〜プロフィール〜
Cheena:改造や自作、果ては個人輸入やキットのカスタムオーダーまでしている。
本記事執筆中も2本ほどオーダーしているようだ…
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ネモト:小僧の頃には買えなかった楽器を買えるという1番ヤバいタイミングで復帰したためオーダーした。カスタムオーダーなんて小僧の頃は思わなかったのに。 コンポーネントベース用のオーダーもやってます。たまにね。
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Cheena:今回はオリジナル楽器回です。
無塗装カスタムボディの輸入や海外格安オーダー、その他キットの活用法などにも触れますよ。
オリジナルといえば、ネモトさんはPhoenixで8弦フレットレスベースをオーダーしたんでしたね。
ネモト:コレね。

この世に存在しないベースが欲しいとオーダーしました。尚オーダーしたところはカスタムオーダーする際のアップチャージは20%。要は定価の2割増し。わかりやすくていいのよ。
あと、カスタムオーダーする場合、楽器屋と仲良くなっておくと色々得しますぜ。
Cheena:定価2割増しって言っても8弦が生産ラインにあるのはなんというか…笑えますね。
私の方のオーダーしたWarmothのベースですが、基本は木部のみ塗装なし、塗装やら装飾やらはオプション追加で、割とお安く購入できます。コンポーネントに近いですね。あとで紹介しましょう。
Bass VIや6弦ベース、その他スターキャスターとかスウィンガーなんかの色物も素体だけなら$300~400ぐらいで作れますよ。
途中の諸々が面白かったし2-3本ぐらい記事が書けるのでそれもやっていこうかな。
ネモト:歴史あるし挑戦的なモデル多いしね。言ってなかった気がするけど、これ用のフレッテッドネックも作ってもらったよ。簡単に載せ替えできるようにジョイント部の厚みを変えてもらった。 私もレリックしたいというシンプルすぎる理由でワーモスにオーダーしたけどラッカー塗装してもらったから10万超えた。
Cheena:塗装1回でもう一つ作れる程度には塗装費が高いんですよね。ボディが安いと言われればそうなんですけれども。
あとパーツの費用は入ってませんからね…私が作ってるやつもボディとネックで5万弱のところ、ハードが結構載って、ピックアップもちゃんとしたものにしたら20万は超えそうな勢い。ずいぶん贅沢なBass VIになってます。
ネモト:

私の場合パーツ代は4万程度だっけかな?
ある程度現代化したOPBがコンセプトで、元々がOPBだからそもそもパーツ少ないのよね。
Cheena:いいですねぇ。50年代のプレベは潔さが凄い。
ネモト:ちなみに今は魔改造(アームとシンセ用ディバイデットピックアップ搭載)しようか悩んでたりする。
ギャップ萌えですな。
カスタムオーダーは楽しいし木材の知識もつくから読者諸兄姉もやってみたらどうです?オーダーしなけりゃタダだし。
Cheena:想像は無料ですからね!高級材もハイエンドピックアップも使い放題。
ネモト:ワーウィックはものすごい選択肢があるからやってみなよ。スネークウッド、ヨーロピアンアッシュ、アフゼリア等アフリカ材やネックのピース数、特殊なインレイとなかなか他では見かけないものもあるし、ピックアップの位置も変えられるしね。
ちなみに私がヴァンパイアオーダーしようかと見積もりとったらとりあえず100万用意しないとって感じで、知り合いがオーダーしたサムベース9弦は2万ユーロだっけかな…。
Cheena:オーダーはやっぱり良いもの作ろうとすると100超えますよね。
ちなみに2万ユーロは260万5000円(執筆当時)です。よくオーダーしましたね…
※記号ユーロは環境依存文字のため片仮名でお送りします
ネモト:ちなみにその人今はフォデラに全部(弦数とハードウェアの色だけ指定)お任せ$33000(同359万7000円)でオーダーしとる。なんでもヴィニー(創業社長)が作るらしい。
