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挨拶から始まる明るい人生 若者みんなが町中で挨拶する四万十町・窪川に感動!

2024-02-19

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

今、高知県の四万十町、窪川にいる。早朝、東京を出発して飛行機で高知龍馬空港に向かい、高知駅からは2車両編成の特急汽車に1時間乗り、窪川駅で降りた。そこには空海が大切にした四国第37番札所、岩本寺がある。四国八十八か所遍路の札所をすべて自らの足で回っている自分にとっても大事な場所だ。窪川は人口が少ない小さな田舎の町だ。しかしながら、そこには意外にも美しいパワーが輝いていた。

窪川という町は、実に居心地がいい。何故なら、すれ違う人の多くが挨拶をしてくれる。自分がよそ者扱いされないのだ。確かに見る限り、70代から80代を超えた高齢者のおばあちゃんばかりが目に付く。おじいちゃんの姿は10人に一人もいないのではないか。それでも町中を歩いていると、放課後にお友達と歩いている10代の若者たちと何度もすれ違った。驚いたことに、通りすがりですれ違う時に、若者誰もが、自分に気持ちよく、「こんにちは」、と挨拶をしてくれるのだ。無論、こちらも「こんにちは!」と挨拶する。近年、都会では見られなくなった光景だけに、正に驚いたという言葉がふさわしい。

ぱっと見、中学生くらいの子たちだろうか。無論、男子も女子も入り混じっていて、合わせて20数名とすれ違っただろうか。その誰もが挨拶を交わしてくれただけでなく、笑顔もあったことにはさらに驚かされた。そこに日本の未来を感じることができた。まだまだ日本も捨てたものではないと。都会から遠く離れた四万十の田舎町で育った子どもたちは、毎日を太陽の下で元気に過ごしながら、都会の子どもたちと違って心が潤っているように思えた。何故なら、自分の心にゆとりがなければ、そして周りを気遣う思いがなければ、通りすがりの「おっさん」である自分に挨拶する理由などないからだ。

子どもたちだけでない。通りすがりの自分に魚屋のおばちゃんも笑顔で声をかけてくれた。お店を見る限り、ほとんどのものが売り切れていたことから、何か物を売りたかった訳でもない。ただ、声をかけてくれて、笑顔で話しかけてきてくれた。「はやと鮮魚店」のおばちゃんだ。実に笑顔が美しい。そして岩本寺の正門前で果物屋を営んでいるおじちゃんも元気だ。このおじちゃんの紹介で、20個300円のミカンを譲ってもらった。それが何と美味しいこと。

人口がたった1.5万人しかいない小さな町だが、そこには都会では失われつつある日本の良き挨拶と、互いの労りあいの文化が残っていたのだ。人の温かい心に触れる時、疲れきった体がリバイブしはじめ、傷ついた心でさえも癒されてしまう。その原点にあるのが心のこもった挨拶であり、人と人とに交わりには欠かすことのできない、大切な初めの一歩である。

振り返るに、自分の会社、自分の身の回りは果たしてどうなっているのだろうか。昭和の時代に幼少を過ごし、武道にもたしなみ、スポーツをこなしながら体育会系の礼儀作法を身に着けてきた自分にとっては、挨拶は当たり前のことなので、何ら苦にならない。それどころか、挨拶から会話が始まることを知っているだけに、自分なりに上手に言葉を使いこなしながら、挨拶の延長線で人間関係を築いていくことに慣れっこになっている。その挨拶の重要さを、創業当初から会社でもきちんと踏襲してもらうことに努めた。その結果、社員誰もが挨拶をする素晴らしい会社として、外部の人たちにも知られるようになった。昔はよく言われたものだ。「サウンドハウスさんの社員は素晴らしいですね。みんなすれ違うたびに、きちんと挨拶をするんですね。。。」と。確かにそういう時代があった。

ところが、なぜか今は違う空気が漂っている。それは一言でいえば、人との付き合いや接点さえも好まない人生観であり、よって挨拶など必要なくなってしまう。自分は自分、人は人、できれば人とは接したくないし、話したくもない、ましてや見知らぬ人に、「こんにちは」なんて挨拶するなんて、とんでもないといわんばかりの感性である。気持ちはわからないでもない。これまで体育会系の部活で挨拶することを仕込まれた訳でもないし、家庭教育の中で、父母から挨拶を徹底して教育されたわけでもないのだから、挨拶が身についてないのも無理はない。

残念なことに、サウンドハウスという自分が設立した会社から、いつの間にか挨拶する文化が消え去ってしまったのだ。そしていつの間にか、挨拶を嫌がる人、しない人が徐々に増えてきたようである。これも時代の流れ、定めなのだろうか。だけど人間は一人では生きていけない。周りに人がいるから、生きていける。人間社会というものは、そういうものだ。だからこそ、人との出会いは大切にするべきだし、例えそれが通りすがりの人であっても、挨拶をすることが大事なのではないか。よって自分は言い続けるのだ、「挨拶をしよう!」と。何故なら、そこから人とのつながりが生まれ、新しい発見があり、そして人生がより一層、楽しく、かつ面白くなるチャンスが生まれるのを知っているからだ。

サウンドハウスでは山登りを推奨する。なぜか。無論、大自然の景色を眺めながら、足腰を鍛えて、健康な体造りをすることは大事だ。同時に、登山体験は挨拶を身に着ける絶好のチャンスでもある。登山する人なら誰でもわかってくれるはずだ。上り下りですれ違う人に、「こんにちは!」と声をかけるのが、日本の登山文化だ。四国の石鎚山のように、長距離を何時間も歩く山道では、天気の良い日など、数十人、時には100人以上すれ違うこともある。その誰もに、「こんにちは!」と声をかけることも、慣れてくると負担にならなくなる。相手も挨拶をしてくれることから、むしろすがすがしい思いになり、心がさわやかに感じられるのだ。こうして、登山経験を通じて、これまで挨拶が苦手だった人も、自然と挨拶ができるようになってしまう。これが登山にまつわる醍醐味のひとつでもある。

窪川には、いつかまた、戻ってきたいと思う。おばちゃんたちの笑顔をまた見たいと思う。長生きしてもらいたいと思う。挨拶から始まる人間関係。そしてお互いへの思いやり。心と心のつながりを大切にすることが、日本社会の課題をフィックスし、明日の日本を築いていく原動力になることに違いはない。そんな思いを込めて、明日早朝、窪川から足摺岬に向けて、四国八十八か所の中でも最長となる86㎞の遍路道を一人で走る。必ず未来は開かれてくる、という夢を描きながら。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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