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Back to MONO!モノラル・レコードを楽しもう! 第1回 レッド・ツェッペリンのモノラル・シングルに幻惑されて…

2020-05-18

テーマ:アーティスト&楽曲, ギター, DJ, PA

この度、ロックやポップスのモノラル盤レコードを、モノラル・カートリッジで聴いていくというブログを始めることにいたしました。
1960年代、特にイギリスやアメリカでは、モノラルとステレオ、両バージョンがリリースされていたアルバムが多く存在します。

※ビートルズはイギリスではデビュー作「Please Please Me」から1969年の「Yellow Submarine」までモノラルとステレオの両バージョンがリリースされています。

一方、シングル盤におきましてはこの時代、モノラル・ミックスで収録されたものが中心でした。ステレオセットで再生する際、両方のスピーカーから同じ音が出てくるモノラル盤のレコードは、ステレオ盤で聴ける様な立体感や広がりがなく、音のレンジが狭いというイメージを持たれる方が多いかも知れません。しかし実際に聴いてみると、ふくよかに響く歌声、体にどっしりと伝わる中低音域のリズム隊など、ステレオ盤で聴くのとはまた違ったカッコいいサウンドを楽しめます。
また、ビートルズを筆頭に、曲によってはステレオ・バージョンとの演奏違いやミックス違いなど、音質以外の奥深い発見も少なくありません。
さて、そんな魅力が詰まったモノラル・レコードを楽しんでみるという、このブログシリーズ。
ビートルズのモノラル・レコードについては、多くの本やネットでも紹介されています。という事で、このブログシリーズでは比較的紹介される機会が少ないものを中心にチョイスしていきたいと思います。
なお、再生の時は、モノラル再生に特化して製造されたモノラル・カートリッジで聴くと、モノラルサウンドの魅力をより顕著に楽しめると思います。私はモノラル・カートリッジの定番Audio TechnicaのAT MOMO 3/LPをプレーヤーにとりつけて、リスニングを楽しんでいます。

さて、記念すべき第一回目は、レッド・ツェッペリンがアメリカでリリースした、最初のシングル盤を聴いてみたいと思います。
A面は「Good Times, Bad Times」、そしてB面は「Communication Breakdown」といずれも1stアルバムからのカップリング。時は1969年。時代は徐々にモノラルからステレオ中心になっていく、言わば移行期。1stアルバムもステレオ盤のみのリリースでした。

しかし、シングル盤においては、まだモノラル収録でのリリースは英米では珍しくなかった様です。
※ ビートルズのイギリスでの最後のモノラル・シングルも1969年の「GET BACK」。

このレッド・ツェッペリンのシングルもモノラル収録でのリリースでした。
先日、私が入手したレッド・ツェッペリンのこのシングル。米アトランティックレコードのオリジナル盤(リリース当時にカッティングされた盤)です。しかしラベルが剥がれているという理由で、缶ビール6本ほどの値段で入手。ラベルもないのに何で当時のアメリカ製のレコードといえるのかといいますと…

なかなか上手く写せないのですが… 曲が終わった後の無音溝のあたりに文字が彫られた両面の記号(文字が彫られていてマトリクスと言われたりします)をネットの資料を元に調べました。アメリカでは国土が広いこともあり、同じ時期にいくつかの工場で製造されていたそうです。その分ここの部分の表記も数種類存在するそうです。両面ともその資料にある記号と一致。

さらに確認するために、同時期にリリースされた米アトランティックレコードのシングルと見比べてみます。
このシングルと同時代にアトランティック系列のレコード会社アトコからリリースされた当時のアメリカ盤シングルを持っていたのを思いだし、取り出してきました。

レコード盤の端と穴の部分を2本の指で持ったときの手触り…同じです。
アトコの盤にもあるATという文字の刻印があるのも一致。(ATLANTICのATなのでしょうか?)

と、アバウトな部分もありますが、ほぼ当時の盤と推測していいだろうと勝手に判断(笑)
しかし!それよりも大事なのは何よりも音です!音!どれだけ楽しめるものなのか聴いてみましょう。

まずは、Goodtimes Badtimesから…

ジョン・ボーナムのドラムキック音がモノラルだとより強く体まで響いてくる感じでした。歌いだしのところ、ギターとベースはモノラルな分、寄り添って弾いているような姿が浮かぶ前半。
おなじみのステレオ・ミックスで聴くギターソロは、ジミー・ペイジのプレイが左右に移動する事で、実にカラフルな印象を感じるものです。一方モノラル・ミックスにはそれがない分、ステレオ盤で感じるサイケ感は後退。結果、あまり時代性を感じないストレートなロックといった感じです。しかし、これはこれで別ものとして楽しめるミックスだと思います。
モノラルで聴く、後半の荒いドラミングは、さらに激しさを増しており、エインズレー・ダンバーのプレイを想い出しました。

そして、B面の「Communication Breakdown」。

こちらはイントロからして、モノラルならではの骨太さで襲い掛かって来るような音です。轟音とはまさにこの事!
特にソロを終えてからの、ロバート・プラントのダイナミックなボーカルに対抗するかの様に、轟音で絡んでいくギターの存在感はステレオとは全く違った迫力でした。エンディングのコーラスは「コミュニケーション・ブレークダウン」せず(笑)、むしろビートグループの様に、より一帯感が増した感じです。
このコーラスの響きと、壊れいく様に雄叫びをあげるプラントのボーカルとのギャップが、さらに歌詞の内容を効果的に引き立てている様に聴こえます。これはAMラジオでのオンエアを意識して、歌詞の内容をより伝えたくてこういうミックスにしたのでしょうか。 興味はつきませんが、これ一曲のために、モノラル・カートリッジを買ってもいいと思えるほどカッコいいミックスを堪能。

と、二曲のレッド ツェッペリン・クラシックスをモノラルのシングルで聴いて久々にツェッペリン熱に火がつきました。

しかし、決してモノラル盤の音が、全てにおいてステレオよりも勝っているというわけではないと思います。
ステレオで聴くツェッペリン。モノラルで聴くツェッペリン。
これからも両方楽しみたいものです。

さて、モノラル・レコードの楽しみをご紹介するこのブログシリーズ。次回はガラリと変わりまして、永遠のポップス兄妹、カーペンターズのモノラル・シングルを聴いてみたいと思います。カーペンターズにモノラルのレコードなんてあるの?と思っている方、次回をお楽しみにどうぞ!
Back to MONO!

営業部 / 市原 雅之

45歳にしてオヤジバンドにベーシストとして参加。バンドでサウンド・ハウスの存在を知りその勢いで入社。 趣味はUKロック、60年代ソウルやソフトロック等のレコード・コレクション。最近はSPレコードも愛聴しています。ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイとP.I.L.を愛する永遠の29歳。

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