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Rock’n Me 14 洋楽を語ろう:ジョン・メイヤー

2022-01-14

テーマ:sound&person

こんにちは。洋楽を語りたがるジョシュアです。第14回目では、ジョン・メイヤーJohn Mayerについて語ります。ジョンのことを簡単に言うと「ポップだけどブルース好きすぎ、ギターうますぎ、昔は女遊びしすぎ、喉の病気になってからは摂生中」といったところです。

先日もギター・マガジン誌の表紙を飾ったほどメジャーな存在ですし、ポール・リード・スミス(PRS)のシグネチャー・モデル・ギター、Blue Skyはすっかり定番化しました。ですので、最近の彼については、私以上に詳しい方がたくさんいらっしゃることでしょう。そこで、このコラムでは、あくまでも個人的なコンサート体験を振り返っていきます。私は、これまで7回ジョンのコンサートを観ました。うち最初の4回はアメリカ東海岸(うち4回目はジョン・メイヤー・トリオ名義)で、日本では3回(JCB Hall1回、日本武道館2回)観ました。特に印象深いのは最初の3回で、当時の日本では無名でしたので、その当時の様子をレポートします。

□ 2003年8月15日(ヴァージニア州ブリストウ Nissan Pavilion)

実は、このコンサートでジョンを見る気は全くありませんでした。当時、私はワシントンDC郊外に引っ越した直後でしたが、ジョンについては「ポップなデビュー・アルバムがヒットしまくっている新人」程度の認識しかありませんでした。

■ ジョン・メイヤー “No Such Thing”

昔から好きだった(当時)中堅バンド、カウンティング・クロウズがジョン・メイヤーとともにツアーすることを知り、深く考えることもなくチケットを取りました。受け取ったチケットにはカウンティング・クロウズの名前が大きく書いてあったため、アルバムを1枚しか出していないジョン(厳密にはインディーズ時代のアルバムとライヴ・アルバムを発表していました)が前座なんだろう、としか考えていませんでした。

ところが当日、ワシントンDC郊外にある会場(収容人数:約2.5万人)に車を飛ばして行ったところ、前座の時間枠で演奏していたのはカウンティング・クロウズでした。ヒット曲を数多く飛ばしていた中堅バンドが新人アーティストの前座になる、という弱肉強食ぶりに驚きました。いざ観ると、カウンティング・クロウズの演奏は悪くなかったのですが、勝手に高めていた期待ほどではありませんでした。「まあお金払ってここまで来たし」と思い、気楽な気持ちでジョンのセットも観ることにしました。しかし、演奏が始まった瞬間、そんないい加減な考えはあっという間に吹っ飛び、ジョンが真打である理由に気づきました。当時20代後半でしたが、綿密すぎる曲、歌声、そしてギターの腕前...多くの曲はアコースティック・ギターでしたが、エレクトリックに持ち替えた途端に豹変して、円熟味たっぷりの泣きのギターを聴かせていたのです。「この人は次世代のクラプトンだ」と確信し、ジョン推しを決めた瞬間でした。当日のセットリストは以下の通りでした。

2003年8月15日Nissan Pavilion公演チケット・セットリスト

No Such Thing > My Stupid Mouth > Something's Missing > 3x5 > Bigger Than My Body > 83 > Come Back to Bed > Your Body Is a Wonderland > Why Georgia
アンコール:Back to You

□2003年11月26日(メリーランド州ボルチモア Baltimore 1st Mariner Arena)

ジョンのコンサート初体験の直後、9月にはメジャー2作目の『Heavier Things』が発売されました。1作目のアコースティック・ギター中心のサウンドとは打って変わり、エレクトリック・ギター主体となり、ブルース色を強めていきました。ほどなくして、ボルチモア(ワシントンDCの隣町)の会場(収容人数:1.4万人)でジョンのコンサートがあることを知りました。今度は迷うことなく、ジョン目当てでチケットを入手しました。

前座はザ・ソーンズThe Thornsという、3人のシンガーソングライター(マシュー・スウィート、ショーン・マリンズ、ピート・ドロージ)によるユニットでした。このユニットはアルバム1枚のみで消滅してしまったので、彼らの美しいハーモニーを聴けたのも今となっては貴重でした。しかし、肝心のジョンが出てきたら、その余韻はあっという間になくなり、ジョンの世界に惹き込まれました。アルバム同様にエレクトリック色を高め、クラプトンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンを進化させたギター・ソロを響かせる彼には、ただただ魅了されるばかりでした。セットリストも前回と大幅に異なりました。(彼が毎回セットリストを替えていることは後に知りました。)

