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Van HalenやSteve Lukatherで有名な「3wayシステム」とは?

2025-12-31

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 楽器, 音響機材

歪ませたギターサウンドでリードプレイをする際、ディレイやリバーブといった空間系エフェクトをたっぷりとかけると、弾き手にとっては非常に気持ちの良いサウンドになります。音が伸び、余韻が広がり、まるでステージの中央に立っているかのような高揚感を得られるからです。
しかし一方で、空間系エフェクトを深くかけすぎると原音の輪郭がぼやけ、バンドアンサンブルの中では埋もれてしまいがちになります。特にバンド編成では、ボーカルやキーボード、シンバル帯域などと被りやすく、「気持ちはいいが前に出てこない音」になってしまうことも少なくありません。
かといって、空間系エフェクトをほとんど使わずに歪みだけの音でリードを弾くと、今度は音が前に出すぎてしまい、アンサンブルから浮いて聞こえてしまうことがあります。輪郭ははっきりしているものの、広がりがなく、どこか無機質で馴染みの悪い印象になってしまうのです。
この「輪郭」と「広がり」という相反する要素を高いレベルで両立させるために生まれたのが、今回ご紹介する3wayシステムです。このシステムは、Van HalenやSteve Lukatherといったトップギタリストたちが取り入れてきたことで有名です。

3wayシステムとは何か?

3wayシステムとは、簡単に言えばドライ音(原音)とウェット音(エフェクト音)を完全に分離して出力するステレオシステムのことです。

名前の通り、3つの出力(3way)を使ってサウンドを構築します。
基本的な構成は以下の通りです。

● 中央のキャビネット
エフェクトのかかっていないドライ音(原音)のみを出力
● 左右に配置されたキャビネット
ディレイやリバーブなどの空間系エフェクトがかかったウェット音のみを出力

この構成によって、中央からは芯のある輪郭のはっきりしたギターサウンドが聞こえ、左右からは空間的な広がりだけが加わります。
つまり、演奏のアタック感やニュアンスはドライ音でしっかり伝えつつ、空間的な広がりはウェット音で演出するという、非常に理にかなった仕組みなのです。

なぜ3wayシステムは効果的なのか?

通常、ギターにディレイやリバーブをかけると、原音とエフェクト音が同じスピーカーから出力されます。そのため、原音のアタックとエフェクトの残響が混ざり合い、結果として音の輪郭が曖昧になりやすいのです。
一方、3wayシステムでは原音とエフェクト音が物理的(あるいは信号的)に分離されています。
これにより、

  • 原音のアタックやピッキングニュアンスが失われない
  • エフェクト音だけ調整することができる
  • 大きな会場でも自分の音をモニターしやすい

といったメリットがあります。

3wayシステムの作り方(AmpliTube 5編)

3wayシステムは、実機で構築しようとすると複数のアンプやキャビネット、ラインセレクターなどが必要になり、かなり大掛かりなシステムになります。しかし、近年はDAWやアンプシミュレーターの進化によって、比較的簡単に再現できるようになりました。
ここでは一例として、AmpliTube 5を使った3wayシステムの作り方をご紹介します。

IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / AmpliTube 5 MAX v2 ダウンロード納品

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信号の分岐

AmpliTube 5では、入力したギター信号を最大3系統に分けることができます。この機能を利用し、信号を以下の3つに分けます。

  • 中央:ドライ音用
  • 上段:ウェット音用(左)
  • 下段:ウェット音用(右)

視覚的にも分かりやすく、後から調整しやすい配置です。

アンプの設定

アンプは好みのものを使用して問題ありません。今回は例として、5150系のアンプシミュレーターを使用します。
3系統すべてにアンプを立ち上げることで、それぞれ独立して音量や音質の微調整が可能になります。
今回は解説を分かりやすくするため、3台とも同じセッティングにしていますが、実際にはウェット側のゲインを少し下げるなどの調整も有効です。

ドライ音の音作り

まずは中央のドライ音の音色を作ります。
ここはお好みの設定で大丈夫です。
今回はこんな感じにしてみました。

ウェット音の設定

次にウェット音用の2系統を作ります。
アンプの後段にモノラルディレイを挿入します。

  • ディレイタイム:500ms
  • フィードバック:5%程度

フィードバックは浅めに設定することで、音が濁りにくくなります。
ここで最も重要なポイントが、ドライ/ウェットのMIXをウェット100%に設定することです。
こうすることで、原音は出力されず、ディレイ音のみが鳴る状態になります。
その後、この信号を右側にパンニングします。パンをどこまで振るかで音の広がり具合を調整できますが、今回は分かりやすく振り切った設定にしています。

左右で異なるディレイ設定

もう1系統も同様に作成しますが、こちらはディレイ設定を変えます。

  • ディレイタイム:250ms

左右で異なるディレイタイムにすることで、ステレオ感がより強調され、立体的なサウンドになります。
この信号は左側にパンを振り切ります。
試しにディレイ音だけで鳴らすとこんな感じです。

完成

3つの信号を同時に鳴らすと、

  • 中央からは輪郭のある原音
  • 左右からはディレイ音のみ

という、3wayシステム特有の広がりのあるギターサウンドが完成します。

さらに一歩踏み込む応用編

もう一工夫したい場合は、ウェット側にピッチシフターを追加し、数セント単位でピッチをずらしてみましょう。これにより、コーラス的な効果が加わり、よりワイドなサウンドになります。
また、3系統をまとめた後段に軽くコンプレッサーをかけることで、全体の一体感を出すのもおすすめです。

まとめ

3wayシステムは昔から存在する手法ですが、かつては大掛かりで複雑なシステムでした。しかし現在では、DAWやアンプシミュレーターを使えば、自宅環境でも比較的簡単に再現することができます。
「リードは気持ちいいのに、なぜか前に出ない」
「ディレイをかけると輪郭がぼやける」
そんな悩みを感じたことがある方には、ぜひ一度試してほしいシステムです。
また、BOSSからはこの複雑なルーティングを簡単に実現できるディレイペダルSDE-3000も発売されています。実機で3wayシステムを構築してみたい方は、こちらも非常に有力な選択肢となるでしょう。

BOSS ( ボス ) / SDE-3000EVH

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気になった方は、ぜひ自分の環境で3wayシステムのサウンドを体験してみてください。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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航平

千葉県出身。ギタリスト兼ベーシストとしてロックを中心に様々なジャンルを演奏するマルチプレイヤー。またDTMにも精通しており、ドラムプログラミングやBGM制作、カラオケ音源制作なども手掛ける。
Twitter https://twitter.com/ike_kohei
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