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音楽のジャンルとルーツ

2022-01-28

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

このコラムに辿り着いた読者のみなさんは音楽が大好きな人たちでしょうから、きっと好きな音楽のジャンルや傾向というのがある程度決まっていることと思います。
では、ご自身の好きなジャンルのルーツ・歴史についてどれくらいご存知でしょうか?

音楽のジャンル分けをすること自体に嫌悪感を示す人もいらっしゃいますが、ジャンルごとのルーツを知ることによってわかることはたくさんあります。
今回は実例を元にルーツを知ることの楽しさと重要さについて語ります。

■ 日本人に親しみのあるジャンル

便宜上、ポップスやJ-POPと呼ばれるジャンルが日本では最も親しみがあるジャンルのひとつですが、厳密に言えば音楽的な意味でのジャンルではありません。
流行りものやヒットチャートに入ればどんな音楽でもポップスに分類されるためロックでもジャズでも民謡でもポップスになりえます。

なんだか節操のない感じがしますが、とらえようによってはどんなジャンルも受け入れる柔軟な言葉であるとも考えられます。

ただ音楽を聴いて楽しむだけなら好きなポップスの曲がどんなジャンルからの派生なのかをいちいち調べる必要はありません。
調べたければ調べればいいし、そこまで深堀りする気はないというならそれでいいでしょう。

しかし、プレイヤーとしてはそこからさらにルーツを知ることで表現の幅が広がる可能性が高くなります。
音楽をやっていると『色んな音楽を聴いた方がいい』と一度は誰かに言われたことがある人も多いと思いますがこういう理由があるからなんですね。

■ TUBEが好きな人の場合

では例としてTUBEが好きな人はどうやってルーツを探っていけばいいか考えてみましょう。

TUBEは日本のポップス界で30年以上活躍するバンドでキャッチーなメロディとロック色の強い楽曲が特徴です。
そして、なんと言っても夏に関する楽曲が多いということでサザンオールスターズと並んで夏バンドとしてのイメージが強く残っています。

サウンドメーカーであるギターの春畑さんはハードロックを基調としたプレイを得意としているのですが、ロックな中にも夏や熱帯地方がイメージされるサンバやレゲエ、ハワイアンなどのジャンルを取り入れているのが大きな特徴です。

○ サンバはどこに繋がる?

サンバはあまり日本人に馴染みがない(ダンスとしての認知度は高い)ので勉強することにしたとしましょう。
あの特徴的なリズムは日本のポップスで耳にする機会が少ないので、うまくとり入れられたら他の人と差別化できる大きな武器になります。

そして、サンバにはボサノバという派生音楽があり、コード進行やリズムはかなり勉強になります。
日本ではボサノバの熱心なファンは少ないものの、カフェやレストランなどのオシャレ空間で利用されるのでサンバよりも耳にする機会が多い人がほとんどでしょう。
ただし、あくまでBGMとして使われる程度なので詳しく知る人は多くありません。
このような背景もあり、同じくオシャレ空間で利用されることが多いジャズと混同されがちです。

しかし、ジャズはブルースをルーツとした音楽であり古いサンバやボサノバを聴いてもジャズとは繋がりません。
ジャズを勉強しようと思ったらジャズそのものやブルースを学ばなければならないということですね。

ただしブラジルのポップスはサンバやボサノバからも多くの影響を受けていますが、ボサノバだけでなくジャズの影響も多いです。
ブラジルの近代的なポップスをサンバと認識して聴いている人は自然とジャズの要素も聴いている可能性があります。

○ レゲエはどこに繋がる?

レゲエはジャマイカ発祥と言われていて、ブラジル発祥のサンバとは同じ南アメリカ大陸ではあるもののルーツが違います。
日本人からするとどちらもなんとなく熱帯地方の音楽という印象ですが、サンバはアフリカ民族舞曲とヨーロッパ舞曲から、レゲエはさかのぼるとR&Bやブルースあたりからきています。

2000年から2010年くらいにかけてジャパレゲ(ジャパニーズレゲエ)と呼ばれる音楽が流行した時期がありますが、レゲエのルーツであるR&Bやブルースはそこまで日本人の感性から外れたものではありません。
ちょうどその頃はR&Bやソウルの要素を含む宇多田ヒカルさんがヒットを飛ばした時期でもありますし、和田アキ子さんや久保田利伸さんなどはそれ以前から人気がありました。 ブルースも派生を辿っていけばロックに辿り着くので日本人が好む音楽ですよね。

こういった背景もあることから、ガチガチのレゲエでなく、レゲエの要素を取り込んだポップスは日本人に受け入れられやすかったのかもしれません。

■ まとめ

今回はTUBEにスポットをあててみましたが他のアーティストでも調べてみると意外なところにあるルーツを見つけられるかもしれません。

プレイヤーは好きなアーティストがいたらそのアーティストのコピーだけするのではなく、ジャンルや曲の傾向からルーツとなる音楽を探し出してコピーしてみてください。 曲作りやアレンジの幅が広がる可能性があります。

また、プレイヤーだけでなくリスナーの人にもぜひ調べてみて欲しいです。
単純に知識が増えて楽しいというのもありますし、新しく好きなアーティストが増えるかもしれません。

今はサブスクで様々な音楽が手軽に聴けるので、本当にいい時代になったなと思います。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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キョウ

TUBEのギタリスト、春畑道哉先生を敬愛するおっさんギタリストです。 息子たちも楽器を嗜むので子育て的な観点での記事も書いていきたいと思います。
YOUTUBE https://www.youtube.com/channel/UCnOf2xDJqVutdV59aA83t5wo

 
 
 
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