割とグラっときたのはFベースの9弦。トップ材無しなら90万で作ってくれるらしい。
逆にめっちゃ安いオーダーだとカラーオーダー。
楽器屋と仲良くなっておくといいって言ったけど、その理由の1つがコレ。個人ではオーダー受け付けてくれなくても楽器屋からはオーダー受け付けていること多いから、「カラーオーダーしてくれない?」と馴染みの店に言うと受け付けてくれたりするみたいよ。私はやったことないけどあり得る話。
Cheena:完全お任せとは、貴族の遊びですね…やってみたい。
9弦は格好良すぎますけど、Fベースだと10kg近い重量になりますかね。ちなみに超多弦厨としておなじみきーおす氏の青いスタビライザー11弦は14kg、金管楽器のチューバが10kg-15kg程度です。レスポール3-4本分と考えるといいかも。
重量問題を解決しつつ多弦ベースを使うとなると、シンラインやセミアコなどでボディ重量を落とし、パーツをアルミやカーボンなどの軽量パーツに変え、ピックアップもAlumitoneなどで軽量化を図り、ボディ材もできるだけ軽量なものを使い…と、スポーツカーの如く削っていくことになりますね。ジェントスティックやアップライトベースみたいに立ててしまえば問題ないですけど…
ネモト:

私が所有していた(現在委託販売中。誰か買って)ロスコーの9弦はホワイトアッシュボディで7kgちょっとだっけかな?8kgはいかなかったはず。Fベースでも同程度になると思うよ。ちなみにこれはオーダーもの。
でも7kgになると幅広でクッション製の高い、いわゆる疲れにくいストラップを使っても肩に食い込む。7kgどころか6kg超えるとキツい。きーおすさんよく使えるな…。
で、確かに9弦で軽くする(6kg未満と仮定)と相当努力しないと難しいだろうね。ボディバランスまで考えるとヘッドレスにする必要があると思う。あとは材厚を40mm以下、弦間を17mm未満、できれば15mmにしないと辛かろう。
Cheena:きーおすさんのスタビライザーベースは絶対に座奏になりますね。私も弾いたけど形容しがたい凄味があって楽しかったです。
私も超多弦ベース(ここでの定義は7弦以上のベース)に手を出そうかな…今使っているSXのあれをそのままでかくしたようなベースを使いたいものです。
しかしトラディショナルな楽器を超多弦化したものというのは大体見た目が似通ってしまうものですね。
どうにも気に入るデザインができない。
ネモト:うーむ…
私がやるのならヘッドからボディのピックアップ周りまで残してサイドを一旦ぶった切って、それから大きめのウィングを付けるって感じになるかなぁ。岡野ハジメさんのイカベース(初代)みたいな感じ。
デザインの自由度が高くなるし、何ならウィングを替える事で真の「変形」ベースも作れると思う。
Cheena:ウィング付きベースは結構見ますよね。なんならボディを2つ繋いでダブルネックにできるものもあって、重量と価格を度外視すれば欲しい楽器の一つですね。
ネモト:今思い出したけどアリアのシンソニードベースに自作のウィングつけたりしてたわ。
ヘッドレスでかなり軽いからウィングつけてもさほど重くないし元々の穴を利用すればかなり楽だった思い出。ジャンクジャズべぶった切ってちょいちょい加工してつけたら5万円かそこらで作れて、確か4キロ程度だったかな。もちろん音は変わった。
Cheena:シンソニードはフレームだけのトラベルベースでしたね。
ARIA ( アリア ) / AS691B FL MH
確かにそれならウィング付けても軽いままですし、ちょっと太く見えてダサいのが簡単に変形風にできる。
近くのジャンクショップにあったの、買っておけばよかったかな…
ネモト:音は決して悪くないし安値で見つけたら買っていいと思う。コントロールの位置は変更するべきだと思うけどね。
ついでに今製作途中のベースの紹介(とはいえ最初に挙げたやつと同じだけども)

これもボディ、ネックはオーダー。レリックしたいという雑な理由でオーダーした。
