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ギタリストのためのベース講座:ピック弾きでベースらしい音を出す方法

2025-07-31

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 楽器

私はもともとギタリスト志望でしたが、ひょんなことからベースの演奏を頼まれるようになり、現在はギターとベースの“二刀流”で活動しています。最近では指弾きでベースを弾くことも増えましたが、ギターを長く弾いていたこともあって、個人的にはピック弾きの方がしっくりきます。

ただ、ギターとベースのピック弾きは「似て非なるもの」です。ギタリストの中にも、宅録などでベースを弾くという方は多いと思いますが、「なんだかベースっぽく聞こえない」と悩んだ経験はありませんか?

今回は、ベースらしいサウンドでピック弾きをするコツについて、自身の経験を交えてご紹介します!

ギタリストっぽいベースの音とは?

ギタリストがそのままの感覚でベースを弾くと、中低域が物足りず、アタックばかりが目立つ「硬い音」になりがちです。この音が必ずしも悪いわけではありませんが、バンドで合わせた時に「ズッシリ感」が足りず、安定感に欠ける印象を与えることがあります。

私自身もベースを始めたばかりの頃は、よく先生に「音が軽い」と言われていました。

ピックの種類

ベースでピック弾きをする際は、厚みと大きさのあるピックがオススメです。ベーシストに定番のおにぎり型ピックも良いですが、筆者はJim Dunlop Tortexのティアドロップ型(1.0mm)を愛用しています。

JIM DUNLOP ( ジムダンロップ ) / TORTEX STANDARD 1.00

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薄いピックは弦に負けやすく、しっかりとしたピッキングが難しくなります。また、Jazz型のように先端が尖ったピックは弦に当たる面積が少なく、アタックばかりが強調されやすい傾向にあります。

ピックの持ち方

ピックの持ち方は人それぞれですが、ベースの弦はギターより太く、ピッキング時の抵抗も大きいため、ギターと同じ感覚で持つとピックがズレやすくなります。

オススメは、親指・人差し指に加えて中指も使った3本指での持ち方。この方法は、Loudnessの山下昌良さんも採用しています。

ちなみに筆者は、親指を反らせた独自の持ち方をしています。

親指を反らせることによりピックと指の設置面積を増やして安定してピックを持つことができます。

また、ベースを構える高さや角度に関係なく常に弦に対して平行にピックを当てることができます。

ピッキングの角度

ピックの角度こそが、ベースらしいサウンドを出すうえで最重要ポイントだと筆者は考えています。

ギタリストがベースを弾くと、高確率で順アングルになりがちです。

この角度ではアタックが強調される一方で、中低域が削られ、全体的に音が細くなってしまいます。

そこでオススメなのが、弦に対してピックをできるだけ平行に当てるピッキングです。

この方法なら、ピックらしいアタック感を保ちつつ、バランスの取れた音になります。

東京事変の亀田誠治さんも平行アングルでピッキングしています。

こちらはジャズベースで4弦開放を弾いた際の周波数分布です。順アングル(画像上)では1.5kHzや2.8kHzあたりにピークがあり、200Hz〜1kHzの中域が凹んでしまいますが、平行アングル(画像下)では全体的にバランスの良い分布となっています。

順アングルでもベースらしい音を出すには?

有名なピック弾きベーシストの中には、順アングルでプレイする方もたくさんいます。

平行アングルでのピッキングが苦手な人や順アングル特有のアタック音が好きな方もいらっしゃるでしょう。

では、順アングルのままでも「ベースらしい音」を出すにはどうすればよいか?その方法を2つ紹介します。

1. プレジションベースを使う

ピック弾きとの相性が抜群なプレベ(プレシジョンベース)は、多くのピック弾きベーシストに支持されています。

筆者もPJスタイルのベースを使用しており、ピック弾きの際はプレベ側のPUのみを使用しています。ジャズベースに比べて太く丸い音が出るため、順アングルでも中域のしっかりしたサウンドが得られます。

プレベで4弦開放を順アングルで弾いた際の周波数です。全体にかけてバランスの良い音であるのが確認できます。

2. ジャズベースのフロントPUのみを使う

ジャズベースには2基のピックアップが搭載されていますが、両方同時に使うと位相干渉により中域が打ち消され、音が細くなってしまいます。これはストラトのハーフトーンと同じ原理です。

ピック弾きでも太い音を出したいなら、フロントPU単体での使用がオススメです。中域に厚みのある、ふくよかなトーンを得ることができます。

ジャズベ(フロントPUのみ)で4弦開放を順アングルで弾いた際の周波数です。こちらも先ほど同様にバランスの良い音であるのが確認できます。

ピッキングフォーム

ギタリストに多いのが、手首のスナップのみで弾くピッキング。しかしベースの弦は太いため、それではアタックばかりが目立つサウンドになります。

ベースでは、腕全体を使った大きめの動きでピッキングする方が、弦がしっかり鳴って、どっしりとした音になります。

ピッキングの位置

ギタリストのクセで、リア寄り(ブリッジ寄り)でピッキングしてしまう方が多いですが、ここも注意が必要です。リア寄りではアタックは強くなるものの、弦の鳴りが弱くなり、音が硬くなってしまいます。

バランスの良いサウンドを目指すなら、ピックアップの真上あたり(ジャズベならフロントPU)を狙ってピッキングするのがオススメです。

まとめ

今回は、ベースにおけるピック弾きのコツについて、自分の経験をもとにご紹介しました。

ここで紹介した内容は、あくまで私個人のスタイルや音楽的趣向に基づいたもので、「絶対的な正解」ではありません。ですが、ギタリスト方や、これからピック弾きを試したいという方のヒントになれば嬉しいです!


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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航平

千葉県出身。ギタリスト兼ベーシストとしてロックを中心に様々なジャンルを演奏するマルチプレイヤー。またDTMにも精通しており、ドラムプログラミングやBGM制作、カラオケ音源制作なども手掛ける。
Twitter https://twitter.com/ike_kohei
Instagram https://www.instagram.com/ike_kohei_gt/

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