エレキギターはアコースティックギターに比べて、音を出す過程で様々なアイテムを用意する。
アンプ、シールド、複数のエフェクター、パッチケーブル、パワーサプライ……など。それらをいちいち集めて接続し、アンプにプラグインするのに面倒な気持ちがよぎる事が時としてあると思う。
仕事や学校から帰宅し、ちょっと弾きたい時、機材を準備するのに「めんどくさいなあ」と誰しも思った経験があるだろう。
またアパート、集合住宅、夜中、早朝など大音量を出せない場合がある。「テレビの音量くらいなら……」と考えたりするが果たしてどうだろうか?
たしかに理屈はあっているかもしれないが、エレキギターの出力する煌びやかな周波数は、音の大小に関わらず近隣住民やご家族の耳に突き刺さり迷惑になると思う。
今回紹介するのは、そんな悩みを解決してくれるヘッドホンアンプ、VOX amPlug3シリーズ だ。【手軽】【コストパフォーマンスが高い】【音が良い】と三拍子揃った製品だ。本シリーズは今年始めにamPlug2からバージョンアップして発売された。
ではレビューしていこう。
手軽さ
amPlug3の外観はパッと見では「2」と変わらないが、細かく見ていくと外周の丸みや本体の色合いに高級感がある。大きさは一回り大きい。角ばった「2」よりもスタイリッシュな印象だ。

amPlug 2とamPlug 3を正面から見て。手前が「3」、奥が「2」。「3」の方が一回り大きい。丸みのある外周で高級感がある。

「2」と「3」を横から見たらデザインの違いがわかる。大きさはほとんど変わらない。
サイズは手のひらに収まる程にコンパクト、そして軽い。プラグインするジャックは可動式で折りたためるのでスリムな形状。
使用する電源は単4電池2本。アルカリ電池で使用したところ、音量にもよるが約15時間演奏可能。リズム機能を使用しても10時間は持つだろう。
※購入時にサウンドハウスの単4電池をまとめて数セット以上買えばお得だ。単純計算、1セットで50時間以上使える。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / アルカリ乾電池 単4形 10本パック CPB4 3セット
使用方法は至って簡単。
本体にヘッドフォンを着けて、ギターにプラグインし、電源ボタンを押すだけで音出しは完了。
これ以上の手軽さはないだろう。
またオーディオプラグのコードをMP3などの音源につなげば一緒に演奏できる。私はCD・SDカードの音源に接続し、お気に入りのアーティストとセッションしている。これがまた楽しい。
オーディオプラグが双方についたケーブルを1本購入しておくと、上記のように用途がより広がる。普通1,000円位で購入できる。
CDプレイヤーを持っていないギタリストもいるので、パソコン・スマートフォンから音源を得る人も多いだろう。
一つ気になるのはノートパソコンのヘッドフォン端子から旧amPlug2 にケーブルを接続し続けたら、数ヶ月でパソコンの端子が壊れた。
オーディオ機器ならあり得ない事だがパソコンはこの辺りの端子にコストをかけていないのか?注意したほうが良いと思う。
それなりに価格が高かったパソコンだが。動画サイトからも手軽に音源を入手したいので改善して欲しい所だ。
パソコンから音源を録る時は慎重に。
コストパフォーマンス
バッキング機能付き最新amPlug3は6,500円程である。15,000円クラスのヘッドフォンアンプが他メーカーから数種類ある。モデリングアンプが10台以上入ったり、エフェクターが豊富に選べたりと機能が多彩だ。
だが小型で手軽に使う用途の目的で開発された、ヘッドフォンアンプに機能をフル装備する必要があるだろうか?
機能満載の商品も便利だが、手軽に使うのならamPlug3で充分だ。価格も半額以下。
とにかく音が良い
コントロールはVOLUME、TONE、GAIN、RHYTHM、EFFECTで統一されている。一つの製品に有名なアンプ一台がシミュレートされている。
例えばマーシャル、メサ・ブギー、フェンダー、VOX、ダンブル……などなど王道のアンプの音色が得られる。
先述のとおり、他社製品の中には多数のモデリングアンプが入っている物もあるが、「自分はこのアンプが好きだ!」という好みのアンプや具体的な音の嗜好があれば、アンプの選択肢が無くても良いのではないだろうか。その分価格も安く、シンプルになるから。
どの機種も音色が綺麗。澄みきったキレのある音色はこのシリーズの特徴。それなりに音量を大きくすれば迫力ある音となる。廉価版のエフェクターに見られるような耳に痛い音域は出たことがない。
前シリーズから基本回路をさらにブラッシュアップし、音質が向上した。VOLUMEをあげると、よりナチュラルな歪みが得られた。一言で表現するとREALである。
私は歪みエフェクターを50台ほど所有してきたのでさまざまなオーバードライブ&ディストーションサウンドに精通していると自負するが、この単4電池2本で動くamPlug3の歪んだサウンドに満足している。
私は長年「amPlug2」を愛用し、何度か買い換えている。
内訳は旧シリーズの「クラシック・ロック」2回と「メタル」を2回だ。前者は伝説的な70年代の歪み、後者はモダンなハイゲインと言う感じであり、曲により使い分けている。
1年半に1回再購入していたのでどんな基板か軍手をはめて分解してみた。2枚の写真を見て欲しい。細かい部品で一杯だ。

プラグが壊れたので「amPlug2クラシック・ロック」を分解してみた。本体裏側の基盤。左下の何もない空きスペースに単4電池が2本入る。

小さなパーツがぎっしり埋まっている。中央裏側は電池用のバネ。赤と黒の配線はジャックに接続される。
内蔵エフェクトはディレイ、リバーブ、コーラス、トレモロなど。設定はできないがベストポジションである。各製品により搭載されているエフェクトが若干異なる。
amPlug3にはリズム機能があり、9種類のパターンがある。だいたい数秒間のリズムで、曲のバッキングのような、長いリズムパターンは無い。
その代わりテンポが可変できるので、弾くテンションを上げることは可能。この小さいモデルによく様々な迫力あるリズムが入ったと感心する。
使用するヘッドフォンは別売である。
またスマートフォンに録音することがケーブルを通して可能。自分の演奏を録音し、聴く事は練習するうえで大切なことだ。客観的に自分の音を聴く事で改善点がわかる。
ということで、ヘッドホンかイヤホンを用意しよう。特に高級な商品でなくてもOK。1,000円未満で買えるお手頃価格のイヤホンでも充分楽しめる。
サウンドハウスで買える、一例を挙げておこう。
その他 注意点
ギターに挿すプラグ(ジャック)部分は丁寧に扱おう。プラスチックの筐体に付いているので扱い方によってはトラブルを起こす。am Plugの故障はここが一番多いように感じる。
しかしながら自宅でも外出先でもスマートに使えるギアだ。
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