レリックが前提になっているのでラッカー塗装を頼んだ。ネックカラーはオレンジ。
詳しい人が見たら違和感だらけの間違い探しOPBがコンセプト。各種パーツの仕様はまだ悩んでる。
こういう風に明確なテーマにそってやれるのもオーダーの魅力だよね。
Cheena:人をおちょくる為にオーダーするのはやりすぎ感がありますねえw
とはいえ私もジャガーやジャズマスのデザインを他のシェイプに落とし込んで遊んでいる節があって、最初に言っていたBass VIはInoran Jazzmasterに寄せています。
ネモト:おちょくっているのではなくベーシスト格付けチェックだから…おちょくってるねw
色々テーマがあって面白いね。出来上がりを見てみたい。
Cheena:とりあえず作ったやつと制作中のを紹介しましょう。
一本目はロマン主義的に、マホボディにハードをわんさか載せてとにかく格好良さを優先したやつです。
今はHATA製ノブだったり、Pure Tone Jackをクロームからブラックに変えたりして精悍さがさらに増しています。

二本目がコレ。なんで塗装中のボディだけなのかの経緯はBass VI製作記事見ると分かります。

ちなみにInoran Jazzmasterはこちら。正統派にゴージャスな感じがすごく好きですね。
FENDER ( フェンダー ) / INORAN Jazzmaster
ネモト:私は1本目が1番好き。
イノランモデルもカッコいいね!
ジャズマスじゃないけどカート・コバーンのジャガー好きだったなー。単にNirvanaのファンってのもあるけど。
Cheena:これですね。
FENDER ( フェンダー ) / KURT COBAIN JAGUAR NOS RW 3-Color Sunburst
普通のジャガーを元に、2ハム、トグルスイッチセレクターや3ノブ、Tune-O-Maticブリッジの搭載など、ジャガーを外れない範囲できっちり改造しているという感じがあります。なかなか格好いい。
ネモト:実際ジャガーの音じゃないけどいい音はしてる。カートはギター破壊が名物だったけどジャガーは唯一破壊しなかったギター。気に入っていたっぽいね。自分が作らせたくせにシグネチャーモデル(ジャグスタング)嫌ってたりするからね。
Cheena:Jag-Stangは回路とパーツがムスタング、ジャガー系のネックにジャガー/ムスタングの双方を合成したようなボディを持つ謎ギターですね。
おもちゃ感が強いというか、雑な作りに見えるというか、不思議なギターです。
ネモト:実はウチにある(笑)
ビザールギターのようなテイストがあるよね。何気にスラブボディだったりするし。
音もどこかチープで、ギターにはあまりこだわらなかったカートの姿勢を表しているような気がする。
ライブでよく使っていたのは60年代に輸出されてゴミのような値段で売られていた日本製モズライトコピーだったりするし、破壊専用ストラトとかあった。
あのストラトに書かれた文章は一時期よく見た。
Cheena:VANDALISM:BEAUTIFUL AS A ROCK IN A COP’S FACEですね。破壊行為は警官の顔に石を投げるのと同じぐらい美しい。
この手のカスタムやテープ貼りだとよくカートとヴァンヘイレンが挙げられますけど、私はGrandfunk Railroadのマークファーナーも推したいですね。
Musicraft Messengerというアルミネック、ファズ内蔵のセミアコを緑色にリフィニッシュし、Fホールをマスキングテープで塞ぎ、シールドをアルミテープで固定して使用していたようです。
このギターに関してはGrandfunk Maniac.orgというサイト内のMark Maniac( http://grandfunk-maniac.org/eijifarner/summit/Mark_Maniac.htm )で詳細に再現しています。 カールコードと破壊に近いカスタムはロックミュージシャンの性なのでしょうか…
ネモト:調べてみた。カッコいいわこれ…!