2003年11月26日Baltimore 1st Mariner Arena公演セットリスト

Bigger Than My Body > Clarity > My Stupid Mouth > Covered in Rain > No Such Thing > Split Screen Sadness > Why Georgia > Back to You > Only Heart > Come Back to Bed > Your Body Is a Wonderland > Neon > Wheel
アンコール:Daughters > St. Patrick's Day

□2004年8月21日(ヴァージニア州ブリストウ Nissan Pavilion)

その翌年の夏、1回目と同じ会場にジョンが来ることを知り、良い席を狙ってチケット争奪戦に挑みました。前から約20列目でしたので、アメリカの大会場としては善戦した方でした。この日の前座はマルーン5で、今となっては豪華絢爛な組み合わせでした。すっかり大物となったマルーン5ですが、当時はデビュー・アルバム『Songs About Jane』で売り出していて、今後の活躍が期待されていた時代でした。

マルーン5の演奏もかなり良かったですが、ジョンが出てくると、その貫禄の違いをまざまざと見せつけました。前回コンサートのコンセプトがブルースならば、今回はブルース+ソウル。ホーン・セクションを加えたバンド編成で、ソウルフルなヴォーカルとギターを聴かせました。フレディ・キングの”I’m Tore Down”、マーヴィン・ゲイの”Inner City Blues”、ジミ・ヘンドリックスの”Voodoo Chile (Slight Return)”などカヴァー曲も惜しげなく加え、単なるブルース野郎ではない懐の広さを感じさせました。

2004年8月21日Nissan Pavilion公演チケット・セットリスト

Bigger Than My Body > No Such Thing > Only Heart > My Stupid Mouth > 3x5 > Daughters > New Deep > I'm Tore Down > Come Back to Bed > Inner City Blues (Make Me Wanna Holler) > Your Body Is a Wonderland > Why Georgia > Clarity
アンコール:Wheel > Voodoo Chile (Slight Return) > Back to You

その後、『Continuum』が2006年に発売されました。個人的には彼の最高傑作だと思っています。日本でも遅ればせながら、その名声が広まってきた時期でした。

■ ジョン・メイヤー “Belief”(『Continuum』収録曲のライブ版)

一方で、名声とともに女優やシンガーたちと浮名を流すようになり、ジェシカ・シンプソン、ジェニファー・アニストン、テイラー・スウィフト、ケイティ・ペリー…あと他にも様々な女性が通り過ぎていった気がします。デビュー当初の音楽青年、といったひたむきな姿勢が一転し、「ダメ男」としての下世話な話題が巷の注目を浴びるようになりました。アメリカのコメディ番組でも格好の餌食となり、ジェシカ・シンプソンとの交際時には、二人の唯一の共通点を風刺したこんな寸劇も笑いのネタとなりました。「デートでぎこちなく座る2人。着飾ったジェシカはドラマや美容の話しかしない。ジョンはギターを抱え、ブルースについて語ろうとし、会話がまったく弾まない。でも、ジョンが『○○する?』と聞くと、ジェシカは『イエス』と即答し、手をつないで奥の部屋へ...」この寸劇が予言したように(?)二人の交際は数か月しか続きませんでした。

■ Saturday Night Live “The Intimate Moment with John Mayer and Jessica Simpson”

そんな放蕩の日々も今ではすっかり昔のこととなりました。喉の病気を患い、活動休止を余儀なくされました。療養を契機に、誘惑の多いロサンゼルスから山間部のモンタナ州パラダイス・ヴァレーに転居し、喉の手術後は音楽の活動に精進しています。新作『Sob Rock』は久々の快進撃で、個人的には2021年のベスト・アルバムでした。シングル曲”Last Train Home”は、TOTO+エリック・クラプトン的サウンドといい、プロモーション・ビデオといい、1980年代のMTV世代がニヤリとする内容となっています。もちろん、その世代でなくても十二分に楽しめるアルバムですので、彼のことを知らない方はぜひとも体験してください。

■ ジョン・メイヤー”Last Train Home”


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ジョシュア

1960年以降の洋楽について分かりやすく、かつマニアックに語っていきます。 1978~84年に米国在住、洋楽で育ちました。2003~5年に再度渡米、コンサート三昧の日々でした。会場でのセットリスト収集癖があります。ギター・ベース歴は長いものの永遠の初級者です。ドラム・オルガンに憧れますが、全く弾けません。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズに関するメールマガジン『Depot Street』で、別名義で寄稿しています。
Twitterhttps://twitter.com/RocknmeJP
Depot Streethttps://www.mag2.com/m/0000011264

 
 
 

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