■ コルグ ノーチラス バーチャル・エレクトリックピアノの音は?
コルグのワークステーション・シンセサイザー、ノーチラスの探求リポート、エレピ遍です。
これまではノーチラスが搭載している、9つあるサウンドエンジンの主軸でもあるコルグオルガンの名機、CX-3のオルガン・シミュレート音源のリポートをお送りしました。
今回からはエレクトリックピアノ遍をお送りします。エレクトリックピアノ、所謂エレピはバンドで演奏する人間において、オルガン以上によく使う、使用頻度の高い音といっても過言ではありません。一般的にオルガンよりもエレピの音の方が楽曲使用に普遍性が高いからです。
オルガンの音は持続音であり、リズムを出すのはエレピよりも難しく、パッド的要素が強い側面があります。またオルガンの音色は強い音なので、エレピのほうが他の楽器を邪魔せずにハマり易いということもあるのでしょう。またピアノの代用品としてチョイスされることもあります。そういう意味でとても便利なのがエレピなのだと思います。
当然、ワークステイション・シンセサイザーであるノーチラスにもエレピの音源は多く搭載されています。
■ 永遠の名機、ローズ・エレクトリックピアノとウーリッツァー・エレクトリックピアノの2種類を搭載
エレクトリックピアノといえばローズ・エレクトリックピアノとウーリッツァー・エレクトリックピアノの2種類が名機として知られています。
ノーチラスには年代が異なるローズピアノ5種類、ウーリッツァー2種類、計7種類がエレピのベースとなる音源として搭載されています。
KORG ( コルグ ) / ノーチラス NAUTILUS-61
まずローズピアノ5種類の音から見ていきます。
ノーチラスに搭載されている音源の呼び出し方はセットリストからEPと表示されているエレピ音をタップしてクイックアクセスボタンのMODEボタン(左上)を押します。(画面1)

クイックアクセスボタン MODEボタンは左上(画面1)

モードセレクト(画面2)
モードセレクト画面(画面2)が出たら、中央上のPROGRAM画面をタップします。
すると画面が変わり、EP-1音源のリストと選択された音源の名前が左側上部にModelTypeとして映し出され、選択されている機種のイメージ画像が画面右側に映ります。

ディスプレイに映し出されたEP-1音源と当該エレピのイメージ図(画面3)

画面左側に並ぶEP-1の7種のエレピタイプ(画面4)
EP-1の音源タイプはTineEPⅠEarlyからTineEPⅠLate、TineEPⅡ、TineEPⅤ、TineEP DMP、ReedEP200、ReedEP200Aの7種類です。
画面4の最初の段階では音源タイプはTineEPⅠEarlyが選択されています。ModelTypeの表示の左側の〇が黄色になり、このTineEPⅠEarly選択され有効になっているのが分かります。この音源選択はエレピのカテゴリー文字が記されている機種の左側にある〇印を指でタップすることで音色が変わります。
画面3右側のイメージ図からも分かるように選択されたTineEPⅠEarlyは明らかにフェンダー・ローズエレクトリックピアノの画像です。しかしメーカーは実際の名称を表記することができないので、ローズピアノはTineタイプと表記され、ウーリッツァーピアノはReedタイプと記されています。それぞれのエレピの機構から便宜的に名前が付けられています。
繰り返しになりますがTineタイプの5種類は画面3からも分かるようにローズピアノです。
最初のTineEPⅠEarlyはローズの背面側にFenderRhodesのロゴがあるローズピアノの初期タイプであり、その後に背面にはFenderの文字がなくなり、RhodesのロゴだけになるのがTineEPⅠLateのローズピアノです。
ノーチラスに搭載の5種類のローズピアノはリリースされた年代により、音色が異なるため、年代を代表する機種をコルグ流のサンプリング技術に基づき、音源として改良を加えた形で提示されています。
ウーリッツァー・エレクトリックピアノに関してはローズピアノほど音的には年代的に大きな隔たりはなく、1968年に登場したトランジスタ式が200タイプ。その内部回路に変更を施した200Aの2種類がノーチラスには搭載されています。
■ キータッチの要素も大きなエレクトリックピアノ
エレクトリックピアノを演奏するときに気になる要素があります。それはエレピの持つキーボードのタッチ感です。 アコースティックピアノの場合、キータッチは楽器の機構上、大きな違いはありませんが(この辺りは議論が分かれるところかもしれません)、ローズピアノとウーリッツァーの場合は発音方式の違いや内部で使用している部品の違いがあるため、キータッチもそれぞれ異なります。
私はウーリッツァーをこれまでに2、3回しか弾いたことがないので、このリポートではローズピアノが中心になってしまうことをどうかご容赦下さい。
私の所有しているノーチラスは軽い鍵盤タイプなのでローズをイメージして音を出すと実際のローズピアノとは違うニュアンスになってしまい、それが出音にも反映されてしまう感じがします。実際の出音はローズピアノなのかもしれませんが、軽い鍵盤タッチで弾くと何故かローズの音とはなぜか違う感じになるのです。それはローズを弾くときには、あのローズピアノの鍵盤のイメージを指と耳が記憶しているからだと思います。
ノーチラスの鍵盤でローズやウーリッツァーの音を検証するのには、キータッチがローズピアノに近い(とはいえそこまで近くはありませんが…)私が所有するコルグのエレクトリックピアノSV-1の鍵盤をマザーキーボードとして使いました。
エレピの出音を評価するにはノーチラスの鍵盤よりも実機に近い鍵盤で弾いた方が評価に信憑性向上が期待できるからです。
SV-1のMIDIOUTをノーチラスのMIDI INに繋げ、自宅のギターアンプから音を出すことにしました。

マスター鍵盤として使うSV-1

MIDI INからSV-1のデータを受ける

ノーチラスの音をヤマハギターアンプから出力

MIDIケーブルで繋がったノーチラス(手前)とSV-1(左後方)
※ノーチラスの上部はTAKE-5。今回のテストとは無関係。
実際、弾いてみるとローズピアノの様なエレピの音を演奏するには、実機に近い鍵盤で音を出す方が間違いなくいいということを実感しました。
目を閉じてローズピアノを弾くイメージで演奏すると確かにノーチラスから出る音はローズピアノに似ているという感想を持ちました。
さて次回は実際のEP-1の音を検証していきたいと考えています。乞うご期待!
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