ギター破壊のルーツはグスタフ・メッツガーかなぁ。
彼の影響を受けたピート・タウンゼントがやり始めてポール・シムノンがメジャーにした(ロンドンコーリングのジャケ)2人とも使っていたのはカールコードだ。長く伸びるからステージ上で動き回っても大丈夫ってことみたいね。
なお、ポールが破壊したのはパフォーマンスではなくてライブが最悪過ぎてマジギレして破壊したみたい。
ライブが終わったら「なぁ…あそこに転がってるベースってまさか俺のじゃないよな…?」って気持ちだったとインタビュー記事で読んだことある。
その後はジミヘンが「魂の解放さ」と言いながら破壊するようになっていよいよ定番になったってところかしら。ポール・スタンレーがライブの最後で壊すのも恒例。…見事にロックミュージシャンばかり。
ちょいと逸れるけどメッツガーの破壊芸術はオノ・ヨーコも影響受けたらしい。
Cheena:自分の演奏に納得できずに楽器を破壊するミュージシャン、恐ろしすぎる…とはいえYOSHIKIも感情に任せてドラムセット破壊してますからね。性というか業というか、やはりこれがロックなのかもしれない。
ちなみに私もとある理由によりカットストラト(特殊回路記事参照)叩き壊す必要があったんですが、何故かまったく傷つかず塗装が少々剥げるか凹むかのどちらかで諦めたことがあります。壊せる人すごい。それとも私が堅牢に作りすぎたのか…
※数か月の格闘の末5月中旬に入りやっと破壊できました。よかった(?)
ネモト:まぁ1ミリも役に立たないと思うけどコツはある。見てみるとわかるけど大抵の場合ネックが折れるだけでボディまで粉々になるのはそうそうない。じゃあどうするの?って言うと、事前に裏から切れ目を入れておくのよ。そうするとボディまでバラける。
よく見てみるとわかるけど、ボディまでイったやつは大概まるで切れ目が入っているように綺麗にバラバラになる。
カットストラトのようにボディが軽くなるとネックを折るのは難しいね。何に叩きつけるかにもよるけど。
前述したカートのストラトもネック折れるだけだから。
Cheena:そういえば少し前に「ギターが上手く壊せない時のための動画」という奴があったな…
それはそうと壊れることに全振りした楽器があってもいいかもしれないですね。あとで付け直すのが簡単とか。爆砕ボルトでネックが吹っ飛ぶとか。
ネモト:マルチピースにして、ボディの結合部をあえて弱く接着するとかもありかな。ネックの周りだけで楽器の機能は果たせるわけだし。 爆砕ボルトは草。
Cheena:分からない人のために説明すると、爆砕ボルト、別名分離ボルトには火薬が入っていて、通電すると爆発または燃焼して止めてあったものが取れるようになっています。
緊急脱出時に航空機のキャノピーを吹っ飛ばしたり車のガルウィングを吹っ飛ばしたり、安全のために使い捨てられるいいやつです。楽器に搭載した例は当然見たことないけど。
うっかり起動しないようにミサイルスイッチや非常停止ボタンみたいなのを使うといいかもしれない。
ネモト:ステージエフェクトとして花火を使ったりするから爆発自体は全然アリだと思う。アンコールの最後の曲、上にブン投げた楽器が爆発して終わりとかカッコいい。安全を担保できるかわからないけど…。
Cheena:爆発自体はともかく弦で繋がったままのボディとネックが降ってくるのは嫌ですね。
ネモト:普通に危ないもんなぁ…。
危ないというとベース回しも地味に危ないよ。ストラップピンが外れて客席にぶっ飛んでいったのを見たことがある。怪我人は出なかったけど。
Cheena:重量ありますからねぇ…ストラップピンといえば、ESPから絶対に緩まないロックピンが出てましたね。
多条ネジと一条ネジを一本のボルトに成形しているのだとか。技術の塊だ。
もはやオリジナル楽器じゃなくて楽器に転用可能な技術の話になってきました。
ネモト:絶対に緩まないネジ!あったなぁ。
あそこの社長さんレモンティー中毒なんだよね。
脱線はいつものことだけども流石に軌道修正が必要なレベルになってきたね。 あるいはここで一回締め切っちゃう?
Cheena:謎の情報が出てきた…ちなみに脱線編がもう一つあります。
今回はここで〆ますか。
ネモト:そうね。今回も楽しかった。ありがとうございました。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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