今日のデジタル化されたスタジオで音をとらえるには、3つの要素が必要です。1つ目は、音を電気的な音声信号に変えるためのマイク。2つ目は、電気的な音声信号をデジタルデータに変換するADC(Analog to Digital Converter)。最後は、デジタルデータをコンピューターに取り込むためのインターフェイスです。音の入り口がマイクであり、コンピューターを経由して、最終的にポッドキャスト、ナレーション、ストリーミングなどに音を供給します。マイクにはいくつかの種類があります。ここでは、スタジオで使用するマイクを選択する際に必要な情報について説明します。

接続方式:XLRとUSBの比較
XLRマイク
マイクの歴史の中で、最も一般的なコネクターはXLR端子(オス)です。「XLRマイク」は、世界中のステージやプロフェッショナル・スタジオで使われています。XLRマイクの出力はアナログ信号ですが、コンピューターで使用するためには、最終的にデジタルに変換する必要があります。この「A / D」変換は、デジタル・インターフェイス(またはインターフェイス内蔵のミキサー)で行います。XLRマイクは安価な製品もあれば、数十万円に上る製品もあります。しかし、用途に適しているかどうかを判断する上で、マイクの価格は必ずしも重要ではありません。また、複数のXLRマイクをミキサーに接続し、それぞれのレベルを個別に調整可能です。

USBマイク
90年代後半になると、USB端子はほとんどのパソコンに搭載される標準的なインターフェイスとなり、それに合わせて各メーカーはUSBマイクの生産を開始しました。USBマイクが登場した最初の数年間は、ほとんどが安価で低品質のヘッドセットマイクでした。そして2005年、Samsonが初のスタジオ向けUSBコンデンサーマイク、C01Uを発表しました。これは、ユーザーがマイクをコンピューターに直接接続し、自分の声を高品質で収音できる最初の製品になりました。
USBマイクで重要なのは、ゼロ・レイテンシーによるヘッドフォン出力の搭載です。通常、録音中に信号をモニターするには、音声信号をマイクからコンピューターに取り込み、その後モニター出力に戻すため、わずかな遅れが生じます。この遅れはどんなに小さくても、とても気になります。これを解決するためには、USBマイクにヘッドホン端子を追加して、マイクの音を直接モニターできるようにします。

マイクの種類:ダイナミック型とコンデンサー型
マイクカプセルにはいくつかの種類がありますが、最もよく目にするのはダイナミック型とコンデンサー型の2つです。これらのカプセルにはそれぞれ音の特徴や特性があり、違いを認識しておき、用途に適したカプセルを選ぶ必要があります。
ダイナミック型マイク
ダイナミックマイクは自己発電型であり、空気中の音の振動を永久磁石に通した電気コイルが音声信号に変換しています。コイル全体が動いて収音するため、急激な動きの変化に対応しにくく、周波数特性における両端の音域では、感度が落ちます。しかし、大きなSPL(音圧レベル)に耐え、ほぼすべての演奏者の声域に対応できます。
ダイナミックマイクは外部電源(ファンタム電源)を必要としないマイクで、ステージで歌うときに使用するハンドヘルドマイクが典型的な例でしょう。世界中のラジオ・スタジオでも多く見られ、コンデンサーマイクに比べ、高音を抑えた暖かみのあるサウンドを持ち、近くの音を取り込み、周囲の雑音や遠くにある音を最小限に抑えます。

コンデンサーマイク
コンデンサーマイクは、マイク回路を「励起」するための外部電源により駆動しています。プロオーディオの世界では、この電源はファンタム電源と呼ばれ、通常はミキサーから供給されます。USBマイクでは、小さな電圧がUSBケーブルを介してコンピューターからマイクに供給されます。USBマイクの多くはコンデンサー型です。ダイナミック型マイクと比較した場合、より広い周波数範囲にわたって滑らかなレスポンスを提供し、スタジオ環境により、その真価を発揮します。
コンデンサーマイクは、ダイナミックマイクに比べて音が明るめであり、感度が高いです。そのため、マイクカプセルから近い音も遠い音も均等に拾ってしまう傾向があり、専用スタジオ以外では、ノイズの多い音声になってしまいがちです。
遮音されたポッドキャスティング・スタジオでは、コンデンサーマイクが最適な場合があります。しかし、専用スタジオでない(遮音されていない)環境では、話し手の声だけをとらえ、周囲の環境音を拾いにくいダイナミックマイクが最適でしょう。

ピックアップパターン
マイクカプセルのタイプに加えて、マイクのピックアップパターン(しばしば「極性」と呼ばれます)も考慮する必要があります。マイクの極性パターンは、指向性を示し、マイクの周囲のどこで音を最も多く拾えるかを意味します。このセクションでは、大きく分けて3つのパターンを説明します。以下に説明する他にも様々なピックアップパターンが存在しますが、最も頻繁に目にするのはここに紹介する3つのパターンです。
無指向性パターンは、マイクの周囲360°の音を均等に拾います。テーブルの真ん中に「無指向性」マイクを置くと、そのテーブルにいる人たち全員の音を均等に捉え、テーブルの周りに座っている人たちの声を拾うのに理想的なパターンです。
次は、「8の字型」とも呼ばれる「双方向性」です。双方向性マイクは、設置した場所の前後の音は拾いますが、横からの音は拾いません。双方向性マイクの最も一般的な用途は、インタビュアーとゲストの間にマイクを設置するインタビューです。この場合、両方の声を均等に拾います。
最後に、単一指向性(カーディオイド)シリーズのピックアップパターンです。カーディオイドマイクは、マイクの前方の音を直接拾い、側面からの音を少し拾い、マイクの後方の音をほとんど拾わないパターンを持っています。スーパーカーディオイドおよびハイパーカーディオイドマイクは、カーディオイドパターンをより極端にし、背面からの音を若干多く拾う代わりに、側面から来る音の排除をより強化しています。カーディオイドのマイクは、一人の声だけをピックアップし、他の場所から来る音を拾いたくない場合に最適です。
マイクの仕様を見ていると「マルチパターン」という表記もあります。マルチパターンのマイクは、状況に応じて適切な極性パターンを選択するスイッチを備えています。例えば、ある日はグループで使用し、次の日は自分だけ使用する場合、マルチパターンを持つマイクは必要に応じて極性を変えられ、柔軟に使用できます。

どのマイクがふさわしいですか
もし、マイクの使用をまだ始めたばかりで、専用のスタジオ設備がない場合は、単一指向性のピックアップパターンを持つダイナミックマイクを選ぶとよいでしょう。XLRからデジタルオーディオに変換するオーディオインターフェイスがない場合は、USBマイクがベストな選択となるでしょう。SamsonのQ2Uポッドキャスティングパッケージは、XLRとUSB両方に接続でき、内蔵ヘッドフォン・ジャック、ウィンドスクリーン、高さ調整付き三脚マイク・スタンド、USBケーブルなど、最初に必要になるアイテムが含まれています。
SamsonのG-Track Proは、ラージダイヤフラムのスタジオ用コンデンサーマイクで、ピックアップパターンが選択でき、USB接続のほか、ヘッドホンジャックと楽器や他の音源を接続するための外部入力も備えています。
最後に、もう少し予算があり、プロ放送局のサウンドを求めるなら、Samson Q9Uダイナミックマイクがお勧めです。XLRとUSBの両方の端子、カーディオイド極性パターン、専用EQスイッチ、ヨークスタイルのマイクスタンド・マウントを備えています。
この記事はSAMSONによるChoosing the Right Microphoneの翻訳です。