As Leaders/ CAFO
JIM DUNLOP / Flow Standard 0.88mm
FLOWはJAZZ III XLとほぼ同じ大きさで、先端の形状をよりトライアングルに近い形状にしたようなピックです。エッジ部には斜めに削ったような加工が施され、弦離れの良さと太いサウンドの両立を狙ったモデルと言えます。
最後に、つい最近個人的に試してみて、スウィープの習得に良さそうと思ったピックを1つ紹介します。
JIM DUNLOP / John Petrucci Trinity Pick
プログレ・メタルバンドDream Theaterのギタリスト ジョン・ペトルーシの最新シグネチャーピックです。
■ Dream Theater/ Take The Time
JAZZ IIIのサイズ感と、FLOWのピック形状の融合を謳った製品で、一般的なトライアングルよりも小さめ・厚めなピックです。厚みがある分、弦に触れたときのしなりが少なく、個人的にはSYUモデルピックよりも扱いやすく感じました。これは完全に普段厚め(1.38mm)のピックを使っている影響かと思われるので参考程度に。
というわけで4点、筆者がスウィープ初心者へおすすめしたいピックたちでした。 「自分に合ってるのはこの形・厚みのピックだけ!」という先入観を捨ててみれば、意外とすんなり攻略できてしまうかも。スウィープ習得に苦労しているギタリストはお試しあれです。
え?イングヴェイモデルのピック? あれはほら、初心者向けというよりはロマン武器に近い代物なので……