こんにちは!BABY BABYのギタリスト、フジオカタクトと申します。
今日はずーっと気になっていた実験DIYをしてみましたのでその模様をシェアしたいと思います。
タイトルにもあるように今回は「アコギの内側を塗装したら音はどう変わるのか」ということを試してみました。
アコギは空洞のある構造なためサウンドホールから内側を確認できますが、大抵のアコギは内側が塗装されていません。調べてみると一部の高級なアコースティックギターやクラシックギターでは組立の際にラッカー等で塗装する、といった情報は見つけることができました。しかし、音がどう変わるのかまではわかりません。ここまできたら自分で試してみるしかない!ということで実際に塗装してみました!
今回使用したアコースティックギターはRecording King RPS7。

このギターはパーラーサイズの小ぶりなギターにも拘わらず生音が大きいです。よく鳴るのですが鳴りすぎな気がしますし低音の響きが弱いです。ボワッと輪郭がない感じと言いますか…。また全体的に倍音が少なくサスティンも鳴りが良すぎるのか不自然な感じがしました。おそらくサイド・バック材にホワイトウッドという軽く密度の低い材を使用していることが影響しているのかと思います。現状でも特に不満ではないのですが、これが内側を塗装することでどう変わるのか?ワクワクします…!
塗装に使用したのはxotic oil gelです。
この商品はオイルのようですが硬化して塗膜を形成してくれるオイルフィニッシュに用いられるような塗料です。塗料にありがちなきつい匂いも少なく、ウエスなどに必要分取り出して拭くようにして塗装ができるので作業性も高いです。今回アコースティックギターの内側という手の入れにくい場所を塗装することも考え、こちらを選びました。
ウエスでサイド・バックに手の届く範囲で塗りました。ボディエンド側はちょっと手が届かなかったですがなるべく広い範囲で塗りました。
では簡単にですが録音してみたので塗装前と塗装後の音を聞き比べてみてください!
使用マイクはOBANA MICROFONE OBA-G5です。
波形も合わせてみてみます。

上が塗装前、下が塗装後です。
まず波形をみてみると全体的に音量が低下しています。もちろんアコギの生音録音なのでルーパーのような機能は使えないため、弾き手の問題もあるかと思います。なるべく音量差がないように心がけて録音しましたが、このような結果になりました。塗装後の波形の方はやや形もいびつですが耳で聞くと不思議とまとまりがあるように感じます。こじんまりしたけど、必要以上に鳴らなくなり、バランスが良くなった印象です。
サスティン自体は塗装前後で大きく変わらないような…。しかし塗装前は豪快で低音域がしつこい感じ、塗装後は繊細で上品に感じます。どう受け取るかは好みの問題もあるかと思いますが、僕は塗装後の方が聴きやすく、弾きやすく感じました。
一番気にしていた低音の出方についてもかなり変わったと思います。塗装前はぼやけた印象だったのが塗装後は音にハリが出て、音色も硬くなったように思います。ボリュームが落ちたことで低音の音量も下がった感じはします。
EQもチェックしてみました。

上が塗装前、下が塗装後です。
こうみると、塗装後は低域の出方自体は大きく変わっておらず中〜高域にかけての出方が控え気味になったことがわかります。倍音成分が変わることで低音の聞こえ方も変わったのでしょうか。個人的には500k~800kが抑えられることでスッキリした出音になったのかなと思います。レコーディングキングでもミックス時でもこの辺りは抑えることが多いので嬉しい変化です。
アコースティックギターのサイド・バック材で一般的なものはローズウッドやマホガニーだと思いますが、これらも木の硬質の違いが音色に影響を与えています。今回、塗装・塗膜によってボディ自体の硬さを変えることで若干ですが音色を変えることができました。材質やパーツが変わったわけではないので音色自体を大きく変えることはできません。大きな期待はしてはいけませんが個人的には満足のいく結果になりました。割と手軽にできる反面、一度塗装してしまったら引き返すことはできないため、もし試される際は完全自己責任で実験用のギターを用意して行われることをお勧めします!個人的には密度の低い木材を使っている安価なギターや塗装の薄いサテンフィニッシュのギターでは変化が見られやすいのではないかと思います。ドレッドノートやトリプルオーサイズのアコギだとどのような変化があるのか?また機会があれば試してみたいと思います!
それではまたー!