
親愛なる数少ないワタクシの読者の皆様。
サウンドハウスのレコード好き社員、営業部の市原雅之でございます。今日も相変わらず色男で申し訳ございません。
さて、以前からモノラルレコードについてのブログを掲載しておりますが、先日、アメリカン・ポップス、ソフト・ロック屈指の名盤、ロジャー・ニコルスが1968年にリリースした「ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS」のモノラル復刻盤が発売されましたので、さっそく、当時アメリカ市場に出回ったステレオ盤と聴き比べてみたいと思います。
1960年代半ば頃まで、アメリカやイギリスではステレオミックスとモノラルミックスの2種類のレコードが市場に流通していました。しかし、1968年の作品となると特にアメリカではステレオのオーディオ環境が主流になり、モノラルレコードの販売も少なくなっていました。このアルバムも一般向けにはステレオ盤のみの販売だったようです。
しかしその一方で、1968年のアメリカでの発売当時、まだステレオ放送に対応していなかった中波(AM)ラジオ局向けにごく少数のみ配布されたプロモーション用レコードには、モノラルでミックスされたタイトルも少なからず存在したようです。
以前、カーペンターズのプロモシングルのモノラル盤をご紹介したブログでも触れたとおり、オーディオ装置の前で集中して聴かなくても、ラジオで気軽に聴いているだけで歌声の魅力などが耳に残る、そんなミックスに仕上がっているものをよく耳にします。
さて、そんなモノラルレコード。いざオーディオの前でじっくりかけてみると、その圧倒的なサウンドに感動する醍醐味を味わえることも少なくありません。
今回のロジャー・ニコルスの歴史的な作品のモノラル復刻LP。ステレオ盤と聴き比べると、どんなマジックが飛び出すのでしょうか?
各曲を聴き比べた印象をご紹介いたします。再生環境によって聴こえ方が違ってくることもあるかと思いますので、参考程度にお読みいただけたら幸いでございます。
ちなみに私のオーディオは高級なものではなく、昭和時代の日本製アンプやレコードプレーヤー、タンノイのエントリー向けと思われるスピーカーと、基本的にあまりお金をかけていない環境での再生であることをご了承くださいw
さて、今回聴き比べに使用するステレオ盤は、決して自慢するわけではない、わけではないですが(笑)、筆者が所有する当時のステレオLPです。

ただ、1990年代以降にもステレオ盤のLPは何度か再発売されているようですので、レコードで両方聴いてみたい方は、ぜひ探してみてはいかがでしょうか!
さて、今回のモノラルレコード。最初は通常のステレオ用カートリッジ(針)でかけてみましたが、モノラルカートリッジで聴いてみると、迫力も音のリアルさも、より圧倒的に深く味わえると感じました。
そこで、各曲の内容に入る前に、比較的お求めやすく、近年再発されたモノラルレコードにも対応したカートリッジをご紹介します。
NAGAOKA(ナガオカ)/ MP-MONO MP型モノラルカートリッジ
近年の再発・新譜モノラル盤にも対応したカートリッジ!音の輪郭やリアル感を引き出し、解像度の高さが魅力です。各楽器やボーカルの存在感を明瞭に表現します。
レコードを買うのを少し我慢してでも、モノラルカートリッジで再生する価値は大いにあるとワタクシは思います!
ちなみに、ヘッドシェルは別売りですので、初めて購入される方はご注意を!
一方、ビンテージのモノラルカートリッジの中には、近年の復刻モノラルLPの再生に適さず、盤を傷める可能性があるものもあるようです。そのため、使用するカートリッジが近年の再発盤に対応しているかを確認してから聴きましょう!
さて、今回めでたく発売された復刻版モノラルLPの中身に触れながら、各曲の聴き比べを始めましょう!
全体的には、ゴージャスでワイドに広がる迫力が魅力のステレオ盤、コンパクトでよりバンドっぽいサウンドのモノラル盤という印象ですが、1曲ずつ細かく聴いてみるとそれぞれどんな違いがあるのでしょうか!
レコードを再生するにあたり、まずは外装のビニールを開封してみますと……。
ジャケット左上には、モノラル盤であることを示すシールがステレオのマークの上に貼られており、この頃のUSモノラル盤でしばしば見かける仕様を再現しているところが泣けますね!

さらに、ジャケットから中身を取り出してみると、当時の他のレコードの広告が印刷された紙スリーブが登場!手持ちの当時のステレオ盤に付属していた紙スリーブと見比べてみたところ、なんと、写真のとおり、掲載されているレコードのセレクトから配置に至るまで、ワタクシが大昔に購入したレコードに入っていたものと一致!


