前回は「日本らしいメタル」というテーマのもと同人メタルを取り上げましたが、今回も「日本らしいメタル」の形態としてV系メタルを取り上げたいと思います!ハードコアなメタルヘッズの中にはヴィジュアル系、V系と聞くと拒否反応を示す人もいるかもしれません。しかし、おそらくいま国内で活動している中堅から若手のメタラーにおいてX JAPANを始めとするヴィジュアル系バンドの影響を受けていない人を探すほうが難しいのではないでしょうか。そういう意味でいえば、筆者個人としては、V系メタルは国産メタルの正当な進化のひとつだと思っています。
とはいえ際限なくV系メタルとくくってしまうと、DELUHIやらDやら青春が決壊を起こしかねないので、今回はモダンメタルの要素を含んだV系メタルバンドに絞って紹介します!
■ JILUKA / Twisted Pain
2013年に結成、メンバーの変遷を経て2015年に本格始動したV系メタルバンド。ギタリストSenaが某ギター雑誌に取り上げられたこともあり、名前だけは聞いたことがあるというメタルギタリストも多いのではないでしょうか。今回は、テクニカル&エクストリームなパートから一転、キャッチーなサビへとなだれ込むV系メタルど真ん中な楽曲を紹介します。モダンな音楽性ながら、各楽器隊の機材は意外とオールドスクールなところが個人的な萌えポイント。
■ DEVILOOF / ISHTAR
2015年 V系とデスコアの融合を掲げ結成。2018年にはDanger Crue Records傘下のレーベル9th Recordsと契約。その後メンバーの脱退と加入を経て、2019年3月に現ラインナップが揃いました。音楽性は「シーン最凶最速」を謳い、デスコアはもちろん、ブルデスやテクデスの要素も含んだもの。メンバー曰く客層の男性比率が高いというのも頷ける暴虐的なサウンドが特徴です。今回はクリーンボイスを完全に排除した非常にブルータルな楽曲を紹介。
■ DEXCORE / DON’T BE AFRAID
2016年にボーカル架神-kagami-、ドラム直樹-naoki-(DEATHGAZE)らによって結成。メンバーの変遷を経て、2019年5月に現体制となりました。2019年12月現在、4枚のシングルと2曲の配信限定シングルをリリースしており、来たるフルアルバムにも期待がかかるバンドです。架神のクリーンボイスはV系モダンメタルの中でも個人的にかなり好みの声質なのですが、今回はそのクリーンボイスを生かした美醜の対比が鮮烈な楽曲を紹介します。
■ NAZARE / 幸福論
2018年、元DIMLIMの壱世(ドラム)を中心に結成。メンバーの素性をまったく隠した状態で始動し、情報解禁と同時にワンマンライブの開催を発表するとチケットは即日完売。追加公演として決定された5大都市ツアーのファイナル公演も即日完売になるなど、始動当初から大きな注目を集めているバンドです。楽曲によっては8弦ギターを活かしたジェント/プログレメタル的なアプローチも見られ、激しさ一辺倒にならないアレンジも魅力的。
というわけで以上4組、V系メタルのおすすめバンドを紹介しました。
海外のバンドでもX JAPANの楽曲をカバーしているバンドがいたり、近年では明らかに日本のV系バンドの影響下にあることを感じさせるバンドもいたりしますが、聴けば聴くほどアレンジやメロディ、なによりクリーンボイスの声質に関しては日本人にしか出せない色だと強く思います。これを機にV系メタルへ興味をもったメタルヘッズが一人でもいればいいなと思いつつ今回は締め括りとします!