そしてラベルはアメリカのプロモーション盤でよくみかける白いラベルになっているところもテンションあがりますね。

いやはや、音だけでなく、こんな細かなところまで当時の雰囲気を再現してくれるとは、レコード好きにはたまりません!
さてさて、前置きがすっかり長くなりましたが、それでは各曲の違いを見つけながら楽しんでみましょう!
A1: Don't Take Your Time
今回のモノラルレコードで聴けるミックスはAMラジオ向けということもあり、プロモーション用モノラルレコードの多くの例と同様、ボーカルとコーラスワークが圧倒的な存在感を放っています。また、ベースの音圧も素晴らしく、ステレオ盤と比べて控えめなストリングスもそれに呼応するように、よりリズミカルに聴こえてきます。ステレオ盤ではあまり目立たない後半のピチカート奏法による弦楽器の音が強く出ており、曲を優雅に彩っているのも印象的です。
また”Please don't take your time”と歌うリフレインの回数がステレオLPでは5回だったのに対し、今回のモノラル盤ではうっすらではありますが1回多く聴こえて6回でした。
A2: With A Little Help From My Friends
ザ・ビートルズの名曲のカバーですが、今回のモノラル盤では、ベースがステレオ盤と比べてウネるウネる!スネアの音もよりリンゴらしい感じで、ビートルズへのリスペクトをさらに感じるミックスです!「Do you need…」の部分のブラスはステレオ盤と比べて控えめですが、これはやはりコーラスワークの素晴らしさが、AMラジオで家事をしながら聴いていても伝わるように工夫されているのではないかと思います。エンディング部分のオルガンは音量こそやや控えめながらリバーブが少し強く、スウィンギン・ロンドンを意識したのかな、とも想像してしまいます。
A3: Don't Go Breaking My Heart
ボーカルとハープシコードのリバーブ感がステレオLPと比べて少なく聴こえ、冒頭でお話しした「コンパクトでよりバンドっぽい音」という特徴を象徴するミックスだと思います。今まで聴いてきた、ハリウッド女優ばりのバッチリメークの美人のようなステレオミックスに対して、すっぴん美人のモノラルミックス。どっちも素敵です!
A4: I Can See Only You
イントロのアコースティックギターの「ポロン」という音が強めで、ストリングスが歌いだした部分でもギターの音がやや大きめに聴こえました。また、メインコーラスを支えるサイドコーラスの厚みを感じます。メインコーラスも、ところどころステレオミックスと比べてリバーブが強く響く部分があります。それにしても、モノラルLPで聴ける最後の「Long ago…」の部分のコーラスとストリングスの塊、圧巻ですね!
A5: Snow Queen
前曲のムードをそのまま引き継ぐように、メインコーラスとサイドコーラスが団子状に一体となったモノラルミックス!ステレオ盤と比べてストリングスが控えめな反面、ポロポロと鳴っている電子楽器らしき音が、さらに強く響く感じでした。
A6: Love So Fine
スネアドラムの音量が一定に感じられ、すべての楽器とコーラスをまとめ上げているようなサウンドで、よりバンドっぽく、クラブ向けのミックスに聴こえます。
ステレオミックスのような各楽器の分離や音の広がりはない反面、ベースの音圧とドラムのフィルインのドスの効き具合は、このモノラルLPならではの魅力と言えるでしょう!

B1: カインダ・ウェイステッド・ウィズアウト・ユー / Kinda Wasted Without You
ステレオ盤と比べるとイントロのピアノのリバーブがより強く、キラキラした感じです。
さらに、そのキラキラ感を助長するように、このモノラルLPでは、ステレオ盤ではほとんど聴こえないAメロでの鉄琴の音が聴こえてくるというサプライズも!
B2: Just Beyond Your Smile
もともと明るい曲で、シングルには別バージョンも存在しますが、今回のモノラルLPでは基本的にステレオ盤との大きなバージョン違いは感じませんでした。
ただ、ドラムとストリングスが曲の進行につれて迫力を増してくるところが特徴です。
さらに、最後の「Just beyond your smile…」と歌い切る前の「ウウウウー」というコーラスがステレオ盤よりも小さく、その後、バックコーラスが大きく響き、一気に盛り上がって終わっていくというエンディングでした。
B3: I'll Be Back
アコースティックギターがステレオ盤よりも大きくパーカッシブに鳴り響くので、よりフォーキーな味わいです。
ドラムのリムショットよりもベースが大きく響くので、ベースがリズムの主導権を握っているかのように聴こえるところも印象的です。
最後の「I want you…」と歌うメインコーラスを支える、「ウー」と歌っているサイドコーラスの存在感が、モノラルミックスではより大きく感じられました。
B4: Cocoanut Grove
モノラル盤では、この曲でもアコースティックギターが大きく、特に低音がよく響きます。サイドコーラスは前半では控えめですが、後半になるにつれて存在感が大きくなってきます。楽器よりも歌で曲の展開を演出する、といったミックスですね。
B5: Didn't Want To Have To Do It
イントロのベースが大きく響き、エンディングでもベースがトランペットと張り合うような迫力です。コーラスとストリングスが団子状に一体となったシンフォニーには、フィル・スペクターの時代から受け継がれるアメリカン・ポップスの醍醐味が凝縮されています!ステレオLPとはまた違ったダイナミックなサウンドが楽しめます!
B6: Can I Go
「カラーッ」と鳴るヴィブラスラップが、ステレオLPでは歌の2番から目立ってきますが、今回のモノラLPで聴くと、1番から存在感を大きく放っています。
逆に、ドラムのリムショットの音は「Give me your hands」と歌うあたりから目立ってきており、ステレオミックスとはまた違ったドラマ性を楽しめました。
今回のモノラルミックス。広く親しまれてきたステレオミックスの素晴らしさと甲乙はつけがたいですが、全体的にはコンパクトで、よりバンドっぽいサウンドが魅力のモノラル復刻レコードでした。
まさに、楽しい「スモール・サークル」の面々が、このミックスの中でイキイキと躍動しているような、楽しさにあふれた1枚であると感じました!







【徹底解説】Pioneer DJ「XDJ-RX3」
Technics SL-1200MK7 特集
ORTOFON SHURE カートリッジ徹底比較!
DJ YUTARO特別インタビュー
DJを始めるのに必要なもの?
DJ入門講座
